学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §11 骨の生理 / QJ26A077

理由で解く 柔道整復師

QJ26A077 生理学

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午前 問77
問題
骨で誤っているのはどれか。
選択肢
1 骨内に神経が分布する。
2 破骨細胞によって骨吸収が行われる。
3 骨芽細胞はコラーゲンを分泌する。
4 荷重負荷によって骨形成が抑制される。
解答
正解4(荷重負荷によって骨形成が抑制される。)
解説

この設問は誤っている記述を選ぶ問題である。骨は加わる力学的負荷に応じて作り替えられ、荷重は骨形成を促進する。したがって「荷重負荷によって骨形成が抑制される」という記述が誤りにあたる。

骨は一度できあがったら変わらない硬い組織ではなく、破骨細胞による骨吸収と骨芽細胞による骨形成を絶えず繰り返して入れ替わっている(リモデリング)。破骨細胞は単球・マクロファージ系に由来する多核の細胞で、骨面に密着して酸と蛋白分解酵素を出し、骨基質を溶かす。骨芽細胞は間葉系由来で、I型コラーゲンを主とする類骨を分泌し、そこにハイドロキシアパタイトが沈着して骨になる。骨基質に埋め込まれた骨芽細胞は骨細胞となり、骨小腔と骨細管のネットワークで力学的なひずみを感知するセンサーとして働く。骨に加わる荷重が増えるとこのセンサーを介して骨形成が優位になり、逆に長期臥床・ギプス固定・無重力のように荷重がかからない状態が続くと骨吸収が優位となって骨量が減る(廃用性骨萎縮)。これがヴォルフの法則の考え方である。臨床では、固定期間中も可能な範囲で等尺性収縮や隣接関節の運動を行い、固定除去後は医師の指示に沿って段階的に荷重を再開していくことが、骨量と機能の回復につながる。

✗ 1. 正しい記述(答えではない)
骨内に神経が分布する。
栄養孔から血管とともに神経が入り、骨膜・骨髄・ハバース管に分布する。とくに骨膜は知覚神経が豊富で痛みに敏感であり、骨折や骨膜損傷で強い疼痛が生じる理由になっている。
✗ 2. 正しい記述(答えではない)
破骨細胞によって骨吸収が行われる。
破骨細胞は単球・マクロファージ系由来の多核細胞で、骨面に接して酸と蛋白分解酵素を分泌し骨基質を溶かす。骨形成を担う骨芽細胞と対をなす。
✗ 3. 正しい記述(答えではない)
骨芽細胞はコラーゲンを分泌する。
I型コラーゲンを主体とする類骨(骨基質)を分泌し、そこにカルシウムとリンがハイドロキシアパタイトとして沈着して石灰化する。骨基質に埋まった骨芽細胞は骨細胞になる。
✓ 4. 誤っている記述(これが答え)
荷重負荷によって骨形成が抑制される。
実際は逆で、荷重や運動による力学的刺激は骨細胞を介して骨形成を促進する。骨形成が抑えられて骨量が減るのは、長期臥床や固定、無重力など荷重がかからない状態のときである。
ポイント
  • 骨は骨吸収(破骨細胞)と骨形成(骨芽細胞)を繰り返すリモデリングによって入れ替わり続ける。
  • 荷重・運動は骨形成を促進し、不動・臥床・無重力は骨吸収を優位にして骨量を減らす(廃用性骨萎縮)。ヴォルフの法則。
  • 骨芽細胞=間葉系由来でI型コラーゲンを分泌、破骨細胞=単球・マクロファージ系由来の多核細胞。
  • 骨細胞は骨小腔にあり、力学的ひずみを感知するセンサーとして骨形成・吸収のバランスを調節する。
  • 骨には血管とともに神経が分布し、骨膜は特に痛覚が鋭敏。固定中も可能な範囲で運動を行い、除去後は段階的に荷重を戻していく。
比較表
状態骨形成骨吸収骨量の変化
荷重・運動が十分促進相対的に抑制維持〜増加歩行、荷重訓練、スポーツ
不動・免荷抑制優位減少長期臥床、ギプス固定、無重力
上皮小体ホルモン過剰促進減少上皮小体機能亢進症
エストロゲン低下促進減少閉経後骨粗鬆症
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