学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §11 骨の生理 / QJ27A076

理由で解く 柔道整復師

QJ27A076 生理学

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午前 問76
問題
上皮小体ホルモンの作用で正しいのはどれか。
選択肢
1 骨吸収を増加させる。
2 ビタミンDを不活化する。
3 腎臓からのカルシウムイオン排泄を増加させる。
4 消化管からのカルシウムイオン吸収を低下させる。
解答
正解1(骨吸収を増加させる。)
解説

上皮小体ホルモン(PTH、パラソルモン)は血中カルシウム濃度を上げるホルモンである。骨吸収を促してカルシウムを血中へ動員するのがその代表的な作用である。

PTHは血中Ca2+の低下を感知して上皮小体(副甲状腺)から分泌され、3つの経路すべてで血中Ca2+を上げる方向に働く。すなわち、①骨では骨芽細胞を介して破骨細胞の活動を高め、骨を溶かしてCaとリンを血中へ放出させる(骨吸収の促進)、②腎の遠位尿細管ではCa2+の再吸収を促進して尿中への排泄を減らす一方、近位尿細管でのリン酸再吸収は抑えてリンの排泄を増やす、③腎で1α-水酸化酵素を活性化してビタミンDを活性型(1,25-ジヒドロキシビタミンD)に変え、腸管からのCa吸収を高める。逆に血中Ca2+を下げるのが甲状腺傍濾胞細胞から出るカルシトニンで、「上げるPTH/下げるカルシトニン」と対で押さえておけば、選択肢の作用の向きで迷うことがなくなる。

✓ 1. 正しい
骨吸収を増加させる。
PTHは骨芽細胞を介して破骨細胞を活性化し、骨基質を溶かしてカルシウムとリンを血中へ放出させる。血中Ca2+を速やかに上げる主要な経路であり、過剰状態(原発性副甲状腺機能亢進症)では骨がもろくなる。
✗ 2. 誤り
ビタミンDを不活化する。
作用の向きが逆である。PTHは腎の1α-水酸化酵素を活性化してビタミンDを活性型に変換し、腸管からのCa吸収を高める。血中Ca2+を上げるという一貫した方向で覚えるとよい。
✗ 3. 誤り
腎臓からのカルシウムイオン排泄を増加させる。
これも逆である。PTHは遠位尿細管でCa2+の再吸収を促し、尿中への排泄を減らす。排泄が増えるのはリン酸のほうであり、Caとリンで向きが逆になる点が問われやすい。
✗ 4. 誤り
消化管からのカルシウムイオン吸収を低下させる。
これも逆である。PTHは活性型ビタミンDの産生を介して腸管からのCa吸収を促進する。3つの標的(骨・腎・腸)すべてで血中Ca2+を上げる向きに働くと押さえる。
ポイント
  • PTH(上皮小体ホルモン・パラソルモン)=血中Ca2+を上げるホルモン。血中Ca低下で分泌される。
  • 骨:骨吸収を促進(破骨細胞を活性化)。腎:Ca2+再吸収を促進、リン酸排泄を増加
  • 腎で活性型ビタミンDを作らせ、腸管からのCa吸収を促進する(間接作用)。
  • カルシトニン(甲状腺傍濾胞細胞)はPTHと逆に血中Ca2+を下げる。
  • PTHはカルシウムとリンで作用の向きが逆(Caは体内に貯め、リンは捨てる)。
比較表
ホルモン分泌部位腎でのCa腸管でのCa吸収血中Ca
PTH(上皮小体ホルモン)上皮小体骨吸収↑再吸収↑(排泄↓)↑(活性型ビタミンD経由)上昇
活性型ビタミンD腎(活性化)骨吸収↑再吸収↑↑(直接作用)上昇
カルシトニン甲状腺傍濾胞細胞骨吸収↓再吸収↓(排泄↑)影響小低下
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