学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §11 コーレス(Colles)骨折の診察および整復 / QJ26A023

理由で解く 柔道整復師

QJ26A023 必修問題

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午前 問23
問題
コーレス(Colles)骨折で正しいのはどれか。
選択肢
1 手関節橈屈強制によって発生する。
2 遠位骨片が手背方向に移動する。
3 母指と示指でのつまみ動作は可能である。
4 橈側転位はフォーク状変形を呈する。
解答
正解2(遠位骨片が手背方向に移動する。)
解説

コーレス骨折は手関節背屈強制で生じる橈骨遠位端骨折で、遠位骨片は背側すなわち手背方向へ転位する。よって2が正しい。

転倒して手掌をつき、手関節が背屈と回内を強制されることで橈骨遠位端部が折れる。遠位骨片は背側・橈側へ転位し、さらに短縮・回外を伴う。この転位を見る方向を変えて言い換えたのが二つの変形名で、側面から見ると背側転位のためにフォークを伏せたような段差ができてフォーク状変形、正面(背側)から見ると橈側転位のために銃剣を差したような輪郭になり銃剣状変形と呼ぶ。「側面=背側転位=フォーク状」「正面=橈側転位=銃剣状」と、方向と名称をペアで結び付けておくと選択肢の入れ替えに強くなる。高齢女性に多く骨粗鬆症を背景に持つことが多いため、整復・固定後は手指の自動運動と肩関節の運動を早期から指導し、複合性局所疼痛症候群(ズデック骨萎縮)や肩手症候群を防ぐ関わりが求められる。

✓ 2. 正しい
遠位骨片が手背方向に移動する。
背屈強制で折れるため、遠位骨片は力の向きに従って背側=手背方向へ転位する。この背側転位こそがフォーク状変形の実体であり、コーレス骨折を定義づける所見。掌側へ転位するのは掌屈強制で生じるスミス骨折(屈曲型、逆コーレス骨折)で、転位方向がそのまま両者の分かれ目になる。
✗ 1. 誤り
手関節橈屈強制によって発生する。
発生機転は橈屈強制ではなく背屈(伸展)強制。前方へ転倒して手掌を接地し、体重で手関節が反り返る瞬間に橈骨遠位端へ伸展力が集中して折れる。橈側転位は結果として生じる転位であって、発生機転そのものではない。「機転は背屈、転位は背側+橈側」と、原因と結果を分けて整理しておきたい。
✗ 3. 誤り
母指と示指でのつまみ動作は可能である。
つまみ動作は障害されることが多い。骨折部の腫脹と血腫で手根管内圧が上昇して正中神経が圧迫されると、母指球筋(短母指外転筋・母指対立筋)の筋力低下と母指・示指・中指橈側の感覚障害が生じ、母指を示指に向ける対立が弱まってつまみの力と巧緻性が落ちる。腫脹と疼痛による手指の運動制限も加わるため、つまみ動作は困難となる。加えて背側転位した骨片や骨性隆起との摩擦で長母指伸筋腱が遅れて断裂することもある。しびれの増強や指の色調不良を認めたら固定を緩めて再評価し、医師の診察につなげる。
✗ 4. 誤り
橈側転位はフォーク状変形を呈する。
組合せが入れ替わっている。橈側転位が作るのは正面から見た銃剣状変形で、フォーク状変形は背側転位を側面から見たときの呼び名。見る方向が違えば見える変形も違う、という当たり前の関係を意識すれば取り違えない。フォーク状=背側=側面、銃剣状=橈側=正面。
ポイント
  • コーレス骨折=手関節背屈強制で生じる橈骨遠位端骨折(伸展型)。手掌をついて転倒するのが典型。
  • 遠位骨片は背側・橈側へ転位し、短縮・回外を伴う。
  • フォーク状変形=背側転位を側面から見た形、銃剣状変形=橈側転位を正面から見た形。方向と名称をペアで覚える。
  • 手根管部での正中神経障害を合併すると、母指球筋(短母指外転筋・母指対立筋)の筋力低下と母指・示指・中指橈側の感覚障害が生じ、母指の対立が弱まってつまみの力と巧緻性が落ちる。しびれ増強や指の色調不良は固定の再評価と医師への引き継ぎのサイン。
  • 掌屈強制で掌側転位を起こすのはスミス骨折(屈曲型、逆コーレス骨折)。
比較表
項目コーレス骨折スミス骨折
別名伸展型屈曲型(逆コーレス骨折)
受傷機転手関節背屈強制(手掌をつく)手関節掌屈強制(手背をつく)
遠位骨片の転位背側(手背方向)・橈側・短縮掌側・短縮
側面から見た変形フォーク状変形掌側凸の変形(逆フォーク状)
正面から見た変形銃剣状変形目立たない
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