学習トップ理由で解く 柔道整復師外科学概論 ▸ §6 失血と輸血・輸液 / QJ24P047

理由で解く 柔道整復師

QJ24P047 外科学概論

出典:第24回柔道整復師国家試験(2016)午後 問47
問題
輸血の副作用で正しいのはどれか。
選択肢
1 滴下速度と無関係に発生する。
2 移植片対宿主反応(GVHD)がある。
3 発疹は出現すると長時間持続する。
4 腎不全は不適合輸血直後に起こる。
解答
正解2(移植片対宿主反応(GVHD)がある。)
解説

輸血の副作用は「いつ起きるか」で整理すると覚えやすい。輸血後GVHD(移植片対宿主病)は輸血後1〜2週で現れる遅発性・致死的な副作用である。

即時型(輸血中〜24時間以内)にはABO不適合による急性溶血反応、発熱性非溶血反応、蕁麻疹などのアレルギー反応、アナフィラキシー、TRALI(輸血関連急性肺障害)、TACO(輸血関連循環過負荷)がある。遅発型(数日〜数週)には遅発性溶血反応、輸血後GVHD、肝炎ウイルスなどの輸血後感染症が含まれる。輸血後GVHDは製剤に含まれるドナーの生きたTリンパ球が受血者の体内で生着・増殖し、皮膚・消化管・肝・骨髄を攻撃する病態で、発熱・紅斑・下痢・肝障害・汎血球減少を呈し、発症すると救命が難しい。現在は血液製剤への放射線照射によって予防されている。輸血中は開始直後をとくに慎重に観察し、悪寒・発熱・腰背部痛・呼吸困難・血圧低下が出れば直ちに輸血を中止して医師の対応につなぐ。

✓ 2. 正しい
移植片対宿主反応(GVHD)がある。
輸血後GVHDは輸血の重篤な副作用として実在する。製剤中のドナーリンパ球が受血者の組織を「非自己」と認識して攻撃し、輸血後1〜2週で発熱・全身の紅斑・下痢・肝障害・汎血球減少をきたす。血縁者間輸血や免疫能の低下した患者で起こりやすく、放射線照射血液製剤の使用が予防の柱になっている。
✗ 1. 誤り
滴下速度と無関係に発生する。
滴下速度は副作用の発生に大きく関わる。急速・大量輸血では循環過負荷(TACO)による心不全・肺水腫、保存血中のクエン酸による低カルシウム血症、低体温、高カリウム血症が起こりやすい。逆に開始直後をゆっくり滴下して観察するのは、異常があれば少量のうちに中止できるようにするため。
✗ 3. 誤り
発疹は出現すると長時間持続する。
蕁麻疹・掻痒などの軽度アレルギー反応は輸血中〜直後に出現し、輸血の一時中止と抗ヒスタミン薬などの対応で比較的短時間に軽快することが多い。長時間持続するとは限らない。ただし発疹に呼吸困難・喘鳴・血圧低下を伴えばアナフィラキシーであり、直ちに輸血を中止して救急対応に移る。
✗ 4. 誤り
腎不全は不適合輸血直後に起こる。
ABO不適合輸血ではまず血管内溶血が起こり、輸血直後から発熱・悪寒・腰背部痛・ヘモグロビン尿がみられる。急性腎不全はその後、遊離ヘモグロビンによる尿細管障害、ショックによる腎血流低下、DICを経て数時間〜数日で顕在化する。「直後は溶血、遅れて腎不全」という時間差で覚える。
ポイント
  • 即時型(24時間以内):ABO不適合による急性溶血、発熱性非溶血反応、アレルギー/アナフィラキシー、TRALI、TACO
  • 遅発型(数日〜数週):遅発性溶血反応、輸血後GVHD、輸血後感染症(肝炎ウイルスなど)
  • 輸血後GVHD=ドナーリンパ球が受血者を攻撃。発熱・紅斑・下痢・肝障害・汎血球減少。放射線照射製剤で予防
  • 急速輸血ではTACO、低カルシウム血症(クエン酸)、高カリウム血症、低体温が問題になる
  • ABO不適合:直後に血管内溶血 → 遅れて急性腎不全・DIC。異常があれば即中止して医師へ
比較表
時期副作用主な症状予防・対応
即時型(〜24時間)急性溶血反応(ABO不適合)発熱、悪寒、腰背部痛、ヘモグロビン尿、血圧低下照合の徹底。発症時は即中止・輸液・利尿
即時型アレルギー/アナフィラキシー蕁麻疹、掻痒、喘鳴、血圧低下抗ヒスタミン薬。重症は即中止し救急対応
即時型TRALI/TACO呼吸困難、低酸素、肺水腫酸素投与。TACOは速度・量の調整で予防
遅発型(数日〜数週)輸血後GVHD発熱、紅斑、下痢、肝障害、汎血球減少放射線照射血液製剤の使用
遅発型輸血後感染症肝炎など検査(NAT)とドナースクリーニング
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。