学習トップ理由で解く 柔道整復師解剖学 ▸ §10 感覚器系 / QJ25A059

理由で解く 柔道整復師

QJ25A059 解剖学

出典:第25回柔道整復師国家試験(2017)午前 問59
問題
平衡覚を司るのはどれか。
選択肢
1 前庭階
2 蝸牛窓
3 前庭器
4 前庭窓
解答
正解3(前庭器)
解説

平衡覚を司るのは内耳の前庭器、すなわち前庭(卵形嚢・球形嚢)と三半規管である。

内耳は骨迷路とその中に納まる膜迷路からなり、骨迷路は前方から蝸牛・前庭・半規管の3部に分かれる。蝸牛は聴覚(ラセン器=コルチ器)を担い、前庭と半規管は平衡覚を担うので、この2つをまとめて前庭器(平衡覚器)と呼ぶ。卵形嚢と球形嚢の平衡斑には耳石(平衡砂)が載っており、頭の傾き(重力)と直線加速度を感知する。三半規管は互いに直交する3つの管で、膨大部にある膨大部稜がクプラを介して回転加速度を感知する。いずれも受容細胞は有毛細胞で、その情報は前庭神経(内耳神経の前庭枝)を通って延髄・橋の前庭神経核へ送られ、眼球運動や姿勢の反射に使われる。似た名前の「前庭階」「前庭窓」は音を伝える構造であって受容器ではない点を、名前に引きずられず区別したい。

✓ 3. 正しい
前庭器
前庭(卵形嚢・球形嚢)と三半規管からなり、平衡覚の受容器を備える。平衡斑が頭の傾きと直線加速度を、膨大部稜が回転加速度を感知し、前庭神経を介して中枢へ伝える。
✗ 1. 誤り
前庭階
蝸牛の中で前庭窓側から蝸牛頂へ向かう外リンパの通路で、音の振動を伝える道である。感覚受容器はここではなく、蝸牛管の基底板上にあるラセン器(コルチ器)が担う。
✗ 2. 誤り
蝸牛窓
正円窓ともいい、鼓室と蝸牛の鼓室階の間にある窓で第二鼓膜が張る。外リンパに伝わった振動を逃がす役割で、感覚を受容する構造ではない。
✗ 4. 誤り
前庭窓
卵円窓ともいい、アブミ骨底がはまり込んで中耳の振動を内耳の外リンパへ伝える窓である。名前に「前庭」が付くため紛らわしいが、平衡覚を感じ取る器官ではない。
ポイント
  • 内耳=蝸牛(聴覚)+前庭・半規管(平衡覚)。後2者をまとめて前庭器という。
  • 平衡斑(卵形嚢・球形嚢)は頭の傾きと直線加速度、膨大部稜(三半規管)は回転加速度を感知する。
  • 受容細胞はいずれも有毛細胞で、前庭神経(内耳神経の前庭枝)が中枢へ伝える。
  • 前庭窓(卵円窓)=アブミ骨底がはまる、蝸牛窓(正円窓)=第二鼓膜が張る。どちらも音の伝導路であり受容器ではない。
  • 前庭階・鼓室階は外リンパ、蝸牛管・膜迷路内は内リンパで満たされる。
比較表
構造役割感覚受容器か
前庭器(卵形嚢・球形嚢・三半規管)平衡覚あり(平衡斑・膨大部稜)
蝸牛(蝸牛管)聴覚あり(ラセン器=コルチ器)
前庭階蝸牛内の外リンパの通路(前庭窓側)なし
前庭窓(卵円窓)アブミ骨底がはまり振動を内耳へ伝えるなし
蝸牛窓(正円窓)第二鼓膜が張り、外リンパの振動を逃がすなし
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