学習トップ理由で解く 柔道整復師病理学概論 ▸ §3 病因 / QJ25A096

理由で解く 柔道整復師

QJ25A096 病理学概論

出典:第25回柔道整復師国家試験(2017)午前 問96
問題
日和見感染の原因でないのはどれか。
選択肢
1 抗癌薬投与
2 免疫抑制療法
3 抗菌薬投与
4 放射線療法
解答
正解3(抗菌薬投与)
解説

日和見感染は「宿主の抵抗力(免疫能)が落ちたときに、本来は弱毒の微生物が感染症を起こす」現象です。したがって各肢が免疫能を下げるかどうかが判断の分かれ目になります。

抗癌薬・免疫抑制療法・放射線療法は、いずれも骨髄やリンパ組織を直接抑え込み、好中球減少やリンパ球機能低下を招きます。宿主側の防御が薄くなるため、緑膿菌・MRSA・カンジダ・アスペルギルス・ニューモシスチス・サイトメガロウイルスといった弱毒微生物が病原性を発揮します。一方、抗菌薬の投与で問題になるのは常在細菌叢のバランスが崩れることで、感受性菌が減った隙に耐性菌や真菌が増える菌交代症(菌交代現象)です。偽膜性大腸炎や口腔カンジダ症がその代表で、宿主の免疫そのものが低下しているわけではない点で成り立ちが異なります。この「免疫低下が前提か、細菌叢の乱れが前提か」という切り分けが本問の核心です。

✓ 3. これが答え(日和見感染の原因ではない)
抗菌薬投与
抗菌薬は細菌に作用する薬であり、宿主の免疫細胞を減らす作用は持ちません。起こるのは常在細菌叢の攪乱による菌交代症で、日和見感染とは発症の土台が別です。長期投与を受けている人では下痢や便性状の変化、口腔内の白苔に気づいたら、早めに主治医へ情報を伝えるようすすめます。
✗ 1. 日和見感染の原因になる(=答えではない)
抗癌薬投与
抗癌薬は分裂の盛んな細胞を叩くため骨髄抑制が避けられず、好中球減少期には弱毒菌でも重い感染症を起こします。発熱性好中球減少症は緊急対応が必要な病態です。
✗ 2. 日和見感染の原因になる(=答えではない)
免疫抑制療法
副腎皮質ステロイドや免疫抑制薬は、移植後の拒絶反応や膠原病の治療で用いられ、細胞性免疫を中心に働きを抑えます。ニューモシスチス肺炎や深在性真菌症、サイトメガロウイルス感染の背景になります。
✗ 4. 日和見感染の原因になる(=答えではない)
放射線療法
照射野に造血組織やリンパ組織が含まれると白血球が減少し、粘膜障害も加わって病原体の侵入門戸が広がります。抗癌薬と同様に免疫能低下を介した日和見感染の原因になります。
ポイント
  • 日和見感染=宿主の免疫能低下が前提。弱毒菌・常在菌が起因菌になる
  • 免疫を下げる要因:抗癌薬・免疫抑制薬・放射線・HIV感染・糖尿病・低栄養・高齢・熱傷
  • 抗菌薬で起こるのは菌交代症(偽膜性大腸炎、口腔カンジダ症)で、免疫低下とは別枠として整理する
  • 代表的起因微生物:緑膿菌、MRSA、カンジダ、アスペルギルス、ニューモシスチス、サイトメガロウイルス
  • 施術現場では手指衛生とリネン・器具の管理を徹底し、発熱や口腔内白苔を認めたら受診をすすめる
比較表
日和見感染菌交代症
成り立ち宿主の免疫能が低下する常在細菌叢のバランスが崩れる
きっかけ抗癌薬・免疫抑制薬・放射線・HIV・糖尿病抗菌薬(とくに広域・長期投与)
起因微生物緑膿菌、カンジダ、アスペルギルス、ニューモシスチス、CMVクロストリジオイデス・ディフィシル、カンジダ、MRSA
代表例ニューモシスチス肺炎、深在性真菌症偽膜性大腸炎、口腔カンジダ症
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