学習トップ理由で解く 柔道整復師外科学概論 ▸ §3 外科的感染症 / QJ31P047

理由で解く 柔道整復師

QJ31P047 外科学概論

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午後 問47
問題
蜂窩織炎の症状で誤っているのはどれか。
選択肢
1 びまん性腫脹
2 熱感
3 疼痛
4 排膿
解答
正解4(排膿)
解説

蜂窩織炎は皮下の疎性結合組織にびまん性に広がる急性化膿性炎症で、境界のはっきりしない発赤・腫脹・熱感・疼痛が主症状です。膿が一箇所にたまって出てくる「排膿」は膿瘍の所見であり、蜂窩織炎の典型症状ではありません。

蜂窩織炎の主な起炎菌はA群β溶血性連鎖球菌と黄色ブドウ球菌です。とくに連鎖球菌が産生するヒアルロニダーゼやストレプトキナーゼは、組織の基質やフィブリンを溶かして炎症を囲い込む「壁」を作らせません。そのため炎症は面として横に広がり、局所所見は境界不明瞭なびまん性腫脹となって、炎症の4徴(発赤・腫脹・熱感・疼痛)がそろいます。一方、膿瘍は好中球と壊死組織が液化した膿が一箇所に貯留し、周囲に膿瘍膜という被膜を作るため、境界明瞭で圧痛と波動を触れ、切開排膿が治療の中心になります。蜂窩織炎の治療は抗菌薬投与と患部の安静・挙上・冷却が基本で、切開しても膿は出ないことが多いのです。

✓ 4. 蜂窩織炎ではみられにくい(=設問の答え)
排膿
排膿は膿が限局して貯留する膿瘍の所見です。蜂窩織炎は膿を囲い込まずにびまん性に広がるため、貯留した膿が出てくることは典型的ではありません。ただし経過中に膿瘍を合併すれば波動や排膿が現れます。腫脹が急速に増悪する、波動を触れる、発熱・悪寒が加わるといった変化を認めたら、切開排膿を要する状態を疑って速やかに医療機関へつなぎましょう。
✗ 1. みられる(=答えではない)
びまん性腫脹
境界不明瞭に広がる腫脹こそが蜂窩織炎を特徴づける所見です。境界が明瞭なら丹毒や膿瘍を考えます。
✗ 2. みられる(=答えではない)
熱感
炎症の4徴の一つです。炎症性メディエータによる細動脈拡張と血流増加で、局所の皮膚温が上がります。
✗ 3. みられる(=答えではない)
疼痛
これも炎症の4徴の一つです。ブラジキニンやプロスタグランジンによる侵害受容器の感作に、浸出液による組織内圧の上昇が加わって痛みが生じます。
ポイント
  • 蜂窩織炎=皮下組織のびまん性化膿性炎症。境界不明瞭で、発赤・腫脹・熱感・疼痛+機能障害。
  • 膿瘍=限局性・境界明瞭・波動あり。治療は切開排膿。蜂窩織炎は抗菌薬+安静・挙上が基本。
  • 起炎菌はA群β溶血性連鎖球菌・黄色ブドウ球菌。連鎖球菌の組織融解酵素が「広がる」性質を生む。
  • 発熱・悪寒・所属リンパ節腫脹などの全身症状を伴うことがある。
  • 外傷後の腫脹と紛らわしいことがある。発赤と熱感が創部を越えて広がる、痛みが増していく、といった経過なら感染を疑って医療機関へ。
比較表
丹毒蜂窩織炎膿瘍
主な病変部位真皮浅層・リンパ管皮下(疎性結合)組織組織内の限局した腔
境界明瞭(堤防状に隆起)不明瞭・びまん性明瞭
波動・排膿なし通常なしあり
主な起炎菌A群β溶血性連鎖球菌溶連菌・黄色ブドウ球菌黄色ブドウ球菌など
治療抗菌薬抗菌薬+安静・挙上切開排膿+抗菌薬
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