学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ25P108

理由で解く 柔道整復師

QJ25P108 柔道整復理論

出典:第25回柔道整復師国家試験(2017)午後 問108
問題
25歳の男性。1か月前にバスケットボール中に左膝を打撲した後、膝蓋骨上外側部の圧痛と運動中や運動後の鈍痛で来所した。単純エックス線写真(別冊 No. 2)を別に示す。膝の腫脹や安静時痛、骨偏位や不安感 (apprehension)はなく、踵殿距離も左右差はなかった。考えられるのはどれか。
図
選択肢
1 膝蓋骨脱臼
2 膝蓋骨骨折
3 分裂膝蓋骨
4 膝蓋腱靱帯炎
解答
正解3(分裂膝蓋骨)
解説

打撲を契機に膝蓋骨上外側部の圧痛と運動時・運動後の鈍痛が1か月続き、腫脹も安静時痛も不安感(apprehension)もない――この組合せから考えられるのは有痛性の分裂膝蓋骨です。

分裂膝蓋骨は膝蓋骨の骨化過程で副骨核が癒合せずに残ったもので、大半はザウペ(Saupe)分類III型、すなわち上外側に分裂片を持つ型です。分裂部には外側広筋や外側膝蓋支帯の牽引力が加わるため、打撲やスポーツによる使いすぎが引き金となって有痛性になります。単純エックス線では分裂線の辺縁が丸みを帯びて硬化像を伴うのが特徴で、急性骨折の鋭く不整な骨折線とは性状が異なります。本症例は膝の腫脹・安静時痛がなく、骨偏位や不安感テストも陰性、踵殿距離にも左右差がないため、脱臼・骨折・大腿四頭筋の柔軟性低下を背景とする病態のいずれも積極的には支持されません。対応は運動量と動作の調整、大腿四頭筋(特に外側広筋)のストレッチングと段階的な負荷管理で、痛みが続く場合は整形外科での評価につなげます。

✓ 3. 正しい
分裂膝蓋骨
好発部位(上外側)と圧痛部位が一致し、運動中・運動後に痛み、安静で軽快するという経過も分裂部に牽引力が加わる病態としてよく合います。腫脹や関節血腫がなく1か月にわたって症状が続く点も、急性外傷ではなく既存の分裂部が有痛性になった状態として説明できます。
✗ 1. 誤り
膝蓋骨脱臼
膝蓋骨脱臼では膝蓋骨が外側へ転位し、整復後も膝蓋骨を外方へ押すと強い不安感(apprehension sign)が誘発され、受傷直後は関節血腫による著明な腫脹を伴います。本症例は骨偏位も不安感もなく腫脹もないため、合致しません。
✗ 2. 誤り
膝蓋骨骨折
膝蓋骨骨折は直達外力や大腿四頭筋の急激な収縮で生じ、受傷直後から著明な腫脹・関節血腫・膝伸展機構の障害(伸展不能や下肢伸展挙上困難)を示します。受傷から1か月経っても腫脹・安静時痛がなく運動時痛のみという経過とは合いません。
✗ 4. 誤り
膝蓋腱靱帯炎
膝蓋腱(膝蓋靱帯)の障害、いわゆるジャンパー膝では圧痛が膝蓋骨下極から膝蓋腱にかけて出ます。本症例の圧痛は膝蓋骨上外側部で部位が異なり、また背景となりやすい大腿四頭筋の柔軟性低下(踵殿距離の左右差)も認められないため、合致しません。
ポイント
  • 分裂膝蓋骨はザウペ分類III型(上外側)が最も多い。圧痛部位と好発部位が一致する。
  • 外側広筋・外側膝蓋支帯の牽引が分裂部に加わることで有痛性になる。
  • 単純X線での分裂線は辺縁が丸く硬化像を伴う。急性骨折の鋭い不整な線とは性状が違う。
  • 陰性所見が決め手:腫脹なし・安静時痛なし → 骨折を否定的に、apprehension陰性・骨偏位なし → 脱臼を否定的に、踵殿距離の左右差なし → ジャンパー膝の背景所見に乏しい。
  • 対応は運動量・動作の調整と大腿四頭筋(特に外側広筋)のストレッチング。改善しなければ整形外科での評価につなげる。
比較表
疾患圧痛の主な部位特徴的な所見
分裂膝蓋骨膝蓋骨上外側運動時・運動後の鈍痛。腫脹に乏しい。分裂線の辺縁は平滑・硬化
膝蓋骨脱臼内側膝蓋支帯・膝蓋骨内縁apprehension sign陽性、関節血腫、外側への骨偏位
膝蓋骨骨折骨折線に一致受傷直後からの著明な腫脹・血腫、伸展機構の障害
膝蓋腱靱帯炎膝蓋骨下極~膝蓋腱ジャンプ・着地時痛。大腿四頭筋の柔軟性低下(踵殿距離の左右差)
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