学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §10 上腕骨骨幹部三角筋付着部より遠位骨折の固定 / QJ34A009

理由で解く 柔道整復師

QJ34A009 必修問題

出典:第34回柔道整復師国家試験(2026)午前 問9
問題
三角筋付着部より遠位の上腕骨骨幹部骨折で正しいのはどれか。
選択肢
1 自然下垂位で固定する。
2 ミッデルドルフ三角副子で保持する。
3 過剰な仮骨が生じやすい。
4 尺骨神経障害を合併しやすい。
解答
正解2(ミッデルドルフ三角副子で保持する。)
解説

三角筋付着部より遠位の上腕骨骨幹部骨折では、近位骨片が三角筋に引かれて外方へ転位するため、肩関節外転位で保持するミッデルドルフ三角副子を用います。正しいのは2です。

上腕骨骨幹部骨折は、骨折線が三角筋付着部(三角筋粗面)より近位か遠位かで転位の型が変わります。付着部より遠位で折れた場合、近位骨片は三角筋に引かれて外方(前外方)へ、遠位骨片は上腕二頭筋・上腕三頭筋に引かれて上方へ移動し短縮します。整復・固定の原則は「遠位骨片を近位骨片に合わせる」ことなので、外転した近位骨片に合わせるために肩関節を外転位に保つ必要があり、そのための外転副子がミッデルドルフ三角副子です。逆に付着部より近位の骨折では近位骨片が内転するため、上腕を体幹に近づけた下垂位で固定します。合併症として橈骨神経は上腕骨後面の橈骨神経溝を走るため、中下1/3の骨折で麻痺(下垂手)を生じやすく、骨幹部は血行の関係で遷延治癒・偽関節を来しやすい部位でもあります。

✓ 2. 正しい
ミッデルドルフ三角副子で保持する。
近位骨片が三角筋によって外転位をとるため、遠位骨片をそれに合わせるには肩関節外転位の保持が必要です。三角形の外転副子であるミッデルドルフ三角副子がこの肢位を作ります。
✗ 1. 誤り
自然下垂位で固定する。
下垂位が適するのは三角筋付着部より近位の骨折で、近位骨片が内転しているためです。付着部より遠位の骨折で下垂位にすると、外転した近位骨片との間に角状変形が残ります。
✗ 3. 誤り
過剰な仮骨が生じやすい。
上腕骨骨幹部は骨癒合に時間がかかりやすい部位で、むしろ遷延治癒・偽関節が問題になります。過剰仮骨が特徴とされるのは別の部位・病態です。
✗ 4. 誤り
尺骨神経障害を合併しやすい。
上腕骨骨幹部(とくに中下1/3)で問題になるのは橈骨神経溝を走る橈骨神経で、麻痺すると下垂手を呈します。尺骨神経障害は上腕骨内側上顆周辺の外傷で問題になります。
ポイント
  • 三角筋付着部より遠位の骨折:近位骨片は三角筋で外(前外)方へ、遠位骨片は上腕二頭筋・三頭筋で上方へ引かれ短縮。
  • 固定は肩関節外転位=ミッデルドルフ三角副子。
  • 三角筋付着部より近位の骨折:近位骨片が内転するため下垂位で体幹に固定。
  • 原則は「遠位骨片を近位骨片に合わせる」。近位骨片の向きが固定肢位を決める。
  • 合併症は橈骨神経麻痺(下垂手)。骨幹部は遷延治癒・偽関節を来しやすい。
比較表
骨折線の位置近位骨片の転位遠位骨片の転位固定肢位
三角筋付着部より近位大胸筋・広背筋・大円筋で内方三角筋で外上方下垂位(体幹に固定)
三角筋付着部より遠位三角筋で外(前外)方上腕二頭筋・三頭筋で上方(短縮)外転位(ミッデルドルフ三角副子)
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