学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ25P110

理由で解く 柔道整復師

QJ25P110 柔道整復理論

出典:第25回柔道整復師国家試験(2017)午後 問110
問題
22歳の男性。1週前、サッカーの練習で右足によるインステップキックを行った際、右足関節後方部に痛みを感じ練習を中止した。練習の中止で疼痛が軽減し、練習の再開で同部の疼痛が再発し来所した。現在、足関節後部の圧痛と他動的な足関節の底屈強制で同部に疼痛が再発する。疑われるのはどれか。
選択肢
1 足根洞症候群
2 有痛性外脛骨
3 二分靱帯損傷
4 有痛性三角骨
解答
正解4(有痛性三角骨)
解説

インステップキック(足関節の強い底屈)で足関節後方が痛み、休むと軽快し再開で再燃、他動的な底屈強制で疼痛が再現される――この経過は有痛性三角骨(足関節後方インピンジメント)に典型的です。

三角骨は距骨後突起の外側結節が距骨本体と癒合せずに残った過剰骨です。足関節を強く底屈すると、この部位が脛骨後縁と踵骨の間で挟み込まれ、周囲の滑膜や長母趾屈筋腱に炎症が生じて痛みを起こします。サッカーのインステップキックやバレエのポワントなど、底屈を反復・強制する動作で発症しやすく、練習を休めば軽快し再開で再発するという波のある経過をたどります。確認には足関節側面の単純エックス線で三角骨の存在をみます。対応は底屈強制動作の一時的な制限とアイシング、練習量の調整で、症状が繰り返す場合は整形外科での局所注射や摘出術の検討につなげます。

✓ 4. 正しい
有痛性三角骨
圧痛部位(足関節後部)、誘発肢位(他動的底屈強制)、誘因動作(インステップキック=強い底屈)の3点がすべて一致します。底屈で後方の組織が挟み込まれるという機序を押さえておけば、部位と誘発テストから一本の線でつながる問題です。
✗ 1. 誤り
足根洞症候群
足根洞は外果の前下方にある陥凹で、内返し捻挫の後に同部の圧痛や足部外側の痛み、不安定感が残るものです。圧痛部位が足関節後部という本症例とは一致しません。
✗ 2. 誤り
有痛性外脛骨
外脛骨は舟状骨内側に生じる過剰骨で、後脛骨筋腱の牽引が加わって同部の骨性隆起に圧痛が出ます。痛みは足部内側で、扁平足傾向を背景に持つことが多く、足関節後部の症状とは部位が異なります。
✗ 3. 誤り
二分靱帯損傷
二分靱帯は踵骨前方突起から立方骨・舟状骨へ張る靱帯で、内返し強制により損傷します。圧痛は足背外側(踵骨前方突起部)に出るため、底屈強制で後方が痛む本症例とは合いません。
ポイント
  • 有痛性三角骨=距骨後突起外側結節の過剰骨が、底屈時に脛骨後縁と踵骨の間で挟まれて痛む(足関節後方インピンジメント)。
  • 誘因はインステップキック、バレエのポワントなど底屈の反復・強制
  • 所見は足関節後部の圧痛と、他動的底屈強制での疼痛再現。長母趾屈筋腱炎を伴うことがある。
  • 圧痛部位で鑑別する:後方=三角骨/外果前下方=足根洞症候群/内側舟状骨=有痛性外脛骨/足背外側=二分靱帯損傷。
  • 対応は底屈強制動作の制限・アイシング・練習量の調整。反復例は整形外科での評価につなげる。
比較表
疾患圧痛部位誘発される動作・機転
有痛性三角骨足関節後部他動的な底屈強制。キック動作、つま先立ち
足根洞症候群外果の前下方(足根洞)内返し捻挫後の遺残痛・不安定感
有痛性外脛骨舟状骨内側の隆起後脛骨筋腱の牽引、扁平足傾向、靴の圧迫
二分靱帯損傷足背外側(踵骨前方突起)内返し強制
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