学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / 柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ25P107
理由で解く 柔道整復師

ランニング量を増やしてから生じ、大腿骨外顆のやや近位を圧迫しながら膝を伸展させると誘発される疼痛は、腸脛靱帯炎(いわゆるランナー膝)の典型像です。
腸脛靱帯は大腿筋膜張筋と大殿筋から続き、大腿外側を下って脛骨のGerdy結節に付きます。膝を曲げ伸ばしすると腸脛靱帯が大腿骨外側上顆の上を前後に乗り越えるように動くため、走行を繰り返すとこの部位で摩擦が生じて炎症を起こします。摩擦が最も強くなるのは膝屈曲30度付近で、着地衝撃を何万回と繰り返す長距離走で発症しやすい理由がここにあります。本症例は3か月前にランニングを始め、1週前から右膝関節部に疼痛が出現し、腫脹はなく、大腿骨外顆やや近位の圧迫+膝伸展で疼痛が誘発された、という経過です。この誘発手技は腸脛靱帯を外側上顆に押しつけて摩擦を再現するもので、腫脹を伴わない点も関節内病変ではなく靱帯と骨の摩擦による障害であることを支持します。誘発テストは2つが並んで教科書に載ります。グラスピングテストは外側上顆の近位で腸脛靱帯を母指で把持・圧迫しながら膝を伸展させる手技、ノーブル(圧迫)テストは大腿骨外側上顆部を圧迫しながら膝を屈伸させ屈曲30度付近で疼痛をみる手技で、圧迫する部位と手の使い方が異なります。同じものとしてまとめて覚えないでください。対応は、走行距離の急な増加・路面の傾斜・シューズの摩耗・O脚傾向といった負荷因子を見直したうえで、大腿筋膜張筋と腸脛靱帯のストレッチ、股関節外転筋の強化を行い、痛みの出ない範囲から段階的に走行量を戻していきます。
| 疾患 | 痛みの部位 | 成り立ち | 誘発テスト |
|---|---|---|---|
| 腸脛靱帯炎 | 膝外側(大腿骨外側上顆〜その近位) | 走行の反復(使い過ぎ) | グラスピングテスト/ノーブル(圧迫)テスト |
| ジャンパー膝 | 膝前面(膝蓋骨下極〜膝蓋腱) | ジャンプ動作の反復 | 膝蓋腱の圧痛、抵抗下伸展痛 |
| 半月板損傷 | 関節裂隙 | 荷重+回旋の外傷が多い | マックマレーテスト |
| 膝外側側副靱帯損傷 | 膝外側(靱帯走行部) | 内反を強制する外力 | 内反ストレステスト |
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