学習トップ理由で解く 柔道整復師解剖学 ▸ §11 体表解剖 / QJ25A060

理由で解く 柔道整復師

QJ25A060 解剖学

出典:第25回柔道整復師国家試験(2017)午前 問60
問題
正しいのはどれか。
選択肢
1 肺尖は鎖骨上窩の高さにある。
2 胸骨角は第1肋間の高さにある。
3 横隔膜は呼気時に肋骨弓より下にある。
4 肋骨弓は第7〜12肋軟骨からなる。
解答
正解1(肺尖は鎖骨上窩の高さにある。)
解説

肺尖(および胸膜頂)は鎖骨の内側1/3の上方およそ2〜3cm、すなわち鎖骨上窩の高さまで達します。正答は1。

本問は胸郭の体表指標をまとめて問うています。まず高さの基準を4つ固定してください。①肺尖・胸膜頂は第1肋骨の内縁を越えて頸の付け根まで上がり、鎖骨上窩の底に位置します。ここには鎖骨下動脈と腕神経叢が乗り、そのすぐ深部が肺です。そのため鎖骨骨折・上位肋骨骨折や、鎖骨上窩から肩甲帯にかけての強い打撲では肺尖が損傷されて気胸が起こることがあります。受傷後に呼吸困難・胸痛・患側の呼吸音減弱がみられたら気胸を疑い、上体を軽く起こした楽な姿勢で安静を保たせ、患部を固定したうえで速やかに医療機関へ紹介してください。②胸骨角(ルイ角)には第2肋軟骨が付着し、第4〜5胸椎椎間の高さにあたります。触知しやすく、肋骨や肋間を数えるときの出発点になります。③横隔膜は収縮すると下降する筋なので、下がるのが吸気、上がるのが呼気です。静かな呼気時には右のドームが最も高く挙がり、第4〜5肋間の高さに達します。④肋骨弓は第7〜10肋軟骨が順に上の肋軟骨へ連なって描く弓で、左右の弓が剣状突起の下で胸骨下角をつくります。第11・12肋骨は前端が遊離する浮肋なので、この弓には加わりません。実技では、胸骨角で第2肋骨を確認してから下へ数える、肋骨弓を第10肋軟骨までなぞる、という2つの手順を体で覚えておくと、圧痛部位の記載が正確になります。

✓ 1. 正しい
肺尖は鎖骨上窩の高さにある。
肺尖と胸膜頂は第1肋骨の内縁を越えて頸の付け根まで上がり、鎖骨の内側1/3の上方およそ2〜3cm、鎖骨上窩の高さに達します。「肺は鎖骨より上にはみ出す」と押さえておけば、鎖骨骨折や鎖骨上窩の打撲で気胸が起こりうると想定でき、受傷後に呼吸困難・胸痛・患側呼吸音の減弱に気づいたら、安静・固定のうえ直ちに医師へ紹介するという判断につながります。
✗ 2. 誤り
胸骨角は第1肋間の高さにある。
胸骨角に付着するのは第2肋軟骨なので、胸骨角は第2肋骨の高さで、第1肋間より1つ下になります。第1肋骨は鎖骨に隠れて触れにくいため、実際に肋骨を数えるときは胸骨角に指を当てて第2肋骨を確かめ、そこから下へ数えます。
✗ 3. 誤り
横隔膜は呼気時に肋骨弓より下にある。
横隔膜は収縮すると下降するので、下がるのは吸気時です。呼気時にはドームがゆるんで最も高く挙がり、右ドームで第4〜5肋間の高さに達します。どちらの相でも横隔膜のドームは肋骨弓より上方にあり、呼気時に肋骨弓より下へ来ることはありません。「吸って下がる、吐いて上がる」と動きの向きで覚えます。
✗ 4. 誤り
肋骨弓は第7〜12肋軟骨からなる。
肋骨弓をつくるのは第7〜10肋軟骨です。第8〜10肋軟骨がそれぞれ上位の肋軟骨につながって弓を描き、左右の弓が剣状突起の下で胸骨下角をなします。第11・12肋骨は前端が遊離した浮肋なので弓には参加しません。肋骨の分類とあわせて確認しましょう。肋軟骨が直接胸骨に達する第1〜7肋骨が真肋、直接は達しない第8〜12肋骨が仮肋で、仮肋のうち第11・12肋骨は前端が遊離するのでとくに浮肋と呼びます。つまり肋骨弓をつくるのは第7肋軟骨と、仮肋のうち第8〜10肋軟骨だけであり、仮肋の範囲(第8〜12)と肋骨弓の構成は一致しません
ポイント
  • 肺尖・胸膜頂=鎖骨の内側1/3の上方2〜3cm(鎖骨上窩の高さ)。鎖骨骨折・上位肋骨骨折や鎖骨上窩〜肩甲帯の打撲では気胸が起こりうる。呼吸困難・胸痛・患側呼吸音の減弱があれば気胸を疑い、安静・固定のうえ直ちに医師へ紹介する。
  • 胸骨角=第2肋軟骨が付く高さ(第4〜5胸椎椎間)。肋骨を数える起点で、気管分岐部・大動脈弓の高さでもある。
  • 横隔膜は吸気で下降、呼気で上昇。呼気時に最も高く、右ドームは第4〜5肋間の高さ。
  • 肋骨弓=第7〜10肋軟骨。第11・12肋骨は浮肋で参加しない。
  • 肋骨の分類:真肋=第1〜7肋骨(肋軟骨が直接胸骨に達する)/仮肋=第8〜12肋骨(直接は達しない)。仮肋のうち第11・12肋骨は前端が遊離するので浮肋。肋骨弓に加わるのは第7肋軟骨+仮肋の第8〜10肋軟骨だけで、仮肋の範囲と肋骨弓の構成は一致しない
比較表
指標高さ・構成覚え方・使いどころ
肺尖・胸膜頂鎖骨内側1/3の上方2〜3cm(鎖骨上窩)肺は鎖骨より上に出る → 鎖骨骨折・鎖骨上窩の打撲では気胸を想定。呼吸困難・胸痛・患側呼吸音減弱があれば安静・固定のうえ直ちに医師へ紹介
胸骨角(ルイ角)第2肋軟骨が付着/第4〜5胸椎椎間触れて第2肋骨を確認 → そこから下へ数える
肋骨弓第7〜10肋軟骨第11・12は浮肋なので加わらない
肋骨の分類真肋=第1〜7/仮肋=第8〜12(うち第11・12が浮肋)仮肋の範囲と肋骨弓の構成は別物
横隔膜(右ドーム)呼気時に第4〜5肋間の高さまで上昇吸って下がる・吐いて上がる
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