学習トップ理由で解く 柔道整復師病理学概論 ▸ §5 循環障害 / QJ30A121

理由で解く 柔道整復師

QJ30A121 病理学概論

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午前 問121
問題
肺塞栓症の原因となる血栓ができる部位はどれか。
選択肢
1 大動脈瘤
2 左心耳
3 大腿静脈
4 肺静脈
解答
正解3(大腿静脈)
解説

肺塞栓症の栓子の多くは下肢の深部静脈にできた血栓(深部静脈血栓症)に由来する。4肢では大腿静脈が該当し、正解は3。

血流の道筋をたどれば答えは一つに決まる。静脈血は下肢の深部静脈 → 腸骨静脈 → 下大静脈 → 右心房 → 右心室 → 肺動脈と流れるので、下肢深部静脈で生じた血栓がちぎれれば必ず肺動脈に詰まる。逆に左心系(左心耳、肺静脈)や大動脈にできた血栓は体循環へ流れるため、脳・腎・脾・下肢動脈の塞栓となり、肺には行かない。血栓形成にはVirchowの三徴(血流の停滞、血管内皮の傷害、血液凝固能の亢進)が関与し、長期臥床、ギプス固定、長時間の座位、術後、脱水などで成立しやすい。柔道整復の現場でも、下肢の固定や長期安静の後、歩き始めに突然の呼吸困難・胸痛・頻脈・失神が出た場合は肺塞栓症を疑い、動かさずに直ちに救急要請して医療機関につなぐ。予防としては、可能な範囲での足関節の自動運動、早期離床、十分な水分摂取、必要に応じた弾性ストッキングの使用を指導しておく。

✓ 3. 正しい
大腿静脈
下肢の深部静脈にできた血栓は下大静脈から右心を経て肺動脈へ達する。長期臥床・固定・長時間の座位などで生じやすく、肺塞栓症の栓子の最大の供給源になる。
✗ 1. 誤り
大動脈瘤
瘤内にできる壁在血栓は大動脈の下流、すなわち体循環の動脈(下肢動脈、腎動脈など)へ飛ぶ。肺動脈へは向かわない。
✗ 2. 誤り
左心耳
心房細動で血流がよどむと左心耳に血栓ができるが、左心室から大動脈へ出るため心原性脳塞栓症など体循環の塞栓を起こす。肺塞栓症の原因ではない。
✗ 4. 誤り
肺静脈
肺で酸素化された血液を左心房へ返す血管。ここの血栓は左心を経て体循環へ流れるので、肺ではなく全身の動脈に詰まる。
ポイント
  • 肺塞栓症の栓子は下肢深部静脈の血栓が最多。下肢静脈 → 下大静脈 → 右心 → 肺動脈という道筋で決まる。
  • 左心系(左心耳・肺静脈)や大動脈の血栓は体循環へ飛び、脳塞栓などになる。
  • Virchowの三徴=血流停滞・血管内皮傷害・凝固能亢進。長期臥床、固定、長時間の座位、術後、脱水が誘因。
  • 固定・安静後に歩き始めた直後の突然の呼吸困難・胸痛・失神は肺塞栓症を疑い、直ちに救急要請する。
  • 予防は足関節の自動運動、早期離床、十分な水分摂取、必要に応じた弾性ストッキング。
比較表
血栓ができる場所血流の行き先起こる塞栓
下肢深部静脈(大腿・腸骨・下腿)下大静脈 → 右心 → 肺動脈肺塞栓症
左心耳(心房細動)左心室 → 大動脈心原性脳塞栓症など体循環の塞栓
肺静脈左心房 → 体循環体循環の動脈塞栓
大動脈瘤の壁在血栓大動脈の下流下肢動脈・腎動脈などの塞栓
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