学習トップ理由で解く 柔道整復師外科学概論 ▸ §6 失血と輸血・輸液 / QJ25P048

理由で解く 柔道整復師

QJ25P048 外科学概論

出典:第25回柔道整復師国家試験(2017)午後 問48
問題
輸血の副作用と症状の組合せで正しいのはどれか。
選択肢
1 空気塞栓・乏尿
2 不適合輸血-血圧低下
3 クエン酸中毒発熱
4 ウイルス感染けいれん
解答
正解2(不適合輸血-血圧低下)
解説

正しい組合せは2。ABO不適合輸血では血管内溶血によるショックが起こり、血圧低下は代表的な所見です。

輸血の副作用は「どこで何が起きているか」を機序で結びつけると整理できます。不適合輸血ではレシピエントの抗体がドナー赤血球に結合し補体を活性化して急性血管内溶血を起こします。放出されたヘモグロビンと炎症性サイトカインにより、発熱・悪寒・腰背部痛・血圧低下(ショック)が生じ、ヘモグロビン尿からDIC、急性腎不全(乏尿)へ進みます。対応は直ちに輸血を中止してルートを生理食塩水に切り替え、血圧と尿量を確保し、血液型・交差適合試験を再確認することです。他の副作用も、原因物質から症状を逆算する習慣をつけると取り違えを防げます。

✓ 2. 正しい
不適合輸血-血圧低下
急性血管内溶血に伴うサイトカイン放出と血管拡張でショック状態となり、血圧低下をきたします。発熱・悪寒・腰背部痛・ヘモグロビン尿を伴い、DICや急性腎不全へ進行しうるため、輸血の即時中止と循環・尿量の維持が最優先です。
✗ 1. 誤り
空気塞栓・乏尿
組合せが合いません。空気塞栓は加圧輸血や中心静脈ラインから空気が血管内に入って肺循環を閉塞するもので、突然の呼吸困難・胸痛・チアノーゼ・循環虚脱が主症状です。ただちに輸液ルートを遮断し、左側臥位・頭低位として空気を右心内にとどめ、酸素投与を行います。なお乏尿は不適合輸血後の急性腎不全でみられる所見です。
✗ 3. 誤り
クエン酸中毒発熱
クエン酸中毒の主症状は発熱ではありません。抗凝固薬として血液製剤に含まれるクエン酸が大量輸血で蓄積すると血中カルシウムをキレートし、低カルシウム血症を起こします。口唇周囲のしびれ、手指の振戦、テタニー、心収縮力低下やQT延長が現れるため、カルシウム製剤の補充と輸血速度の調整で対応します。
✗ 4. 誤り
ウイルス感染けいれん
輸血後のウイルス感染で問題となるのはB型・C型肝炎ウイルス、HIV、HTLV-1などで、症状は肝炎や免疫不全として遅れて現れます。けいれんは典型的な症状ではありません。現在は核酸増幅検査によるスクリーニングでリスクは大きく下がっており、輸血後は一定期間をおいた感染症検査で確認します。
ポイント
  • ABO不適合輸血=急性血管内溶血。発熱・悪寒・腰背部痛・血圧低下・ヘモグロビン尿→DIC・急性腎不全(乏尿)。
  • 異常を感じたら即座に輸血中止、生理食塩水に切り替え、血液型と交差適合試験を再確認する。
  • 空気塞栓は呼吸困難・胸痛・チアノーゼ。左側臥位・頭低位で対応する。
  • クエン酸中毒は低カルシウム血症。口周囲のしびれ・テタニー・振戦が手がかり。
  • 輸血感染症はHBV・HCV・HIV・HTLV-1が代表。症状は遅れて出るため経過観察の検査が必要。
比較表
副作用機序主な症状
不適合輸血(ABO)抗体+補体による急性血管内溶血発熱、悪寒、腰背部痛、血圧低下、ヘモグロビン尿、乏尿
空気塞栓血管内に入った空気が肺循環を閉塞呼吸困難、胸痛、チアノーゼ、循環虚脱
クエン酸中毒クエン酸がCa²⁺をキレート→低Ca血症口周囲のしびれ、テタニー、振戦、QT延長
ウイルス感染HBV・HCV・HIV・HTLV-1などの伝播肝炎、免疫不全(遅発性)
アレルギー/アナフィラキシー血漿蛋白に対する過敏反応蕁麻疹、瘙痒、喉頭浮腫、血圧低下
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