学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §11 コーレス(Colles)骨折の診察および整復 / QJ27A027

理由で解く 柔道整復師

QJ27A027 必修問題

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午前 問27
問題
コーレス(Colles)骨折の外観で誤っているのはどれか。
選択肢
1 フォーク状の変形を呈する。
2 尺骨頭が突出した変形を呈する。
3 中手指節関節が過伸展位を呈する。
4 損傷部の厚さが増大する。
解答
正解3(中手指節関節が過伸展位を呈する。)
解説

コーレス骨折では手指は疼痛のため軽度屈曲位をとります。中手指節(MP)関節の過伸展位はこの骨折の外観ではありません。

コーレス骨折は遠位骨片が背側・橈側へ転位し、短縮を伴います。側面から見ると手関節部に段差ができ、食器のフォークを伏せたような輪郭になります(フォーク状変形)。正面から見ると橈側転位のために尺骨頭が相対的に背尺側へ突出し、銃剣状変形と表現されます。背側転位と短縮により手関節部の前後径、すなわち「厚さ」も増します。一方で手指は握らず開かず、痛みの少ない自然な軽度屈曲位で保持されるのが普通です。MP関節が過伸展し、かつ指節間(IP)関節が屈曲する「内在筋マイナス肢位」をとるのは鷲手(尺骨神経麻痺による骨間筋・虫様筋の麻痺)であって、骨折の外観ではありません。ここで橈骨神経麻痺の下垂手と混同しないでください。下垂手では総指伸筋が麻痺してMP関節を伸展できず、MP関節はむしろ屈曲(下垂)位となり、過伸展とは方向が正反対です。腫脹が強いと手指を動かさなくなり、拘縮やズデック骨萎縮につながるため、初検時から手指と肩の自動運動を具体的に指導しておくことが大切です。

✓ 3. これが誤り(=正答)
中手指節関節が過伸展位を呈する。
コーレス骨折の手指は、痛みを避けるための軽度屈曲位をとるのが一般的で、MP関節が過伸展位になるという特徴はありません。MP関節が過伸展位(+IP関節屈曲)をとるのは鷲手=尺骨神経麻痺による内在筋麻痺などであり、骨折による外観変形とは別物です。なお橈骨神経麻痺の下垂手ではMP関節を伸展できず屈曲位となるため、過伸展とは逆方向であることも押さえてください。
✗ 1. 正しい外観(=答えではない)
フォーク状の変形を呈する。
遠位骨片の背側転位により、側面から見た手関節部が伏せたフォークの形に見えます。コーレス骨折の代表的外観であり、視診だけで強く疑える所見です。
✗ 2. 正しい外観(=答えではない)
尺骨頭が突出した変形を呈する。
遠位骨片が橈側へ転位する結果、尺骨頭が相対的に突出して見えます。正面から見たこの外観は銃剣状変形と呼ばれます。
✗ 4. 正しい外観(=答えではない)
損傷部の厚さが増大する。
背側転位と短縮転位により、手関節部の前後径が増して厚みを感じます。腫脹も加わるため、健側と比較すると差がはっきりします。
ポイント
  • 背側転位+短縮 → 側面でフォーク状変形、手関節部の厚さ(前後径)が増大。
  • 橈側転位 → 正面で尺骨頭が突出(銃剣状変形)。
  • 手指は疼痛のため軽度屈曲位。MP過伸展位はコーレス骨折の外観ではない。
  • MP過伸展+IP屈曲(内在筋マイナス肢位)を呈するのは鷲手=尺骨神経麻痺
  • 橈骨神経麻痺の下垂手はMP伸展不能=MP屈曲位。鷲手と方向が逆なので混同しない。
  • 初検時から手指・肩の自動運動を指導し、拘縮とズデック骨萎縮を予防する。
比較表
項目コーレス骨折スミス骨折
遠位骨片の転位方向背側・橈側・短縮掌側・短縮
側面の外観フォーク状変形逆フォーク状(背側に凹む)
正面の外観銃剣状変形(尺骨頭が突出)手部が掌側へずれる
厚さ(前後径)増大増大
手指の肢位疼痛による軽度屈曲位疼痛による軽度屈曲位

※参考(MP関節の肢位で紛らわしい麻痺手):鷲手=尺骨神経麻痺で骨間筋・虫様筋が麻痺し、MP関節過伸展+IP関節屈曲。下垂手=橈骨神経麻痺で総指伸筋が麻痺し、MP関節を伸展できず屈曲(下垂)位。MP関節の向きが正反対である点が鑑別の要。

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