学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ25P101

理由で解く 柔道整復師

QJ25P101 柔道整復理論

出典:第25回柔道整復師国家試験(2017)午後 問101
問題
30歳の男性。災害現場で意識なく倒れているところを発見された。顔面蒼白、冷汗、脈拍減弱を認めた。搬送に備え、とるべき適切な体位はどれか。
図
選択肢
1 a
2 b
3 c
4 d
解答
正解2
解説

意識障害に顔面蒼白・冷汗・脈拍減弱を伴う所見はショックを示す。搬送に備えては仰臥位で両下肢を挙上して静脈還流を助ける体位が適切で、図で厚いクッションの上に両下肢を乗せているbが正答。

ショックは全身の組織灌流が不足した状態で、災害現場の外傷では出血による循環血液量減少性ショックが多い。顔面蒼白、虚脱、冷汗(皮膚湿潤)、脈拍触知不能(微弱・頻数)、呼吸不全は「ショックの5徴」として押さえておく。現場対応の原則は、まず救急要請と安全確保、次いで気道確保と呼吸・循環の確認、出血があれば直接圧迫による止血である。そのうえで仰臥位とし、下肢を心臓より高く挙上して下半身に貯留した血液を心臓へ戻し、心拍出量と脳血流を保つ。あわせて毛布などで保温し、不要な体位変換や移動は避ける。頭頸部外傷や頸椎損傷が疑われる状況では、頭頸部を保持したまま最小限の動きで体位を整える。本問の図はa=クッションで背部を支えた半坐位、b=両下肢をクッションに乗せた下肢挙上位、c=クッションを抱えて丸まった側臥位、d=下肢を伸ばした水平仰臥位を描いており、「下肢が心臓より高く保たれている絵はどれか」を見れば一目で絞り込める。

✓ 2. 適切
b
図のbは、頭部を枕なしで水平に保った仰臥位で、両下肢を分厚いクッションの上に乗せて体幹より高く挙上している。これがショック体位(下肢挙上位)で、下半身に貯留した血液を心臓へ戻し、心拍出量と脳血流の維持につながる。上肢は体側に置き、保温と安静を併せて行う。搬送に備えてとるべき体位はこれである。
✗ 1. 適切でない
a
図のaは、背部と殿部に大きなクッションを当てて上体を起こした半坐位(ファウラー位)である。呼吸を楽にする目的の体位で、呼吸困難や胸部外傷には有用だが、循環血液量が不足した状態では重力によって静脈還流が減り、血圧低下と脳血流の低下を助長する。上体を高くする体位は本症例には適さない。
✗ 3. 適切でない
c
図のcは、膝を曲げて体幹を前方に丸め、体の前に置いたクッションを抱え込んで頭部もその上にのせた側臥位である。一般に側臥位は吐物を口の外へ流し出して誤嚥を防ぐ気道確保の手段となり、意識障害があって嘔吐の危険がある場合には選択される。意識がなく嘔吐の危険がある場合は気道確保を最優先し、そのうえで循環の維持を図るという優先順位で判断するが、本症例は顔面蒼白・冷汗・脈拍減弱というショックの所見が前面に出ており、しかも図のcは下肢が挙上されておらず循環を立て直す働きがない。搬送に備えてとる体位としては下肢挙上が優先される。
✗ 4. 適切でない
d
図のdは、腰部に薄い当てものを敷き、両下肢を伸ばしたまま水平に寝かせた仰臥位である。安静を保つ基本の体位ではあるが、下肢が心臓より高くなっていないため静脈還流を増やす働きはない。bとdは同じ仰臥位で紛らわしいので、下肢が心臓より高く挙上されているかどうかで選び分ける。
ポイント
  • 顔面蒼白・虚脱・冷汗・脈拍触知不能・呼吸不全=ショックの5徴。
  • 循環血液量減少性ショックでは、仰臥位で下肢を心臓より高く挙上し静脈還流を増やす(ショック体位)。
  • 本問の図はa=半坐位(ファウラー位)、b=下肢挙上位、c=膝を曲げて丸まった側臥位(クッションを抱えている)、d=水平仰臥位。
  • bとdはどちらも仰臥位。下肢が心臓より高く挙上されているかどうかが分かれ目。
  • 上体を高くする半坐位は脳血流をさらに減らすため避ける。側臥位は気道確保が目的で、循環の立て直しにはならない。
  • 意識がなく嘔吐の危険があるときは気道確保が最優先、そのうえで循環の維持を図る。本症例はショックの所見が前面にあるため、搬送に備える体位は下肢挙上。
  • 現場では救急要請、気道確保、直接圧迫止血、保温を併せて行い、頸椎損傷が疑われる場合は頭頸部を保持して移動・体位変換を最小限にする。
比較表
体位目的主な適応
a半坐位(ファウラー位)呼吸を楽にする呼吸困難、胸部外傷
b仰臥位+下肢挙上(ショック体位)静脈還流を増やし心拍出量・脳血流を保つ循環血液量減少性ショック(本問)
c側臥位(膝を曲げて丸まった姿勢)吐物の誤嚥を防ぎ気道を確保する意識障害があり呼吸のある傷病者。循環の立て直しにはならない
d水平仰臥位安静を保つ基本の体位広く用いる基本体位。ショックの所見があるときは下肢挙上を優先する
仰臥位+膝立て腹壁の緊張を緩める腹部の外傷・強い腹痛
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