学習トップ理由で解く 柔道整復師外科学概論 ▸ §3 外科的感染症 / QJ30P048

理由で解く 柔道整復師

QJ30P048 外科学概論

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午後 問48
問題
蜂窩織炎で正しいのはどれか。
選択肢
1 発赤を伴わない。
2 真菌感染が多い。
3 びまん性化膿性炎症である。
4 切開排膿が基本となる。
解答
正解3(びまん性化膿性炎症である。)
解説

蜂窩織炎は、皮下の疎性結合組織に境界不明瞭に広がる、びまん性の化膿性炎症である。膿が一か所に限局しない点が膿瘍との決定的な違いになる。

起因菌はA群β溶血性レンサ球菌や黄色ブドウ球菌といった細菌であり、真菌が原因となることはまずない。とくにレンサ球菌はヒアルロニダーゼやストレプトキナーゼなどの酵素を産生し、結合組織の基質やフィブリンの壁を溶かしてしまう。そのため膿が袋状に囲い込まれず、面として横へ広がっていく。臨床的には境界のはっきりしない発赤・熱感・腫脹・圧痛を示し、発熱や倦怠感などの全身症状、所属リンパ節腫脹を伴うことも多い。治療は抗菌薬の全身投与が基本で、患部の安静と挙上を併用する。膿瘍を形成した部分があれば、そこは切開排膿を行う。これに対し膿瘍は膿が被膜(膿瘍壁)に包まれて限局した状態で、抗菌薬が届きにくいため切開排膿が原則となる。

✓ 3. 正しい
びまん性化膿性炎症である。
細菌が産生する酵素が結合組織の隙間を溶かすため、膿が限局せず皮下の疎性結合組織へ面状に広がる。境界不明瞭な「びまん性」の「化膿性」炎症という定義そのもので、これが正答。
✗ 1. 誤り
発赤を伴わない。
急性の化膿性炎症なので、発赤・熱感・腫脹・疼痛という炎症の徴候がそろって現れる。むしろ境界不明瞭な発赤の拡大が診断の手がかりになる。
✗ 2. 誤り
真菌感染が多い。
蜂窩織炎の原因はほぼ細菌(A群β溶血性レンサ球菌、黄色ブドウ球菌)であり、真菌が原因となることは稀である。糖尿病患者の足部感染などでも原因菌は細菌で、重症例ではグラム陰性桿菌や嫌気性菌を含む混合感染となる。真菌による軟部組織感染(ムーコル症など)が問題になるのは糖尿病性ケトアシドーシスや高度の好中球減少といった限られた病態で、通常の蜂窩織炎の鑑別には入らない。
✗ 4. 誤り
切開排膿が基本となる。
膿が限局していないため切開しても排出できる膿がなく、基本となるのは抗菌薬の全身投与と安静・挙上である。切開排膿が原則となるのは膿瘍を形成した場合。
ポイント
  • 蜂窩織炎=皮下疎性結合組織のびまん性化膿性炎症。境界が不明瞭に広がるのが特徴。
  • 起因菌はA群β溶血性レンサ球菌・黄色ブドウ球菌などの細菌。真菌が原因となることは稀。
  • レンサ球菌の産生酵素が結合組織の壁を溶かすので、膿が限局せず面状に広がる。
  • 治療の基本は抗菌薬の全身投与+患部の安静・挙上。切開排膿は膿瘍を形成したときに行う。
  • 膿瘍は膿が被膜に囲まれて限局した状態で、境界明瞭・波動を触れ、切開排膿が原則。
  • 発赤の範囲を記録(境界に印をつける)して拡大を追うと、治療効果の判定がしやすい。
比較表
蜂窩織炎膿瘍
膿のたまり方限局せずびまん性に広がる膿瘍壁に囲まれて限局
境界不明瞭明瞭
触診所見硬い浸潤、圧痛波動を触れる
主な起因菌A群β溶血性レンサ球菌が多い黄色ブドウ球菌が多い
治療の基本抗菌薬の全身投与、安静・挙上切開排膿(+抗菌薬)
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