学習トップ理由で解く 柔道整復師病理学概論 ▸ §4 退行性病変・代謝障害 / QJ26A098

理由で解く 柔道整復師

QJ26A098 病理学概論

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午前 問98
問題
結節性多発性動脈炎でみられるのはどれか。
選択肢
1 アミロイド変性
2 空胞変性
3 脂肪変性
4 フィブリノイド変性
解答
正解4(フィブリノイド変性)
解説

結節性多発性動脈炎は中〜小型の動脈に起こる壊死性血管炎で、血管壁がフィブリノイド変性(フィブリノイド壊死)を示すのが最大の特徴である。

フィブリノイド変性とは、血管壁の膠原線維や平滑筋が壊れたところへ血漿中のフィブリンなどの蛋白が染み込み、ヘマトキシリン・エオジン染色で無構造・均質・強い好酸性(濃い赤桃色)に見える変化をいう。「フィブリンのような(fibrinoid)」という名の通り、見た目がフィブリンに似ているためこう呼ばれる。背景にあるのは、抗原抗体複合体が血管壁に沈着して補体を活性化し、集まった好中球が放出する酵素で壁が破壊されるというⅢ型アレルギーの機序である。したがってフィブリノイド変性は結節性多発性動脈炎だけでなく、悪性高血圧の細動脈、全身性エリテマトーデス、リウマチ熱のアショフ結節など、膠原病・血管炎に広く共通してみられる。結節性多発性動脈炎では壁の壊死から小動脈瘤や血栓・梗塞が生じ、腎・消化管・末梢神経・皮膚など多臓器の症状(発熱、体重減少、多発単神経炎、腹痛、高血圧)が出る。多発単神経炎による手足のしびれや筋力低下を訴える例もあるため、原因不明の全身症状を伴う神経症状では医療機関への受診を促す。

✓ 4. 正しい
フィブリノイド変性
血管壁が壊れて血漿蛋白が染み込み、無構造・均質で強く好酸性に染まる。免疫複合体の沈着(Ⅲ型アレルギー)を背景とする壊死性血管炎の基本病変で、結節性多発性動脈炎の診断上の決め手となる。
✗ 1. 誤り
アミロイド変性
アミロイドという線維状の異常蛋白が組織に沈着する変化である。関節リウマチや結核など長期の慢性炎症に続発する全身性アミロイドーシス、アルツハイマー病の老人斑などでみられる。コンゴレッド染色で橙赤色に染まり、偏光顕微鏡で緑色の複屈折を示すのが特徴で、血管炎そのものの本態ではない。
✗ 2. 誤り
空胞変性
細胞膜のナトリウムポンプがうまく働かず細胞内に水がたまり、細胞質に空胞ができる変化で、水腫様変性ともいう。低酸素にさらされた尿細管上皮やウイルス性肝炎の肝細胞などにみられ、原因が取り除かれれば元に戻る可逆的な変性である。
✗ 3. 誤り
脂肪変性
細胞質内に中性脂肪の滴がたまる変化である。アルコール多飲・肥満・糖尿病などによる脂肪肝、重症貧血や中毒でみられる心筋の脂肪変性(虎斑心)が代表で、血管壁の炎症性壊死とは別の現象である。
ポイント
  • 結節性多発性動脈炎=中〜小動脈の壊死性血管炎。血管壁のフィブリノイド変性が特徴。
  • フィブリノイド変性の見え方は「無構造・均質・強い好酸性」。免疫複合体沈着(Ⅲ型アレルギー)が背景。
  • 同じ変化がみられるもの:悪性高血圧、全身性エリテマトーデス、リウマチ熱(アショフ結節)。
  • アミロイド=コンゴレッド染色+偏光下の緑色複屈折。空胞変性=可逆性。脂肪変性=脂肪肝・虎斑心。
  • 結節性多発性動脈炎の臨床像:発熱・体重減少・高血圧・腹痛・多発単神経炎
比較表
変性たまる/変わるもの代表的な場面可逆性
フィブリノイド変性血漿蛋白(フィブリン様物質)結節性多発性動脈炎、悪性高血圧、膠原病不可逆(壊死)
アミロイド変性アミロイド(異常線維蛋白)続発性アミロイドーシス、アルツハイマー病不可逆
空胞変性(水腫様変性)低酸素の尿細管、ウイルス性肝炎可逆
脂肪変性中性脂肪脂肪肝、虎斑心可逆
硝子変性均質な蛋白(硝子様物質)細動脈硬化、瘢痕、ラッセル小体不可逆に傾く
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