学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §45 柔道整復理論 / QJ26A024

理由で解く 柔道整復師

QJ26A024 必修問題

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午前 問24
問題
ベネット(Bennett)骨折時の骨折部の変形はどれか。
選択肢
1 背側凸変形
2 掌側凸変形
3 外転屈曲変形
4 内転屈曲変形
解答
正解4(内転屈曲変形)
解説

ベネット骨折は第1中手骨基部の関節内骨折に手根中手(CM)関節の脱臼を伴うもので、母指は内転・屈曲した変形を呈する。正答は4。

母指CM関節は大菱形骨と第1中手骨がつくる鞍関節である。母指に軸圧と屈曲が加わると、基部の掌尺側に三角形の小骨片が生じるが、この小骨片は前斜走靱帯によって大菱形骨につなぎ止められて元の位置に残る。残された小骨片を置き去りにして、第1中手骨本体だけが長母指外転筋の牽引で橈背側かつ近位へ引き上げられ、CM関節は亜脱臼する。中手骨本体の転位方向はこの一方向だけである。一方、母指内転筋は第1中手骨ではなく母指基節骨底に停止する筋で、基節骨を介して母指全体を内転方向へ引く。その結果、外から見た母指は内転し屈曲したような肢位をとる。つまり「中手骨基部に起こる転位(橈背側・近位)」と「外見上の母指の肢位(内転・屈曲)」は別のもので、ここを混同すると転位方向を取り違える。転位させている筋を押さえておけば、整復方向(末梢牽引しながら母指を外転・伸展させ、基部を尺掌側へ押す)もそのまま導ける。

✓ 4. 正しい
内転屈曲変形
長母指外転筋が中手骨本体を橈背側・近位へ引き上げて基部が背側に突出し、母指内転筋が基節骨を介して母指全体を内転方向へ引くため、外から見た母指は内転・屈曲位の変形を示す。
✗ 1. 誤り
背側凸変形
骨幹部が弓なりに折れ曲がったときの表現で、基部の関節内骨折+脱臼であるベネット骨折の変形の呼び方ではない。中手骨本体が橈背側へずれるのは「転位」であって、骨折部の屈曲凸変形とは意味が異なる。
✗ 2. 誤り
掌側凸変形
同じく骨幹部の屈曲変形の表現であり、本骨折には当てはまらない。方向としても、中手骨本体は掌側ではなく橈背側へ引き上げられる。
✗ 3. 誤り
外転屈曲変形
屈曲は合っているが、外転という方向が逆である。母指内転筋の牽引によって母指全体は内転位をとるため、整復ではこれに抗して外転・伸展方向へ導く。
ポイント
  • ベネット骨折=第1中手骨基部の関節内骨折+CM関節脱臼(脱臼骨折)。
  • 掌尺側の小骨片は前斜走靱帯で大菱形骨に残り、中手骨本体だけが橈背側・近位へ転位する。転位方向はこの一つだけ。
  • 転位させるのは長母指外転筋。母指内転筋は基節骨底に停止し、母指全体を内転位にする=外見上の内転・屈曲変形をつくる。
  • 整復は末梢牽引+母指の外転・伸展、基部を尺掌側へ圧迫。整復位は保持されにくく再転位しやすい。
  • 放置・再転位すると変形性CM関節症とつまみ動作の障害を残すため、固定後も定期的に転位の有無を確認する。
比較表
項目ベネット骨折ローランド骨折
部位第1中手骨基部の関節内第1中手骨基部の関節内
骨折型掌尺側の小骨片+中手骨本体(2骨片)T字・Y字型の粉砕(3骨片以上)
脱臼CM関節の亜脱臼を伴う関節面の粉砕を伴う
整復・保持整復は可能だが再転位しやすい整復・保持がさらに困難
予後変形治癒でCM関節症を残しうるより不良、観血的治療となることが多い
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