学習トップ理由で解く 柔道整復師病理学概論 ▸ §4 退行性病変・代謝障害 / QJ26A099

理由で解く 柔道整復師

QJ26A099 病理学概論

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午前 問99
問題
壊死病変で誤っている組合せはどれか。
選択肢
1 乾酪壊死→-結核結節
2 融解壊死-脳軟化
3 湿性壊疽-心筋梗塞
4 乾性壊疽ミイラ化
解答
正解3(湿性壊疽-心筋梗塞)
解説

心筋梗塞で起こるのは凝固壊死であり、湿性壊疽との組合せは成り立たない。よって誤っているのは3である。

壊死は形態から三つに整理する。凝固壊死は虚血で細胞が死んでも細胞内の蛋白が固まるため組織の輪郭がしばらく保たれるもので、心筋梗塞・腎梗塞・脾梗塞が代表である。融解壊死は加水分解酵素によって組織が溶けて液状になるもので、蛋白が少なく脂質に富む脳の梗塞(脳軟化)や、好中球の酵素で溶ける化膿巣がこれにあたる。乾酪壊死は結核に特徴的で、肉眼的にチーズのような白色・均質・もろい壊死物となる。これに対し壊疽は独立した型ではなく、壊死組織に「乾燥」や「腐敗菌の感染」という二次的変化が加わった状態を指す。乾燥が優位なら水分が抜けて黒く硬く縮む乾性壊疽(ミイラ化)、腐敗菌が増えれば軟らかく悪臭を放つ湿性壊疽、ガス産生菌(クロストリジウム)が加わればガス壊疽となる。ここで決め手になるのは、壊疽は外界と通じる場所(四肢末端・腸管・肺・子宮など)で起こるという点である。心筋は閉じた体内にあり腐敗菌が入り込まないので、壊疽の形はとらない。

✓ 3. これが答え(組合せが成り立たない)
湿性壊疽-心筋梗塞
心筋梗塞は冠状動脈の閉塞による虚血で生じる典型的な凝固壊死である。閉じた体内の臓器であり腐敗菌の侵入がないため、湿性壊疽にはならない。湿性壊疽の実例は、腸重積や絞扼性イレウスによる腸管壊死、糖尿病足病変などである。
✗ 1. 組合せは正しい(答えではない)
乾酪壊死→-結核結節
結核結節は、類上皮細胞とラングハンス巨細胞が取り囲む中心部にチーズ様の乾酪壊死を伴う。乾酪壊死は結核を強く示唆する所見で、この組合せは正しい。
✗ 2. 組合せは正しい(答えではない)
融解壊死-脳軟化
脳は蛋白が少なく脂質に富むため、梗塞に陥ると組織が固まらずに酵素で溶け、軟らかくなる(脳軟化)。壊死物はマクロファージ(貪食細胞)に処理され、最終的に嚢胞状の空洞と周囲のグリア瘢痕が残る。
✗ 4. 組合せは正しい(答えではない)
乾性壊疽ミイラ化
閉塞性動脈硬化症やバージャー病などで足趾の血流が絶たれると、水分が失われて黒く硬く縮む。この見た目からミイラ化と表現され、乾性壊疽の典型である。
ポイント
  • 凝固壊死=心筋梗塞・腎梗塞・脾梗塞。組織の輪郭が残る。
  • 融解壊死=脳梗塞(脳軟化)・化膿巣。溶けて液状になる。
  • 乾酪壊死=結核。チーズ様の白色でもろい。
  • 壊疽=壊死+二次変化。乾性=ミイラ化(足趾)、湿性=腐敗菌(腸管・糖尿病足)、ガス壊疽=クロストリジウム
  • 壊疽は外界と通じる部位で起こる。閉じた臓器の梗塞は壊疽にならない、が判断の軸。
比較表
肉眼・組織像起こる場所代表疾患
凝固壊死白色・硬め、輪郭が残る心・腎・脾心筋梗塞、腎梗塞
融解壊死軟化・液状化、のちに嚢胞脳、化膿巣脳軟化、膿瘍
乾酪壊死チーズ様の白色・もろい肺・リンパ節ほか結核結節
乾性壊疽黒色・硬い・縮む(ミイラ化)四肢末端閉塞性動脈硬化症、バージャー病
湿性壊疽軟らかい・悪臭・腫脹腸管、糖尿病足、肺絞扼性イレウス、糖尿病性壊疽
ガス壊疽捻髪音(ガス貯留)・急速進行汚染創、筋層クロストリジウム感染
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