学習トップ理由で解く 柔道整復師病理学概論 ▸ §4 退行性病変・代謝障害 / QJ25A097

理由で解く 柔道整復師

QJ25A097 病理学概論

出典:第25回柔道整復師国家試験(2017)午前 問97
問題
変性と疾患の組合せで誤っているのはどれか。
選択肢
1 硝子滴変性-水銀中毒
2 アミロイド変性-手根管症候群
3 フィブリノイド変性 →-フォン・ギルケ(von Gierke) 病
4 脂肪変性-アルコール性肝障害
解答
正解3(フィブリノイド変性 →-フォン・ギルケ(von Gierke) 病)
解説

フォン・ギルケ病は糖原病Ⅰ型で、肝や腎の細胞にグリコーゲンが蓄積する糖原変性の代表です。フィブリノイド変性とは結びつきません。

変性は、細胞や間質に本来ない物質、あるいは過剰な量の物質がたまる可逆性の変化で、「何がたまるか」で名前が決まります。フィブリノイド変性は膠原線維や血管壁がフィブリンに似た無構造・好酸性の物質に置き換わるもので、全身性エリテマトーデスや関節リウマチ、結節性多発動脈炎などの膠原病、リウマチ熱、悪性高血圧でみられます。一方フォン・ギルケ病はグルコース-6-ホスファターゼの欠損により、蓄えたグリコーゲンをブドウ糖として血中に放出できず、肝腫大と空腹時低血糖をきたす先天代謝異常です。たまるのはグリコーゲンなので、対応する変化は糖原変性になります。組合せ問題は「蓄積物質は何か」を一度言語化してから照合すると崩れません。

✓ 3. これが答え(組合せが成り立たない)
フィブリノイド変性 →-フォン・ギルケ(von Gierke) 病
フォン・ギルケ病で蓄積するのはグリコーゲンであり、正しくは糖原変性と組みます。フィブリノイド変性は膠原病やリウマチ熱、悪性高血圧の血管・結合組織にみられる変化で、両者は対応しません。
✗ 1. 組合せは正しい(=答えではない)
硝子滴変性-水銀中毒
水銀などの重金属は近位尿細管上皮を傷害し、濾過された蛋白の再吸収が過剰になって細胞質に好酸性の硝子滴が現れます。ネフローゼ症候群でも同じ像がみられ、組合せとして成立します。
✗ 2. 組合せは正しい(=答えではない)
アミロイド変性-手根管症候群
長期透析ではβ2ミクログロブリン由来のアミロイドが滑膜や横手根靱帯に沈着し、手根管が狭くなって正中神経が圧迫されます(透析アミロイドーシス)。母指球の萎縮や、正中神経支配領域である母指~環指の橈側(母指側)のしびれを診たら既往の確認が役立ちます。
✗ 4. 組合せは正しい(=答えではない)
脂肪変性-アルコール性肝障害
エタノールの代謝でNADHが増えると脂肪酸のβ酸化が抑えられ、中性脂肪が肝細胞にたまります。これがアルコール性脂肪肝で、脂肪変性の代表例です。
ポイント
  • 変性は「何がたまるか」で命名される可逆性の変化。名称と蓄積物質をセットで覚える
  • 硝子滴変性=蛋白(近位尿細管):ネフローゼ症候群、重金属中毒
  • アミロイド変性=アミロイド線維:透析アミロイドーシス(手根管症候群)、続発性アミロイドーシス
  • フィブリノイド変性=フィブリン様物質:膠原病、リウマチ熱、悪性高血圧
  • 糖原変性=グリコーゲン:糖原病(フォン・ギルケ病=Ⅰ型、ポンペ病=Ⅱ型)、コントロール不良の糖尿病
比較表
変性の種類蓄積する物質代表疾患
硝子滴変性蛋白(再吸収された血漿蛋白)ネフローゼ症候群、水銀など重金属中毒
アミロイド変性アミロイド線維透析アミロイドーシス(手根管症候群)、続発性アミロイドーシス
フィブリノイド変性フィブリン様の無構造物質膠原病(SLE、関節リウマチ)、リウマチ熱、悪性高血圧
糖原変性グリコーゲン糖原病(フォン・ギルケ病)、糖尿病
脂肪変性中性脂肪アルコール性脂肪肝、肥満、低栄養(クワシオルコル)
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。