学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §44 整形外科学 / QJ25A016

理由で解く 柔道整復師

QJ25A016 必修問題

出典:第25回柔道整復師国家試験(2017)午前 問16
問題
誤っている組合せはどれか。
選択肢
1 頸椎脱臼骨折四肢麻痺
2 胸椎脱臼骨折-対麻痺
3 上腕骨骨幹部骨折-橈骨神経麻痺
4 鎖骨骨折-尺骨神経麻痺
解答
正解4(鎖骨骨折-尺骨神経麻痺)
解説

この問題は「誤っている組合せ」を選ぶ形式です。鎖骨骨折で警戒するのは鎖骨下の血管と腕神経叢であり、尺骨神経だけが麻痺する組合せは成り立ちません。答えは4です。

骨折と神経障害の組合せは、「折れた骨のすぐそばを何が走っているか」で説明できます。頸髄には上肢と下肢の両方を支配する経路が通っているため、頸椎の脱臼骨折では四肢麻痺となり、高位によっては横隔膜の働きまで障害されます。胸髄の高さでは上肢への経路がすでに分かれた後なので、胸椎の脱臼骨折では両下肢の対麻痺と、損傷高位以下の感覚障害・膀胱直腸障害が出ます。上腕骨骨幹部では、橈骨神経が橈骨神経溝に沿って骨に密着して走るため、中1/3から遠位1/3の境界あたりの骨折で橈骨神経麻痺(下垂手、手背橈側の感覚障害)を起こしやすく、整復操作の際にも注意が必要です。一方、鎖骨の下を走るのは鎖骨下動静脈と腕神経叢の幹の部分で、損傷すれば上肢全体に及ぶ症状が出ますし、深部には肺尖もあります。尺骨神経は腕神経叢から分かれた後に上腕内側を下り、肘の内側の肘部管を通るため、単独の麻痺は上腕骨内側上顆部骨折や肘部の外傷で問題になります。

✓ 4. これが誤りの組合せ(=本問の答え)
鎖骨骨折-尺骨神経麻痺
鎖骨骨折で警戒すべきは鎖骨下動静脈の損傷、腕神経叢損傷、そして肺尖部の損傷です。尺骨神経は鎖骨の高さでは腕神経叢の中にまとめられており、単独で麻痺する組合せにはなりません。
✗ 1. 正しい組合せ(答えではない)
頸椎脱臼骨折四肢麻痺
頸髄が損傷されると上肢・下肢ともに麻痺します。高位が上位であるほど重篤で、呼吸筋の障害を伴うこともあります。
✗ 2. 正しい組合せ(答えではない)
胸椎脱臼骨折-対麻痺
胸髄損傷では両下肢の麻痺(対麻痺)となり、損傷高位以下の感覚障害や膀胱直腸障害を伴います。上肢は障害されません。
✗ 3. 正しい組合せ(答えではない)
上腕骨骨幹部骨折-橈骨神経麻痺
橈骨神経が上腕骨後面の橈骨神経溝を骨に接して走るため、骨幹部骨折で麻痺しやすく、下垂手を生じます。受傷時だけでなく整復時にも確認が必要です。
ポイント
  • 頸椎脱臼骨折→四肢麻痺、胸椎脱臼骨折→対麻痺。上肢が入るかどうかで高位を判断する。
  • 上腕骨骨幹部(中〜遠位1/3境界)骨折→橈骨神経麻痺(下垂手)。
  • 鎖骨骨折で警戒するのは鎖骨下動静脈損傷・腕神経叢損傷・肺尖部損傷。
  • 尺骨神経の単独麻痺は上腕骨内側上顆部・肘部管など、肘周辺の外傷で問題になる。
  • 骨折を診たら、必ず末梢の脈拍・皮膚色・感覚・自動運動を確認して記録する。
比較表
骨折・損傷近接する神経・血管典型的な障害
頸椎脱臼骨折頸髄四肢麻痺(高位により呼吸障害)
胸椎脱臼骨折胸髄対麻痺、膀胱直腸障害
上腕骨骨幹部骨折橈骨神経(橈骨神経溝)下垂手
鎖骨骨折鎖骨下動静脈・腕神経叢・肺尖上肢全体の症状、血管損傷、気胸
上腕骨内側上顆部骨折尺骨神経(尺骨神経溝)鷲手、小指側の感覚障害
上腕骨顆上骨折上腕動脈・正中神経フォルクマン拘縮、猿手
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