学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §45 柔道整復理論 / QJ25A019

理由で解く 柔道整復師

QJ25A019 必修問題

出典:第25回柔道整復師国家試験(2017)午前 問19
問題
反復性脱臼になりやすいのはどれか。
選択肢
1 肩関節前方脱臼
2 示指 MP 関節背側脱臼
3 膝関節後方脱臼
4 距骨前方脱臼
解答
正解1(肩関節前方脱臼)
解説

反復性脱臼になりやすい代表は肩関節前方脱臼です。骨性の支持が乏しいうえ、初回脱臼で関節唇や関節包に生じた損傷が治らないまま残ると、軽い外力で繰り返し脱臼するようになります。答えは1です。

肩関節(肩甲上腕関節)は、大きな上腕骨頭を浅い関節窩が受ける構造で、可動域が広い代わりに安定性を関節唇・関節包・靱帯・腱板といった軟部組織に頼っています。前方脱臼では、関節窩の前下縁で関節唇と関節包が剥離するバンカート損傷や、骨頭の後外側がへこむヒル・サックス損傷が生じます。これらが修復されないまま残ると前方を止める力が働かず、外転・外旋(腕を挙げて後ろへひねる)の肢位で容易に再脱臼します。若年者、コンタクトスポーツや投球動作を行う人、初回の固定が不十分だった例で反復化しやすいことが知られています。初回脱臼では、整復後に適切な肢位で一定期間固定し、その後は腱板と肩甲帯周囲の筋を段階的に鍛えて動的な安定性を高めていくことが、再発を減らす方向に働きます。脱臼を繰り返す状態が続く場合は、手術も含めた評価のために整形外科の受診につなげます。

✓ 1. 正しい
肩関節前方脱臼
関節窩が浅く軟部組織に安定性を依存する関節であり、バンカート損傷などが残ると前方への制動が失われます。反復性脱臼の代表として押さえておく項目です。
✗ 2. 誤り
示指 MP 関節背側脱臼
掌側板が関節内に入り込んで整復困難となる複雑性脱臼を起こすことがありますが、整復後は側副靱帯と掌側板で安定し、反復性に移行することはまれです。
✗ 3. 誤り
膝関節後方脱臼
発生自体がまれで、起こるときは強大な外力により複数の靱帯が断裂し、膝窩動脈損傷や腓骨神経麻痺を伴う重症例です。修復と十分な固定を要する損傷で、繰り返すタイプではありません(膝で反復するのは膝蓋骨脱臼です)。
✗ 4. 誤り
距骨前方脱臼
足根部は骨どうしの噛み合わせと強靱な靱帯で固められており、脱臼には大きな外力が必要です。まれな損傷であり、反復性にはなりにくい部位です。
ポイント
  • 反復性脱臼の代表は肩関節前方脱臼。関節窩が浅く、軟部組織に安定性を依存する。
  • 残存する損傷:バンカート損傷(関節窩前下縁の関節唇・関節包剥離)、ヒル・サックス損傷(骨頭後外側の陥凹)。
  • 再脱臼を誘発する肢位は外転・外旋。日常でも意識して避ける。
  • 若年者・スポーツ活動者・初回固定が不十分な例で反復化しやすい。
  • 初回脱臼では整復後の適切な固定と、腱板・肩甲帯筋の段階的な強化が再発予防の基本。
比較表
脱臼関節の安定性反復性への移行理由
肩関節前方脱臼軟部組織依存(関節窩が浅い)なりやすいバンカート・ヒル・サックス損傷が残る
示指MP関節背側脱臼側副靱帯・掌側板で安定まれ整復後の安定性が保たれる
膝関節後方脱臼強靱な靱帯群まれ発生自体が少なく、重症の靱帯損傷を伴う
距骨前方脱臼骨性の噛み合わせ+強靱な靱帯まれ大きな外力を要し、発生頻度が低い
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