学習トップ理由で解く 柔道整復師一般臨床医学 ▸ §21 臨床実地問題 / QJ25P043

理由で解く 柔道整復師

QJ25P043 一般臨床医学

出典:第25回柔道整復師国家試験(2017)午後 問43
問題
78歳の男性。高血圧を指摘されていた。脳出血を発症し、3か月のリハビリテーション後に在宅療養を開始した。右上下肢の完全麻痺を呈している。正しい組合せはどれか。
選択肢
1 バビンスキー反射 →-母趾は足底側に屈曲
2 右上肢の姿勢→-バレー肢位
3 画像所見-右大脳半球に病変
4 再発予防-血圧の管理
解答
正解4(再発予防-血圧の管理)
解説

高血圧を背景とした脳出血で右上下肢が完全麻痺した症例。病変は麻痺と反対側の左大脳半球にあり、再発予防の柱は血圧の管理である。

随意運動を伝える皮質脊髄路(錐体路)は延髄下端の錐体交叉で対側へ渡るため、右半身の麻痺は左大脳半球の病変を意味する。高血圧性脳出血は被殻や視床など穿通枝の支配領域に起こりやすく、上位運動ニューロンが断たれることで腱反射亢進・痙縮・病的反射陽性という所見が揃う。慢性期には上肢が屈曲し下肢が伸展するウェルニッケ・マン肢位をとりやすく、装具の選択や介助のしかたもこの姿勢を前提に組み立てる。再発率の高い病態なので、降圧薬の継続と家庭血圧の測定、減塩・禁煙・節酒・体重管理を生活の中に定着させることが在宅療養の中心課題になる。

✓ 4. 正しい
再発予防-血圧の管理
高血圧は脳出血の最大の危険因子で、持続する高血圧は穿通枝の血管壁を傷め、破綻しやすい状態を作る。血圧を適切に保つことで再発リスクは明確に下げられる。在宅では家庭血圧を毎日同じ条件で記録し、服薬を自己判断で中断しないよう支援するとよい。施術に関わる際も、血圧値や頭痛・めまいなどの変化に注意し、気づいたことは主治医と共有する。
✗ 1. 誤り
バビンスキー反射 →-母趾は足底側に屈曲
バビンスキー反射は、足底の外側を踵から母趾に向けてこすったときに母趾が背屈(足背側へ反る)し、他趾が開扇する反応を陽性とする病的反射で、錐体路障害を示す。母趾が足底側に屈曲するのは正常な(陰性の)反応である。本例は錐体路が障害されているので、麻痺側では陽性、すなわち母趾背屈が予想され、この組合せは成り立たない。
✗ 2. 誤り
右上肢の姿勢→-バレー肢位
バレー徴候は、両上肢を前方に挙上して手掌を上に向け、閉眼保持させたときに麻痺側が回内しながら下降するかを見る「検査手技」で、見た目にはわかりにくい軽度の麻痺を拾うために用いる。完全麻痺では挙上して保持すること自体ができないため適用しにくい。片麻痺で問題になる姿勢は、上肢が屈曲し下肢が伸展するウェルニッケ・マン肢位であり、「上肢の姿勢」との組合せとしては合わない。
✗ 3. 誤り
画像所見-右大脳半球に病変
錐体交叉により運動路は対側支配となるので、右上下肢の麻痺をきたす病変は左大脳半球にある。左半球は多くの人で言語の優位半球にあたるため、右片麻痺の症例では失語の有無も併せて確認し、意思疎通の方法を工夫する。
ポイント
  • 錐体路は延髄の錐体交叉で対側へ渡る。右片麻痺なら病変は左大脳半球。
  • バビンスキー反射陽性は母趾背屈+他趾開扇。母趾の足底屈曲は正常反応。
  • バレー徴候は軽度の麻痺を検出する手技。片麻痺の慢性期の姿勢はウェルニッケ・マン肢位(上肢屈曲・下肢伸展)。
  • 高血圧性脳出血の好発部位は被殻・視床など穿通枝領域。再発予防の中心は血圧管理(服薬継続、家庭血圧測定、減塩・禁煙・節酒)。
  • 右片麻痺では優位半球障害による失語の合併に注意し、伝わる伝達手段を確保する。
比較表
項目選択肢の記載本例で妥当な内容
バビンスキー反射母趾は足底側に屈曲母趾は背屈し他趾が開扇(陽性=錐体路障害)
右上肢の姿勢バレー肢位ウェルニッケ・マン肢位(上肢屈曲・下肢伸展)
画像所見右大脳半球に病変左大脳半球に病変(錐体交叉により対側支配)
再発予防血圧の管理そのとおり。降圧薬の継続、家庭血圧測定、減塩・禁煙・節酒
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。