学習トップ理由で解く 柔道整復師外科学概論 ▸ §3 外科的感染症 / QJ31P048

理由で解く 柔道整復師

QJ31P048 外科学概論

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午後 問48
問題
感染症で誤っているのはどれか。
選択肢
1 破傷風では開口障害がみられる。
2 丹毒はウェルシュ菌によるものが多い。
3 肺アスペルギルス症では菌球形成がみられる。
4 化膿性骨髄炎は黄色ブドウ球菌によるものが多い。
解答
正解2(丹毒はウェルシュ菌によるものが多い。)
解説

丹毒の起炎菌はA群β溶血性連鎖球菌(化膿レンサ球菌)であり、ウェルシュ菌ではありません。ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)はガス壊疽の代表的な起炎菌です。

感染症は「どの菌が・どこに感染し・どんな像を作るか」を三点セットで覚えると混乱しません。丹毒は真皮浅層とそのリンパ管に生じる連鎖球菌感染で、境界明瞭・堤防状に隆起した鮮紅色の紅斑と発熱を示します。一方ウェルシュ菌は嫌気性の芽胞形成グラム陽性桿菌で、挫滅した汚染創の深部という酸素の乏しい環境で増殖し、ガスを産生して握雪音(捻髪音)を伴う急速進行性のガス壊疽を起こします。破傷風菌の産生する破傷風毒素(テタノスパスミン)は抑制性ニューロンからのグリシン・GABAの放出を遮断するため、支配神経が短い咬筋から硬直が始まり、開口障害(牙関緊急)が初期症状になります。アスペルギルスは肺結核後などの既存の空洞内で菌糸の塊をつくり、画像上「菌球(fungus ball)」として描出されます。化膿性骨髄炎の起炎菌は黄色ブドウ球菌が最も多く、これらを並べると2だけが対応関係を外していることがわかります。

✓ 2. これが誤り(=設問の答え)
丹毒はウェルシュ菌によるものが多い。
丹毒はA群β溶血性連鎖球菌によるものがほとんどで、顔面や下腿に境界明瞭な鮮紅色の紅斑と発熱を生じます。ウェルシュ菌が起こすのはガス壊疽です。「境界明瞭な赤い皮疹=溶連菌」「汚染された挫滅創+ガス=ウェルシュ菌」と結び付けて覚えましょう。
✗ 1. 正しい(=答えではない)
破傷風では開口障害がみられる。
破傷風毒素が抑制性伝達を遮断することで骨格筋が持続収縮し、まず咬筋の硬直による開口障害(牙関緊急)が現れます。続いて痙笑、頸部硬直、後弓反張へ進みます。土壌で汚染された釘の刺創など深い創では常に念頭に置き、創の洗浄と医療機関での破傷風予防(トキソイド等)につなぐことが重要です。
✗ 3. 正しい(=答えではない)
肺アスペルギルス症では菌球形成がみられる。
結核後の空洞や気管支拡張部といった既存の空洞にアスペルギルスが定着し、菌糸と滲出物の塊(アスペルギローマ=菌球)を形成します。血痰・喀血の原因となります。
✗ 4. 正しい(=答えではない)
化膿性骨髄炎は黄色ブドウ球菌によるものが多い。
血行性または開放骨折・術後の直接侵入で起こり、起炎菌は黄色ブドウ球菌が最多です。小児では長管骨の骨幹端に好発します。
ポイント
  • 丹毒=A群β溶血性連鎖球菌/真皮浅層/境界明瞭な鮮紅色紅斑+発熱。
  • ガス壊疽=ウェルシュ菌(嫌気性・芽胞形成)/挫滅汚染創の深部/握雪音・急速進行。
  • 破傷風=テタノスパスミンが抑制性伝達を遮断→開口障害(牙関緊急)→痙笑→後弓反張。
  • 肺アスペルギルス症=既存空洞内の菌球(fungus ball)形成、喀血の原因になる。
  • 化膿性骨髄炎=黄色ブドウ球菌が最多。小児では長管骨骨幹端に好発。
比較表
疾患主な起炎菌特徴的所見
丹毒A群β溶血性連鎖球菌境界明瞭・堤防状の鮮紅色紅斑、発熱
ガス壊疽ウェルシュ菌など嫌気性菌握雪音(皮下気腫)、悪臭、急速進行
破傷風破傷風菌開口障害、痙笑、後弓反張
肺アスペルギルス症アスペルギルス(真菌)既存空洞内の菌球、血痰・喀血
化膿性骨髄炎黄色ブドウ球菌骨幹端の疼痛・発赤、発熱
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