学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ25P109

理由で解く 柔道整復師

QJ25P109 柔道整復理論

出典:第25回柔道整復師国家試験(2017)午後 問109
問題
35歳の男性。テニスの試合中、下腿部に激痛を覚え、その後歩行困難となり来所した。損傷部位に圧痛を認め、陥凹を触知した。足関節自動的底屈時に損傷部に疼痛を訴え、下腿三頭筋を把持した際、足関節は底屈した。健常者の下腿の写真(別冊 No. 3)を別に示す。考えられる損傷部はどれか。
図
選択肢
1 a
2 b
3 c
4 d
解答
正解3
解説

下腿三頭筋を把持したときに足関節が底屈した=トンプソンテスト陰性であり、アキレス腱の連続性は保たれています。テニス中の下腿後面の激痛・陥凹の触知・自動底屈時痛という所見から、損傷部は腓腹筋内側頭の筋腱移行部(いわゆるテニスレッグ)と判断され、受理集合の正答である c がその部位に相当します。

下腿後面の受傷では、まず「アキレス腱断裂か、筋腹側の損傷か」を分ける手順が要点になります。アキレス腱が断裂していれば下腿三頭筋を握っても足関節は底屈せず(トンプソンテスト陽性)、自動底屈もほぼ不能となります。本症例は握ると底屈したためアキレス腱は連続しており、損傷は腱より近位にあると判断できます。次に絞り込むのが圧痛・陥凹を触れる高さと内外側です。テニスレッグは膝伸展位のまま足関節が急に背屈させられる踏み込み・切り返し動作で腓腹筋内側頭が過度に伸張されて生じるもので、腓腹筋内側頭の筋腹は下腿中央付近まで下行するため、筋腱移行部は下腿後面の中央付近(中1/3~中下1/3境界)の内側にあたります。これはアキレス腱断裂の好発部位である踵骨付着部の2~6cm上方よりは明らかに近位です。この高さの内側に圧痛と陥凹を触れ、自動底屈で痛みが再現されれば診断がつきます。急性期はRICE処置と足関節軽度底屈位での固定・免荷を行い、痛みに応じて荷重を進めながら腓腹筋のストレッチングと段階的な運動再開へつなげます。

✓ 3. 正しい
c
正答の c は、本症例の損傷部である腓腹筋内側頭の筋腱移行部、すなわち下腿後面の中央付近(中1/3~中下1/3境界)で内側という位置に相当します。判断の根拠は、①圧痛と陥凹を触れる高さと内外側、②トンプソンテスト陰性(下腿三頭筋を把持すると底屈する=アキレス腱の連続性あり)という2つの所見です。この2点がそろえば、アキレス腱ではなく筋腱移行部の損傷と特定できます。
✗ 1. 誤り
a
a は正答ではありません。損傷部を決めるのは所見であり、本症例では下腿三頭筋を把持すると足関節が底屈した(トンプソンテスト陰性)ため、アキレス腱の連続性は保たれています。したがって損傷部はアキレス腱そのものではなく、それより近位の筋腱移行部であると判断できます。
✗ 2. 誤り
b
b は正答ではありません。絞り込みの一つ目の条件は内外側です。テニスレッグで損傷されるのは圧倒的に腓腹筋内側頭であり、受傷機転(膝伸展位での急な背屈強制)からも内側頭が過伸張されます。圧痛・陥凹を内側で触れるという条件を満たさない部位は損傷部として選べません。
✗ 4. 誤り
d
d は正答ではありません。もう一つの条件は高さです。腓腹筋内側頭の筋腱移行部は下腿後面の中央付近(中1/3~中下1/3境界)にあり、膝窩直下の筋腹近位部でも、踵骨付着部の2~6cm上方(アキレス腱断裂の好発部位)でもありません。圧痛・陥凹の高さと内外側、そしてトンプソンテストの結果という所見だけで損傷部は絞り込めます。
ポイント
  • トンプソンテスト:下腿三頭筋を握って底屈すれば陰性=アキレス腱の連続性あり。底屈しなければ陽性=断裂を疑う。
  • テニスレッグ=腓腹筋内側頭の筋腱移行部損傷。膝伸展位で足関節が急に背屈される動作で発生する。
  • 所見は下腿後面の中央付近(中1/3~中下1/3境界)・内側の圧痛と陥凹、自動底屈時痛。歩行困難となることが多い。
  • 高さの目安:アキレス腱断裂の好発部位(踵骨付着部の2~6cm上方)よりも近位。膝窩直下ではない。
  • アキレス腱断裂との分岐点はトンプソンテスト。陽性なら速やかに医療機関へ紹介する。
  • 急性期はRICEと足関節軽度底屈位での固定・免荷。疼痛に応じて荷重とストレッチングを段階的に進める。
比較表
腓腹筋内側頭筋腱移行部損傷(テニスレッグ)アキレス腱断裂
部位下腿後面の中位~やや遠位(中1/3~中下1/3境界。アキレス腱移行部より近位)・内側踵骨付着部の2~6cm上方(より遠位)
トンプソンテスト陰性(把持で底屈する)陽性(把持しても底屈しない)
自動底屈可能だが疼痛を伴うほぼ不能。つま先立ちができない
受傷時の様子ふくらはぎを蹴られたような激痛断裂音を自覚することがある
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