学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §1 総論 / QJ25A061

理由で解く 柔道整復師

QJ25A061 生理学

出典:第25回柔道整復師国家試験(2017)午前 問61
問題
代償性変化で呼吸促進が起こるのはどれか。
選択肢
1 呼吸性アシドーシス
2 呼吸性アルカローシス
3 代謝性アシドーシス
4 代謝性アルカローシス
解答
正解3(代謝性アシドーシス)
解説

酸塩基平衡がくずれたとき、呼吸を速めること(換気の増加)が代償として働くのは代謝性アシドーシスである。血液にたまった酸の分だけ肺からCO₂を吐き出し、pHを正常側へ戻そうとする。

血液のpHは、腎が調節するHCO₃⁻と、肺が調節するPaCO₂の比で決まる。そのため代謝性の異常(HCO₃⁻の増減)は呼吸で、呼吸性の異常(PaCO₂の増減)は腎で補うという「たすきがけ」の関係になる。代謝性アシドーシスではHCO₃⁻が減ってpHが下がり、頸動脈体などの末梢化学受容器と延髄が刺激されて換気量が増え、PaCO₂が下がってpHが持ち上がる。糖尿病ケトアシドーシスでみられる大きく深いクスマウル(Kussmaul)呼吸がその典型である。呼吸性代償は数分で立ち上がるのに対し、腎性代償は数時間から数日かかる点も一緒に覚えておきたい。

✓ 3. 正しい
代謝性アシドーシス
HCO₃⁻の減少が一次変化なので、肺が換気を増やしてPaCO₂を下げれば比が戻る。化学受容器が働いて呼吸数と1回換気量がともに増え、呼吸促進が代償として成立する。
✗ 1. 誤り
呼吸性アシドーシス
換気が足りずCO₂がたまった状態そのものである。原因が換気低下なので呼吸促進は代償にならず、腎がHCO₃⁻の再吸収・産生を増やして補う(腎性代償)。
✗ 2. 誤り
呼吸性アルカローシス
過換気でCO₂を吐きすぎた状態。代償を担うのは腎で、HCO₃⁻の排泄が増える。呼吸促進はこの病態の原因そのものなので代償にはならず、むしろ悪化させる。
✗ 4. 誤り
代謝性アルカローシス
HCO₃⁻が増えた状態で、代償は呼吸抑制(低換気)によりCO₂をためる方向に働く。嘔吐で胃酸を失った場合などが原因となる。
ポイント
  • 代謝性の異常は呼吸で代償し、呼吸性の異常は腎で代償する(たすきがけ)。
  • 代謝性アシドーシス→呼吸促進(代償)、代謝性アルカローシス→呼吸抑制(代償)。呼吸性の異常では呼吸は代償手段にならず、腎が代償する。
  • 代謝性アシドーシスの呼吸促進=クスマウル呼吸(糖尿病ケトアシドーシスなど)。
  • 呼吸性代償は数分、腎性代償は数時間〜数日と速さが違う。
  • pHはHCO₃⁻/PaCO₂の比で決まると考えると、どちらを動かせばよいか迷わない。
比較表
病態一次変化代償の担い手実際の呼吸状態代表例
呼吸性アシドーシスPaCO₂↑腎(HCO₃⁻↑)低換気(一次変化そのもの)COPD、呼吸抑制
呼吸性アルカローシスPaCO₂↓腎(HCO₃⁻↓)過換気(一次変化そのもの)過換気症候群
代謝性アシドーシスHCO₃⁻↓肺(PaCO₂↓)呼吸促進=クスマウル呼吸(代償)糖尿病ケトアシドーシス、下痢
代謝性アルカローシスHCO₃⁻↑肺(PaCO₂↑)呼吸抑制=低換気(代償)嘔吐、利尿薬
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