学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §20 各論(脱臼) 下肢 / QJ24P085

理由で解く 柔道整復師

QJ24P085 柔道整復理論

出典:第24回柔道整復師国家試験(2016)午後 問85
問題
ダッシュボード損傷で起こりにくいのはどれか。
選択肢
1 小転子骨折
2 後十字靱帯断裂
3 膝蓋骨骨折
4 股関節後方脱臼
解答
正解1(小転子骨折)
解説

ダッシュボード損傷は膝前面からの後方への軸圧で生じる一連の損傷。後十字靱帯断裂・膝蓋骨骨折・股関節後方脱臼が代表で、腸腰筋の牽引で起こる小転子骨折はこの機序では起こりにくい。

自動車の座席で股関節・膝関節を屈曲した坐位のまま前方衝突を受けると、膝の前面がダッシュボードに当たり、力が脛骨近位から大腿骨を通って股関節まで後方へ伝わる。力の通り道に沿って、膝蓋骨骨折や膝前面の挫創、脛骨が後方へ押されることによる後十字靱帯断裂、大腿骨骨幹部骨折、骨頭が後方へ押し出される股関節後方脱臼や寛骨臼後壁骨折が起こりうる。膝の所見に気を取られず股関節と大腿骨も必ず評価し、後方脱臼を疑えば坐骨神経麻痺の有無を確認して直ちに医師へ搬送する。

✓ 1. 起こりにくい(これが答え)
小転子骨折
小転子の骨折は腸腰筋の急激な収縮による裂離が主体で、思春期のスポーツや高齢者の病的骨折としてみられる。膝前面からの後方への軸圧では小転子に牽引力が働かず、この機序では起こりにくい。
✗ 2. 起こりうる(答えではない)
後十字靱帯断裂
膝屈曲位で脛骨近位前面を後方へ押されると、脛骨の後方移動を制動する後十字靱帯が破綻する。ダッシュボード損傷の代表で、後方引き出しテストやサギング(脛骨の落ち込み)で確認する。
✗ 3. 起こりうる(答えではない)
膝蓋骨骨折
膝前面が直接ダッシュボードに当たるため、直達外力による膝蓋骨骨折(粉砕型が多い)が起こりうる。膝前面の挫創や膝蓋前皮下滑液包の損傷を伴うこともある。
✗ 4. 起こりうる(答えではない)
股関節後方脱臼
股関節屈曲・内転位で大腿骨長軸方向に後方への力が加わると、骨頭が後方へ押し出されて脱臼する。ダッシュボード損傷の典型で、寛骨臼後壁骨折や坐骨神経麻痺を合併しうる。
ポイント
  • 受傷肢位=股関節・膝関節屈曲位の坐位、膝前面からの後方への軸圧
  • 起こる損傷=膝蓋骨骨折、後十字靱帯断裂、大腿骨骨幹部骨折、股関節後方脱臼、寛骨臼後壁骨折
  • 小転子裂離骨折は腸腰筋の牽引によるもので、機序が異なる
  • 股関節後方脱臼=屈曲・内転・内旋位の弾発性固定、坐骨神経麻痺に注意
  • 膝の所見だけで判断せず、股関節と大腿骨も評価してから医師へ引き継ぐ
比較表
損傷ダッシュボード損傷での成否力の伝わり方
膝蓋骨骨折起こる膝前面への直達外力
後十字靱帯断裂起こる脛骨近位が後方へ押される
股関節後方脱臼起こる大腿骨長軸を伝わる後方への力
小転子骨折起こりにくい腸腰筋の牽引が必要(軸圧では生じない)
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