学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §17 各論(骨折) 下肢 / QJ24P086

理由で解く 柔道整復師

QJ24P086 柔道整復理論

出典:第24回柔道整復師国家試験(2016)午後 問86
問題
大腿骨近位部骨折で正しいのはどれか。
選択肢
1 転子貫通骨折では下肢の延長がみられる。
2 中間部骨折では下肢が内旋位を呈する。
3 転子間骨折では外反股がみられる。
4 骨頭下骨折では大転子高位がみられる。
解答
正解4(骨頭下骨折では大転子高位がみられる。)
解説

大腿骨近位部骨折で転位があると、患肢は短縮・外旋し、頸体角が減って内反股となる。短縮の結果、大転子は正常より上方に位置する(大転子高位)。正しいのは4。

大腿骨近位部骨折は、関節包内で起こる内側骨折(骨頭下骨折・中間部骨折・基部骨折)と、関節包外の外側骨折(転子部=転子間骨折・転子貫通骨折、転子下骨折)に大別する。いずれも転位型では、遠位骨片が腸腰筋・内転筋群・大腿の筋群に引かれて上方へずれるため患肢は短縮し、下肢は自重と外旋筋群の作用で外旋位をとる。頸部の支持性が失われることで頸体角は減少し、内反股を呈する。短縮を客観的にみる指標が大転子高位で、①大転子頂点がローゼル・ネラトン線を越えて上方にある、②ブライアント三角の底辺(水平辺)が短縮する、③シェーマッカー線(大転子頂点と上前腸骨棘を結ぶ延長線)が臍より下方で交わる、の3つで確認する。骨頭下骨折は関節包内にあり、骨膜性仮骨が期待できず栄養血管も断たれやすいため、骨頭壊死・偽関節を起こしやすい点も重要。

✓ 4. 正しい
骨頭下骨折では大転子高位がみられる。
転位型の骨頭下骨折では遠位骨片が上方へずれ、大腿全体が挙上して患肢が短縮する。その結果、大転子頂点が正常な位置より高くなり、ローゼル・ネラトン線・ブライアント三角・シェーマッカー線のいずれでも短縮の所見が得られる。
✗ 1. 誤り
転子貫通骨折では下肢の延長がみられる。
転位型では遠位骨片が上方へ引き上げられるため短縮する。近位部骨折で下肢が延長することはないと考えてよい。転子貫通骨折は関節包外で海綿骨が豊富なため出血量が多く、大腿近位部の腫脹・皮下出血斑が強く、外旋変形も著明になる。
✗ 2. 誤り
中間部骨折では下肢が内旋位を呈する。
近位部骨折の肢位は外旋位である(外側骨折で著明、内側骨折では軽度〜中等度にとどまる)。内旋位・内転位・屈曲位をとるのは股関節後方脱臼で、こちらは弾発性固定を伴う。骨折=外旋、後方脱臼=内旋、と対にして覚える。
✗ 3. 誤り
転子間骨折では外反股がみられる。
頸体角が減少する内反股を呈する。転子間骨折では頸部が下方へ落ち込むように転位するため、頸体角はむしろ小さくなる。外反股は頸体角が増大した状態で、この骨折の転位様式とは逆である。
ポイント
  • 転位型の近位部骨折は「短縮+外旋+内反股」が基本形。ここから各選択肢を判定できる。
  • 大転子高位の確認法3つ:ローゼル・ネラトン線/ブライアント三角/シェーマッカー線
  • 内側骨折(関節包内)は骨頭壊死・偽関節が問題。外側骨折(関節包外)は出血・腫脹が強いが骨癒合は良好。
  • 下肢が内旋位なら股関節後方脱臼を考える。骨折の外旋位と対で押さえる。
  • 嵌入型では受傷後も歩けることがある。高齢者の転倒後の股関節痛は骨折を前提に医師へ紹介する。
比較表
内側骨折(骨頭下・中間部)外側骨折(転子間・転子貫通)
関節包との関係関節包内関節包外
腫脹・皮下出血目立たない強い(出血量が多い)
外旋変形軽度〜中等度著明
短縮・大転子高位転位型でみられるみられる
頸体角減少(内反股)減少(内反股)
骨癒合不良(骨頭壊死・偽関節)良好
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