学習トップ理由で解く 柔道整復師解剖学 ▸ §8 内分泌器系 / QJ26A050

理由で解く 柔道整復師

QJ26A050 解剖学

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午前 問50
問題
門脈系をもつのはどれか。
選択肢
1 下垂体
2 甲状腺
3 上皮小体
4 副腎
解答
正解1(下垂体)
解説

下垂体には視床下部と前葉を結ぶ下垂体門脈系があり、内分泌腺のなかで門脈系をもつのは下垂体である。

門脈系とは、毛細血管網→静脈→再び毛細血管網、というように毛細血管を2度通る血管配列をいう。ヒトで代表的なのは肝門脈系と下垂体門脈系である。下垂体では、上下垂体動脈が視床下部の正中隆起で一次毛細血管網を作り、ここに神経分泌細胞の軸索終末から放出ホルモン・抑制ホルモン(GnRH、TRH、CRH、GHRH、ソマトスタチン、ドパミンなど)が分泌される。この血液が下垂体門脈となって漏斗を下り、前葉(腺性下垂体)で二次毛細血管網となって前葉細胞にホルモンを届ける。この配列のおかげで、視床下部が出すごく微量のホルモンが全身循環で薄まることなく前葉に作用できる。なお後葉(神経性下垂体)は視索上核・室傍核の神経細胞の軸索が直接伸びてきており、下下垂体動脈から直接血流を受けるので門脈系を介さない。「視床下部→前葉は血流(門脈)で、視床下部→後葉は神経(軸索輸送)」と対にして押さえると混乱しない。

✓ 1. 正しい
下垂体
正中隆起の一次毛細血管網から下垂体門脈を経て前葉の二次毛細血管網へ至る下垂体門脈系をもつ。視床下部ホルモンの伝達路である。
✗ 2. 誤り
甲状腺
上甲状腺動脈(外頸動脈の枝)と下甲状腺動脈(甲状頸動脈幹の枝)から動脈血を受け、上・中甲状腺静脈は内頸静脈へ、下甲状腺静脈は腕頭静脈へ帰る。毛細血管を通るのは1回で、門脈系はもたない。
✗ 3. 誤り
上皮小体
副甲状腺。甲状腺の後面に埋まる米粒大の4個の腺で、主に下甲状腺動脈の枝が養う。毛細血管を1回通って静脈へ帰るだけで、門脈系はもたない。
✗ 4. 誤り
副腎
上・中・下副腎動脈から血流を受け、副腎静脈は右が下大静脈、左が左腎静脈へ注ぐ。皮質の類洞は静脈を挟まずにそのまま髄質の血管洞へ連続するため、毛細血管網→静脈→毛細血管網という門脈系の定義には当たらない。
ポイント
  • 門脈系=毛細血管網→静脈→毛細血管網。毛細血管を2回通るのが定義。
  • ヒトの代表は肝門脈系と下垂体門脈系。
  • 下垂体門脈系:正中隆起の一次毛細血管網→下垂体門脈→前葉の二次毛細血管網。
  • 前葉へは血流(門脈)で放出ホルモンが届き、後葉へは軸索輸送でホルモンが運ばれる。
  • 甲状腺・上皮小体・副腎は通常の動脈→毛細血管→静脈の配列で門脈系をもたない。副腎の皮質類洞→髄質血管洞も、間に静脈を挟まないので門脈系ではない。
比較表
部位視床下部との連絡血管配列
下垂体前葉下垂体門脈による液性連絡一次毛細血管網→門脈→二次毛細血管網(門脈系)
下垂体後葉神経(軸索)による直接連絡下下垂体動脈→毛細血管→静脈
肝臓消化管の毛細血管→門脈→類洞(門脈系)
甲状腺・上皮小体動脈→毛細血管→静脈(門脈系なし)
副腎動脈→皮質類洞→(静脈を挟まず)髄質血管洞→静脈。毛細血管を2回通らないので門脈系ではない
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