学習トップ理由で解く 柔道整復師病理学概論 ▸ §6 進行性病変 / QJ29A122

理由で解く 柔道整復師

QJ29A122 病理学概論

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午前 問122
問題
異物の処理過程に含まれないのはどれか。
選択肢
1 被包
2 器質化
3 壊死
4 排除
解答
正解3(壊死)
解説

体内に入った異物は「外へ出す・溶かす・置き換える・包み込む」という流れで処理される。壊死は細胞や組織が死ぬ現象そのものであって、異物を処理するための仕組みではない。

異物処理の第一段階は排除で、気道の線毛運動と咳、膿汁とともに体外へ出す、皮膚を破って自然に脱落させるといった経路がある。排除できない小さな異物には、マクロファージや、複数のマクロファージが融合してできた異物巨細胞(多核巨細胞)が対応し、貪食して酵素で融解・吸収する。貪食できない大きさになると、周囲から毛細血管と線維芽細胞に富む肉芽組織が伸びてきて異物を置き換える——これが器質化である。それでも溶かせない金属片や縫合糸などは、周囲に線維性結合組織の膜を作って生体から隔離する(被包)。血栓や壊死物質、血腫が時間とともに器質化・吸収されるのも同じ原理で、「生体は消せないものは隔離する」と理解しておくと、結核結節の線維性被包など他の場面にも応用が利く。

✓ 3. これが答え(処理過程に含まれない)
壊死
血流障害や毒素、物理的・化学的傷害によって細胞・組織が不可逆的に死ぬ病的変化。生体が異物を片づけるための能動的な処置ではないため、異物処理過程には含まれない。
✗ 1. 答えではない(処理過程に含まれる)
被包
融解も器質化もできない異物の周囲に線維性結合組織の膜を作り、周囲組織から隔離する過程。体内に残った金属片が長期間問題を起こさずにいられるのはこの仕組みによる。
✗ 2. 答えではない(処理過程に含まれる)
器質化
異物や血栓・壊死物質に毛細血管と線維芽細胞からなる肉芽組織が侵入し、最終的に線維性の瘢痕組織へ置き換える過程。
✗ 4. 答えではない(処理過程に含まれる)
排除
気道の線毛運動と咳、膿汁とともに体外へ出す、皮膚から押し出すなど、異物を体外へ運び出す最も基本的な処理。
ポイント
  • 異物処理の4本柱:排除/融解・吸収(貪食)/器質化/被包。
  • 貪食の主役はマクロファージ。大きな異物には複数が融合した異物巨細胞(多核巨細胞)が対応する。
  • 器質化=肉芽組織による置換。血栓・壊死組織・血腫にも同じ過程が起こる。
  • 被包は「消せないものを隔離する」戦略。結核結節の乾酪壊死巣が線維性に包まれるのも同じ発想。
  • 壊死は組織の死。プログラムされた細胞死であるアポトーシスと対比して整理する。
比較表
処理過程内容主な担い手具体例
排除体外へ運び出す線毛上皮、咳、膿汁気道の粉塵、膿とともに出る異物
融解・吸収貪食して酵素で分解マクロファージ、異物巨細胞細菌、小さな粒子、縫合糸の一部
器質化肉芽組織で置き換える線維芽細胞、毛細血管血栓、血腫、壊死物質
被包線維性の膜で隔離する線維芽細胞金属片、寄生虫の死骸、結核結節
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