学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §45 柔道整復理論 / QJ26A019

理由で解く 柔道整復師

QJ26A019 必修問題

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午前 問19
問題
骨折の合併症で正しい組合せはどれか。
選択肢
1 偽関節-続発症
2 遷延治癒-後遺症
3 脂肪塞栓症-続発症
4 外傷性皮下気腫-後遺症
解答
正解3(脂肪塞栓症-続発症)
解説

骨折の合併症は「いつ起きたか」で併発症・続発症・後遺症に仕分ける。脂肪塞栓症は受傷から時間をおいて経過中に現れるので続発症であり、正しい組合せは3。

併発症は骨折そのものと同時に生じたもので、血管損傷・末梢神経損傷・内臓損傷・外傷性皮下気腫・脱臼の併発などが入る。続発症は骨折後の経過を追ううちに新たに現れるもので、脂肪塞栓症候群・コンパートメント症候群・沈下性肺炎・褥瘡・深部静脈血栓症・遷延治癒などが入る。後遺症は骨癒合の段階を過ぎてもなお残る不具合で、偽関節・変形治癒が代表例である。本問の4肢はこの軸だけで決着し、外傷性皮下気腫=併発症、脂肪塞栓症候群=続発症、遷延治癒=続発症、偽関節=後遺症と対応する。ただし阻血性(無腐性)骨壊死・過剰仮骨形成・関節拘縮・外傷性骨化性筋炎・阻血性拘縮(Volkmann拘縮)は、教科書の版によって続発症に含める記載と後遺症に含める記載があり、分類が一定しない。だからこそ名称を丸暗記するのではなく、「同時/経過中/治癒後に残存」という時間軸に当てはめて判断する。脂肪塞栓症は骨髄内の脂肪滴が破れた静脈から血流に入り、肺や脳の細い血管を詰まらせて起こる病態で、多くは受傷後24〜72時間に呼吸困難・低酸素・意識障害・前胸部や結膜の点状出血として姿を現す。受傷の瞬間に完成する病態ではないため、併発症ではなく続発症の位置づけになる。

✓ 3. 正しい
脂肪塞栓症-続発症
脂肪塞栓症(脂肪塞栓症候群)は受傷直後ではなく、24〜72時間という時間差をおいて呼吸・意識の異常として立ち上がってくる。骨折後の経過中に新たに発生する病態なので続発症に分類され、組合せとして成立する。大腿骨骨幹部骨折や骨盤骨折、多発骨折など骨髄容量の大きい部位ほど起こりやすい。長管骨骨折の患者で呼吸が速い、受け答えがぼんやりする、前胸部や眼瞼結膜に点状出血があるといった変化に気づいたら、固定を安定させたうえで速やかに医師へつなぐ判断をしたい。
✗ 1. 誤り
偽関節-続発症
偽関節は続発症ではなく後遺症。骨癒合が完全に停止し、骨折端が硬化して髄腔が閉鎖し、間に偽の関節腔ができて異常可動性が残った状態を指す。「もう自然には付かない」という最終的な状態であり、治癒の段階を過ぎて残る不具合=後遺症にあたる。分類を問われたら、まだ変化の途中なら続発症、変化が終わって固定した状態なら後遺症、と読み替えるとよい。
✗ 2. 誤り
遷延治癒-後遺症
遷延治癒は後遺症ではなく続発症。その部位の標準的な癒合期間を過ぎても癒合が完成していない状態だが、骨癒合の反応そのものはまだ生きており、固定の再調整や免荷・荷重条件の見直しで癒合しうる。「遅れているだけでまだ進行中」だから続発症、「止まってしまって偽関節腔ができた」なら後遺症の偽関節、という段階の違いで覚えると1と2をまとめて処理できる。
✗ 4. 誤り
外傷性皮下気腫-後遺症
外傷性皮下気腫は後遺症ではなく併発症。肋骨骨折で折れた骨端が胸膜や肺を傷つけ、空気が胸腔から皮下組織へ漏れ出て生じるもので、骨折の瞬間に同時に成立する。触れると雪を握るような握雪音(捻髪音)を感じるのが特徴。気胸や血胸を伴っている可能性があるため、皮下気腫を触知したら胸郭固定を急ぐより先に呼吸状態を確認し、医療機関での画像評価につなげる。
ポイント
  • 併発症=骨折と同時、続発症=骨折後の経過中、後遺症=治癒段階を過ぎても残存。時間軸で仕分ける。
  • 脂肪塞栓症候群は受傷後24〜72時間に呼吸困難・意識障害・点状出血で発症する続発症。大腿骨骨幹部・骨盤・多発骨折で起こりやすい。
  • 遷延治癒は「癒合が遅れているがまだ進行中」=続発症。癒合が停止し偽関節腔ができた偽関節は後遺症。
  • 外傷性皮下気腫は肋骨骨折で胸膜・肺を同時に損傷して生じる併発症。握雪音を触知したら呼吸状態の確認を優先する。
  • 後遺症の代表は偽関節・変形治癒。阻血性骨壊死・過剰仮骨形成・関節拘縮・外傷性骨化性筋炎・阻血性拘縮(Volkmann拘縮)は教科書の版により続発症に含める記載もあるため、名称の丸暗記ではなく「同時/経過中/治癒後に残存」の時間軸で判断する。
比較表
分類いつ起こるか代表例
併発症骨折と同時血管損傷、末梢神経損傷、内臓損傷、外傷性皮下気腫、脱臼の併発
続発症骨折後の経過中脂肪塞栓症候群、コンパートメント症候群、沈下性肺炎、褥瘡、深部静脈血栓症、遷延治癒
後遺症治癒の段階を過ぎても残る偽関節、変形治癒
版により揺れる項目阻血性(無腐性)骨壊死、過剰仮骨形成、関節拘縮、外傷性骨化性筋炎、阻血性拘縮(Volkmann拘縮)=続発症とする版と後遺症とする版がある
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