学習トップ理由で解く 柔道整復師病理学概論 ▸ §5 循環障害 / QJ29A121

理由で解く 柔道整復師

QJ29A121 病理学概論

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午前 問121
問題
外傷に直接関連しないのはどれか。
選択肢
1 空気塞栓
2 血栓塞栓
3 脂肪塞栓
4 骨髄塞栓
解答
正解2(血栓塞栓)
解説

塞栓症は栓子の種類ごとに成因が決まっている。空気・脂肪・骨髄の3つは外傷や骨折が直接の引き金になるが、血栓塞栓だけは血流のうっ滞や血管内皮障害から生じるもので、外傷が直接の原因とはいえない。

塞栓とは、血管内に生じた栓子が血流に運ばれて末梢の血管を閉塞することをいう。空気塞栓は頸部・胸部の静脈損傷や中心静脈カテーテル操作、胸腔穿刺の際に空気が静脈内へ吸い込まれて起こる。脂肪塞栓は大腿骨など長管骨の骨折で骨髄の脂肪滴が破れた静脈内に押し出されるもので、受傷後1〜3日で呼吸困難・意識障害・点状出血を来す脂肪塞栓症候群として現れる。骨髄塞栓は骨折部や心肺蘇生時の胸骨圧迫による肋骨骨折で、造血組織を含む骨髄組織片そのものが血中に流入するものである。これに対し血栓塞栓は、深部静脈血栓、心房細動時の左房内血栓、動脈硬化巣の壁在血栓などが剥がれて飛ぶもので、成因はウィルヒョウの三徴(血流の停滞・血管内皮障害・血液凝固能亢進)にある。骨折後の長期臥床から二次的に深部静脈血栓ができることはあるが、それは不動という条件を介した間接的な経路であり、外傷が栓子そのものを作るわけではない。

✓ 2. これが答え(外傷に直接関連しない)
血栓塞栓
血栓は血流の停滞・血管内皮の障害・凝固能亢進という条件下で血管内に形成される。骨折後の臥床から二次的に深部静脈血栓が生じることはあっても、外傷そのものが栓子を作り出すわけではない点で他の3つと性質が異なる。
✗ 1. 答えではない(外傷に直接関連する)
空気塞栓
頸静脈や鎖骨下静脈の損傷、胸腔穿刺やカテーテル操作の際に空気が静脈内へ吸い込まれ、右心・肺動脈を閉塞する。損傷そのものが空気の侵入路になるため外傷と直結する。
✗ 3. 答えではない(外傷に直接関連する)
脂肪塞栓
大腿骨骨幹部骨折など長管骨骨折で骨髄脂肪が静脈内に入り、肺や脳の毛細血管を詰める。受傷1〜3日後の呼吸困難・意識障害・点状出血は脂肪塞栓症候群を疑う所見で、骨折の確実な初期固定と早期搬送が予防と対応の要になる。
✗ 4. 答えではない(外傷に直接関連する)
骨髄塞栓
骨折部や心肺蘇生時の胸骨圧迫による肋骨骨折から、造血組織や脂肪を含む骨髄組織片が血中へ流入し肺動脈枝を閉塞する。剖検で肺内に骨髄組織が確認される。
ポイント
  • 塞栓は栓子の種類で分類する:血栓・脂肪・空気(ガス)・骨髄・腫瘍・細菌・羊水。
  • 外傷や骨折と直結するのは脂肪塞栓・骨髄塞栓・空気塞栓の3つ。
  • 血栓形成の3条件=ウィルヒョウの三徴:血流の停滞、血管内皮障害、血液凝固能亢進。
  • 脂肪塞栓症候群は長管骨骨折の受傷1〜3日後に発症。呼吸困難・意識障害・点状出血が典型で、確実な固定と早期の医療機関搬送で対応する。
  • 減圧症(潜函病)は溶けていた窒素が気泡化して起こるガス塞栓で、外傷とは別枠として整理する。
比較表
塞栓の種類栓子主な成因外傷との関係
血栓塞栓血栓深部静脈血栓、心房細動、動脈硬化の壁在血栓直接的ではない(臥床を介する間接経路)
脂肪塞栓骨髄の脂肪滴長管骨骨折、広範な軟部組織挫滅直接的
骨髄塞栓骨髄組織片骨折、胸骨圧迫による肋骨骨折直接的
空気塞栓空気頸部・胸部静脈の損傷、穿刺・カテーテル操作直接的
ガス塞栓(減圧症)窒素の気泡急激な減圧無関係
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