学習トップ理由で解く 柔道整復師解剖学 ▸ §2 運動器系 / QJ26A035

理由で解く 柔道整復師

QJ26A035 解剖学

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午前 問35
問題
肘関節伸展時、上腕骨の肘頭窩に入る部位はどれか。
図
選択肢
1 a
2 b
3 c
4 d
解答
正解4
解説

肘関節を伸展したとき、上腕骨後面の肘頭窩にはまり込むのは尺骨の肘頭である。正答は d。

上腕骨遠位端には3つのくぼみがあり、後面には肘頭窩、前面の内側(滑車の上)には鈎突窩、前面の外側(小頭の上)には橈骨窩がある。伸展の最終域では尺骨の肘頭が後方から肘頭窩に入り込み、骨どうしがぶつかることで伸展が止まる。逆に屈曲の最終域では、前面の2つのくぼみに尺骨の鈎状突起と橈骨頭がそれぞれ収まる。つまり「後面のくぼみ=伸展でしまる、前面のくぼみ=屈曲でしまる」という対応で整理できる。なお肘関節は単一の関節ではなく、上腕骨滑車と尺骨滑車切痕からなる腕尺関節(らせん関節)、上腕骨小頭と橈骨頭窩からなる腕橈関節(球関節)、橈骨の関節環状面と尺骨橈骨切痕からなる上橈尺関節(車軸関節)が一つの関節包に包まれた複関節であり、肘頭窩と肘頭による骨性の制動が働くのは、このうち腕尺関節の屈伸に対してである。この骨性の制動があるため、肘頭窩に骨折後の仮骨や遊離体、骨棘が生じると伸展制限が残りやすく、逆に鈎突窩側の変化は屈曲制限として現れる。図で示された点がどの骨のどの面にあるかをまず言葉にしてから、後面の肘頭窩と組む突起を選ぶとよい。

✗ 1. 誤り
a
図中の a が指すのは肘頭ではない部位で、伸展時に肘頭窩へ入る構造ではない。肘関節でくぼみに入り込む突起は、伸展時の尺骨肘頭(肘頭窩)、屈曲時の尺骨鈎状突起(鈎突窩)と橈骨頭(橈骨窩)の3つしかないので、この3つのどれに当たるかを確かめて絞り込む。
✗ 2. 誤り
b
図中の b も肘頭ではない部位を指している。上腕骨滑車や小頭のような関節面そのもの、あるいは前面の突起を指している場合は、設問の「肘頭窩に入る部位」には該当しない。指されている点が前面か後面かを見分けるのが決め手になる。
✗ 3. 誤り
c
図中の c も肘頭以外の部位である。屈曲時に前面のくぼみへ入る鈎状突起や橈骨頭は、肢位が逆になるため本設問の答えにはならない。「伸展→後面→肘頭」とセットで確認する。
✓ 4. 正しい
d
図中の d が尺骨の肘頭にあたる。肘頭は尺骨近位端の後上方に突出する大きな隆起で、伸展の最終域で上腕骨後面の肘頭窩に入り込み、腕尺関節の伸展を骨性に制動する。体表からも触知でき、上腕三頭筋の停止部としても重要である。
ポイント
  • 上腕骨遠位端のくぼみは3つ:肘頭窩(後面)・鈎突窩(前面内側)・橈骨窩(前面外側)
  • 伸展で肘頭窩に入るのが尺骨肘頭屈曲で鈎突窩に入るのが尺骨鈎状突起、橈骨窩に入るのが橈骨頭。
  • 肘頭は上腕三頭筋の停止部で、体表から触知できるランドマーク。
  • 肘頭窩の骨性変化(仮骨・遊離体・骨棘)は伸展制限として現れる。
  • 肘関節は腕尺関節(らせん関節)・腕橈関節(球関節)・上橈尺関節(車軸関節)からなる複関節。肘頭窩と肘頭の骨性制動が効くのは腕尺関節の屈伸であり、「肘関節=蝶番関節」と一括りにしない。
比較表
上腕骨のくぼみ位置入り込む突起その肢位
肘頭窩後面尺骨 肘頭伸展
鈎突窩前面・滑車の上尺骨 鈎状突起屈曲
橈骨窩前面・小頭の上橈骨頭屈曲
肘関節をつくる関節関節面関節の種類おもな運動
腕尺関節上腕骨滑車-尺骨滑車切痕らせん関節(蝶番関節の変形)屈曲・伸展
腕橈関節上腕骨小頭-橈骨頭窩球関節屈曲・伸展+回内・回外
上橈尺関節橈骨関節環状面-尺骨橈骨切痕車軸関節回内・回外
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