学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §11 骨の生理 / QJ26A078

理由で解く 柔道整復師

QJ26A078 生理学

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午前 問78
問題
血漿カルシウム濃度の低下に対して起こる生体反応はどれか。
選択肢
1 カルシトニン分泌の増加
2 上皮小体ホルモン分泌の増加
3 活性型ビタミンD合成の低下
4 腎のカルシウム再吸収の低下
解答
正解2(上皮小体ホルモン分泌の増加)
解説

血漿カルシウム濃度が下がると、上皮小体(副甲状腺)ホルモン(PTH)の分泌が増える。PTHは骨・腎・腸に働いて血中カルシウムを引き上げる、低カルシウム時の主役である。

血漿カルシウム濃度は約8.5〜10mg/dLという狭い範囲に保たれている。神経・筋の興奮性や血液凝固に直結するためで、下がりすぎると手足のしびれやテタニーが起こる。上皮小体の主細胞にはカルシウム感知受容体があり、血中カルシウムの低下を直接感知してPTHの分泌を増やす。PTHの作用は三つある。第一に骨で、骨芽細胞を介してRANKLの発現を高め、破骨細胞による骨吸収を進めてカルシウムを血中に動員する。第二に腎で、遠位尿細管でのカルシウム再吸収を高めて尿への喪失を減らし、同時に近位尿細管でのリン再吸収を抑えてリンを排泄させる。第三に腎近位尿細管の1α-水酸化酵素を活性化して活性型ビタミンD(1,25-ジヒドロキシビタミンD)の合成を増やし、腸管からのカルシウム吸収を高める。反対に血中カルシウムが上がったときは甲状腺の傍濾胞細胞(C細胞)からカルシトニンが出て、骨吸収を抑えて濃度を下げる。PTHとカルシトニンは向きが正反対だと押さえれば、選択肢の取り違えを防げる。

✗ 1. 誤り
カルシトニン分泌の増加
カルシトニンは血漿カルシウムが上昇したときに甲状腺傍濾胞細胞から分泌が増えるホルモンである。低下時にはむしろ分泌が減る方向で、向きが逆になっている。
✓ 2. 正しい
上皮小体ホルモン分泌の増加
上皮小体主細胞のカルシウム感知受容体が低下を感知して分泌を増やす。骨吸収の促進、腎でのカルシウム再吸収の増加、活性型ビタミンD合成の増加により血中カルシウムを引き上げる。
✗ 3. 誤り
活性型ビタミンD合成の低下
逆である。PTHが腎の1α-水酸化酵素を活性化するため活性型ビタミンDの合成は増え、腸管からのカルシウム吸収が高まる。
✗ 4. 誤り
腎のカルシウム再吸収の低下
これも逆で、PTHは遠位尿細管でのカルシウム再吸収を高め、尿中への喪失を減らす。同時にリンの再吸収は抑えて排泄を増やす(カルシウムとリンで向きが違う点に注意)。
ポイント
  • 血漿カルシウム低下→PTH分泌増加。PTHは骨吸収↑、腎でのカルシウム再吸収↑、活性型ビタミンD合成↑で血中カルシウムを上げる。
  • 血漿カルシウム上昇→カルシトニン分泌増加。骨吸収を抑えて血中カルシウムを下げる。PTHと正反対。
  • PTHは腎でカルシウムは再吸収を促し、リンは排泄を促す(カルシウムとリンは逆向き)。
  • 活性型ビタミンDは腎の1α-水酸化酵素で作られ、腸管からのカルシウム吸収を高める。
  • 血漿カルシウムの基準はおよそ8.5〜10mg/dL。低下すると手指のしびれやテタニーが生じうる。
比較表
項目血漿カルシウム低下時血漿カルシウム上昇時
PTH(上皮小体ホルモン)分泌増加分泌減少
カルシトニン分泌減少分泌増加
骨吸収促進(カルシウムを動員)抑制
腎でのカルシウム再吸収増加減少
活性型ビタミンD合成増加減少
腸管からのカルシウム吸収増加減少
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