学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §45 柔道整復理論 / QJ25A017

理由で解く 柔道整復師

QJ25A017 必修問題

出典:第25回柔道整復師国家試験(2017)午前 問17
問題
骨折で正しいのはどれか。
選択肢
1 介達痛を認めるものは少ない。
2 皮下出血斑は経時的に近位側に移動する。
3 異常可動性は神経・血管損傷に注意する。
4 骨挫傷の有無は軋轢音で判断する。
解答
正解3(異常可動性は神経・血管損傷に注意する。)
解説

異常可動性は骨折の固有症状で、本来動かない部位で骨折端が動く状態である。動くたびに鋭い骨折端が周囲を傷つけるため、神経・血管損傷に注意しなければならない。よって3が正しい。

骨折の症状は、骨折でしか起こらない固有症状(異常可動性・軋轢音・転位と変形)と、他の外傷でも起こる一般症状(疼痛、腫脹、皮下出血斑、機能障害)に分けて整理する。固有症状はいずれも「骨折端が動く」ことで生まれるので、確認しようとして繰り返し動かせば、骨折端が刃物のように働いて血管・神経・筋を損傷し、疼痛の増悪や開放骨折化を招く。したがって異常可動性や軋轢音はことさら誘発せず、他の所見と合わせて判断するのが原則である。骨折を疑ったら、まず末梢の色調・冷感・動脈拍動・しびれ・自動運動を確認し、患部の上下1関節を含めて副子で固定してから医療機関へつなぐ。皮下出血斑は受傷直後には現れず、数日かけて重力に従って下方・遠位へ広がりながら、赤紫色から青、さらに黄褐色へと色調が変わっていく。

✓ 3. 正しい
異常可動性は神経・血管損傷に注意する。
関節でない部位が動く異常可動性は、骨折端が遊離して動いている証拠である。骨折端の周囲には血管・神経が走行しており、動揺が続けばこれらを損傷しうる。確認は最小限にとどめ、末梢の循環・知覚・運動を評価したうえで速やかに固定する。
✗ 1. 誤り
介達痛を認めるものは少ない。
実際は逆で、骨折では介達痛(軸圧痛・圧迫痛・牽引痛・叩打痛など)を高率に認める。骨に離れた場所から力を伝えると骨折部でたわみが生じて痛むためで、外観の変化に乏しい不全骨折を拾い上げる手がかりになる。ただし強い軸圧は転位を増す恐れがあるので、弱い力から段階的に加える。
✗ 2. 誤り
皮下出血斑は経時的に近位側に移動する。
血腫は重力に従って移動するため、皮下出血斑は時間とともに遠位側・下方へ下降する。したがって出血斑が出ている場所より近位(中枢)側に受傷部位がないかを探すのが正しい見方であり、「近位側に移動する」は方向が逆である。
✗ 4. 誤り
骨挫傷の有無は軋轢音で判断する。
骨挫傷は骨梁の微小な損傷と骨髄内の出血・浮腫であり、骨皮質の連続性は保たれる。動く骨折端が存在しないので軋轢音は生じない。単純エックス線写真にも写りにくく、判断にはMRIを要する。限局性圧痛や荷重時痛が長引く例は、画像評価のために医師へ紹介する。
ポイント
  • 骨折の固有症状は3つ。異常可動性・軋轢音・転位(変形)。これらは骨折端が動くことで生じる。
  • 一般症状は疼痛(自発痛・限局性圧痛・介達痛)、腫脹、皮下出血斑、機能障害。介達痛は骨折で高率に認められる。
  • 介達痛の代表例は軸圧痛・圧迫痛・牽引痛・叩打痛・剪力(せんりょく)痛。離れた部位から力を伝えて骨折部が痛むものをいう。
  • 異常可動性・軋轢音は確認のために誘発しない。疑ったら末梢の色調・冷感・拍動・知覚・運動を確認し、上下1関節を含めて固定する。
  • 皮下出血斑は重力方向(遠位・下方)へ下降する。出血斑より近位に受傷部位を探す。
  • 骨挫傷はMRIで捉える病態。軋轢音では判断できず、痛みが続く例は医師へ紹介する。
比較表
所見意味するもの実際の対応
異常可動性固有症状。骨折端が遊離して動いている誘発せず最小限の確認。末梢の循環・知覚・運動を評価し固定
軋轢音固有症状。骨折端どうしが擦れる(完全骨折で生じやすい)意図的に出そうとしない。骨挫傷や不全骨折の判定には使えない
介達痛一般症状だが骨折で高率。軸圧痛・圧迫痛・牽引痛・叩打痛・剪力痛など弱い力から段階的に。不全骨折の発見に有用
皮下出血斑一般症状。血腫が皮下に広がったもの遠位・下方へ下降する。時間経過で色調が変化する
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。