学習トップ理由で解く 柔道整復師病理学概論 ▸ §5 循環障害 / QJ30A122

理由で解く 柔道整復師

QJ30A122 病理学概論

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午前 問122
問題
血液中の濃度低下が浮腫を引き起こすのはどれか。
選択肢
1 アルブミン
2 ヒスタミン
3 キニン
4 ヘモグロビン
解答
正解1(アルブミン)
解説

血中アルブミンが減ると血漿膠質浸透圧が下がり、毛細血管から間質へ水が移動して浮腫になる。「濃度低下」で浮腫を起こすのはアルブミンで、正解は1。

毛細血管では、血液を血管外へ押し出す静水圧と、水を血管内へ引き戻す膠質浸透圧の差で水分が出入りしている(Starlingの法則)。膠質浸透圧の主役は分子量が大きくて血管内に留まるアルブミンであり、これが減ると引き戻す力が落ちて間質に水がたまる。臨床ではネフローゼ症候群(尿への喪失)、肝硬変(肝での合成低下)、低栄養やクワシオルコル(材料不足)、蛋白漏出性胃腸症(消化管への喪失)が代表で、全身性の浮腫となる。浮腫の機序はほかに、静水圧の上昇(心不全、静脈血栓、外からの圧迫)、血管透過性の亢進(炎症、アレルギー、熱傷)、リンパ流の障害(腋窩リンパ節郭清後、フィラリア)があり、この4つのどれかに当てはめて考える癖をつけると迷わない。設問が「濃度低下が浮腫を引き起こす」と限定している点が鍵で、ヒスタミンやキニンは逆に「増加」して浮腫を起こす物質である。

✓ 1. 正しい
アルブミン
血漿膠質浸透圧を担う主役の蛋白。減少すると水を血管内に引き戻せず間質へ漏れ、全身性浮腫となる。ネフローゼ症候群、肝硬変、低栄養が代表的な原因。
✗ 2. 誤り
ヒスタミン
肥満細胞や好塩基球から放出され、細静脈の内皮細胞を収縮させて透過性を高める。浮腫(膨疹・発赤)を起こすのは「増加したとき」であり、濃度低下によるものではない。
✗ 3. 誤り
キニン
ブラジキニンなどで、血管拡張・透過性亢進・疼痛を起こす炎症のメディエーター。これも増加する側で働く物質で、低下が浮腫を招くわけではない。
✗ 4. 誤り
ヘモグロビン
赤血球内で酸素を運ぶ蛋白。低下すれば貧血となり動悸・息切れ・易疲労を来すが、膠質浸透圧を担っていないため、それ自体が浮腫の直接原因にはならない。
ポイント
  • 膠質浸透圧の主役はアルブミン。低下すると水を血管内に引き戻せず浮腫になる。
  • 低アルブミン血症の原因=ネフローゼ症候群(尿へ喪失)、肝硬変(合成低下)、低栄養(材料不足)、蛋白漏出性胃腸症。
  • 浮腫の機序は「膠質浸透圧低下・静水圧上昇・透過性亢進・リンパ流障害」の4つに分けて考える。
  • ヒスタミンやブラジキニンは「増加して」透過性を高めるタイプ。設問の「濃度低下」とは向きが逆。
  • ヘモグロビン低下は貧血であって浮腫の直接原因ではない、と切り分ける。
比較表
機序何がどう変化するか代表例
膠質浸透圧の低下アルブミンが減るネフローゼ症候群、肝硬変、低栄養
静水圧の上昇静脈側の圧が上がる心不全、深部静脈血栓症、妊娠子宮による圧迫
血管透過性の亢進ヒスタミン・キニンなどが増える炎症、アレルギー、熱傷
リンパ流の障害リンパ排液が滞る腋窩リンパ節郭清後、フィラリア症
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