学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §44 整形外科学 / QJ26A016

理由で解く 柔道整復師

QJ26A016 必修問題

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午前 問16
問題
正中神経麻痺でみられないのはどれか。
選択肢
1 母指球筋萎縮
2 猿手
3 ボタン穴変形
4 示指のしびれ
解答
正解3(ボタン穴変形)
解説

正中神経の麻痺では母指球筋の萎縮、猿手、母指から環指橈側にかけてのしびれが生じる。ボタン穴変形は指の伸筋腱(中央索)の障害や関節リウマチでみられる変形で、正中神経の支配とは結びつかない。

正中神経は前腕の屈筋群の大半と、手内在筋のうち母指球筋(短母指外転筋・母指対立筋・短母指屈筋浅頭)および第1・2虫様筋を支配し、感覚は手掌側の橈側3本半(母指・示指・中指・環指橈側)を担う。手根管で絞扼されると母指球のふくらみが平坦になり、母指の対立ができず手全体が平たくみえる猿手を呈する。肘より上位で障害されると長母指屈筋や深指屈筋の橈側が働かず、握ろうとしても示指・中指が伸びたままになる祈祷手がみられる。一方、ボタン穴変形はPIP関節の屈曲とDIP関節の過伸展を示す指の変形で、伸筋腱中央索の断裂や関節リウマチによる関節破壊が原因であり、神経麻痺とは別の機序で生じる。設問は「みられないもの」を選ぶ形なので、正中神経の支配領域から外れる所見を探す。

✓ 3. これが答え(みられない)
ボタン穴変形
PIP関節屈曲・DIP関節過伸展を呈する指の変形で、伸筋腱中央索の断裂や関節リウマチによって起こる。正中神経の障害で生じる所見ではない。
✗ 1. 答えではない(みられる)
母指球筋萎縮
正中神経支配の短母指外転筋・母指対立筋などが萎縮し、母指球のふくらみが平坦になる。手根管症候群で典型的にみられる。
✗ 2. 答えではない(みられる)
猿手
母指の対立が失われ、母指が手掌と同一平面に並ぶ変形。正中神経の障害を代表する所見である。
✗ 4. 答えではない(みられる)
示指のしびれ
正中神経の知覚領域は手掌側の橈側3本半で、示指はここに含まれる。しびれや感覚鈍麻が出やすい部位である。
ポイント
  • 正中神経麻痺=猿手、母指球筋萎縮、手掌橈側3本半の感覚障害。手根管症候群が代表
  • 肘より上位の障害では祈祷手(握ると示指・中指が伸びたまま)がみられる
  • 尺骨神経麻痺は鷲手、橈骨神経麻痺は下垂手。3つの変形をセットで覚える
  • ボタン穴変形=PIP屈曲+DIP過伸展。伸筋腱中央索の断裂や関節リウマチが原因
  • スワンネック変形(PIP過伸展+DIP屈曲)もリウマチの変形で、神経麻痺の所見ではない
比較表
障害特徴的な変形筋の所見感覚障害の部位
正中神経麻痺猿手(祈祷手)母指球筋の萎縮手掌の橈側3本半
尺骨神経麻痺鷲手骨間筋・小指球筋の萎縮手の尺側1本半
橈骨神経麻痺下垂手前腕伸筋群の麻痺手背の橈側
ボタン穴変形PIP屈曲+DIP過伸展伸筋腱中央索の障害神経支配とは無関係
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