学習トップ理由で解く 柔道整復師外科学概論 ▸ §5 ショック / QJ31P049

理由で解く 柔道整復師

QJ31P049 外科学概論

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午後 問49
問題
ショックと原因の組合せで正しいのはどれか。
選択肢
1 循環血液量減少性ショック-緊張性気胸
2 心原性ショック-肺塞栓
3 血液分布異常性ショック-アナフィラキシー
4 閉塞性ショック-心筋梗塞
解答
正解3(血液分布異常性ショック-アナフィラキシー)
解説

ショックは原因により4つに分類されます。アナフィラキシーは血管拡張と血管透過性亢進によって血液が末梢に「分布し直される」ため、血液分布異常性ショックに含まれます。正しい組合せは3です。

ショックとは「組織への酸素供給が需要に足りず、細胞が機能を維持できない状態」です。原因別に、①循環血液量減少性(出血・脱水・熱傷=前負荷が減る)、②心原性(心筋梗塞・重症不整脈・弁膜症=ポンプ自体の障害)、③閉塞性(緊張性気胸・心タンポナーデ・肺塞栓=心臓や大血管の外から流れをせき止める)、④血液分布異常性(アナフィラキシー・敗血症・神経原性=末梢血管抵抗が下がる)に分けます。①〜③では代償として末梢血管が収縮するため四肢は冷たく蒼白(cold shock)になりますが、④の初期は血管が開いているため皮膚が温かく紅潮する(warm shock)ことがあり、ベッドサイドで分類を絞る手がかりになります。この問題は各分類の代表的原因を入れ替えているだけなので、原因を正しい枠に戻せば解けます。

✓ 3. 正しい
血液分布異常性ショック-アナフィラキシー
アナフィラキシーではマスト細胞から放出されたヒスタミンなどが全身の血管を拡張させ、透過性を高めて血漿を血管外へ逃がします。末梢血管抵抗が低下して血液分布が偏るため血液分布異常性ショックに分類されます。喘鳴・嗄声・皮膚症状を伴うことが多く、対応はアドレナリンの筋注(大腿前外側)と直ちの救急要請、仰臥位で下肢挙上です。
✗ 1. 誤り
循環血液量減少性ショック-緊張性気胸
緊張性気胸は閉塞性ショックの代表です。胸腔内に空気が一方向弁のようにたまって胸腔内圧が上がり、縦隔が健側へ偏位して大静脈が圧迫され、静脈還流が妨げられます。血液量そのものは減っていません。治療は緊急脱気と胸腔ドレナージです。
✗ 2. 誤り
心原性ショック-肺塞栓
肺塞栓も閉塞性ショックです。肺動脈が塞栓子で閉塞して右心の後負荷が急上昇し、左心への血液流入が減って心拍出量が落ちます。心筋自体のポンプ機能障害ではないため心原性には入りません。
✗ 4. 誤り
閉塞性ショック-心筋梗塞
心筋梗塞は心原性ショックの代表です。心筋が壊死して収縮力が落ち、ポンプとしての拍出が保てなくなります。左室の広範囲が障害されたときに生じやすい病態です。誤りの作られ方を整理すると、2と4は「心原性-肺塞栓」「閉塞性-心筋梗塞」で、閉塞性と心原性がちょうど入れ替わっています。これに対し1は入れ替えではなく、閉塞性の原因である緊張性気胸を循環血液量減少性というまったく別の枠に当てはめた誤りです。
ポイント
  • ショック4分類=循環血液量減少性・心原性・閉塞性・血液分布異常性。
  • 閉塞性の代表=緊張性気胸・心タンポナーデ・肺塞栓(心臓の「外」が原因)。
  • 心原性の代表=心筋梗塞・重症不整脈(心臓「そのもの」が原因)。
  • 血液分布異常性=アナフィラキシー・敗血症・神経原性。初期は皮膚が温かいことがある(warm shock)。
  • 共通所見は血圧低下、頻脈、意識障害、乏尿、冷汗。ただし神経原性では徐脈となる点が例外。
比較表
分類破綻している要素代表的原因四肢の所見
循環血液量減少性前負荷(血液量)出血、脱水、熱傷冷たい・蒼白
心原性ポンプ(心筋)心筋梗塞、重症不整脈冷たい・蒼白
閉塞性血流の通り道(心外性)緊張性気胸、心タンポナーデ、肺塞栓冷たい・頸静脈怒張
血液分布異常性末梢血管抵抗アナフィラキシー、敗血症、神経原性初期は温かい・紅潮
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