学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §16 各論(骨折) 上肢 / QJ24P077

理由で解く 柔道整復師

QJ24P077 柔道整復理論

出典:第24回柔道整復師国家試験(2016)午後 問77
問題
肩甲骨骨折で正しいのはどれか。
選択肢
1 外科頸骨折は肩関節脱臼との鑑別を要する。
2 骨体部骨折はバンカート損傷との鑑別を要する。
3 上角骨折の合併症に気胸がある。
4 烏口突起骨折は定型的鎖骨骨折に合併する。
解答
正解1(外科頸骨折は肩関節脱臼との鑑別を要する。)
解説

肩甲骨外科頸骨折では関節窩を含む骨片が下垂し、肩の輪郭が肩関節前方脱臼に似た形になる。両者の鑑別が必要となる。

肩甲骨外科頸は関節窩のすぐ内側のくびれで、ここで折れると関節窩を含む骨片が上腕骨とともに下垂し、三角筋部の膨隆が減って肩峰が突出する。見た目は前方脱臼の三角筋部平坦化・肩峰突出とよく似るが、脱臼と違って関節頭は関節窩に収まっているため弾発性固定はなく、骨折部に限局した圧痛と軋轢音、上腕への軸圧による介達痛が得られる。触診と慎重な他動運動で見当をつけ、確定診断のため医師へ紹介する。

✓ 1. 正しい
外科頸骨折は肩関節脱臼との鑑別を要する。
関節窩を含む骨片が下垂して肩の輪郭が脱臼に似る。弾発性固定がない、軋轢音がある、軸圧で介達痛が出るといった点で区別する。
✗ 2. 誤り
骨体部骨折はバンカート損傷との鑑別を要する。
バンカート損傷は肩関節前方脱臼に伴って関節窩前下縁の関節唇が剥がれる損傷で、反復性脱臼の原因となる。肩甲骨体部骨折は強い直達外力による骨折で、発生機序も所見も異なり鑑別対象にならない。
✗ 3. 誤り
上角骨折の合併症に気胸がある。
気胸は胸壁・肺が直接損傷されて生じる。肩甲骨骨折で気胸が問題になるのは、強い直達外力を受けた体部骨折に肋骨骨折・肺損傷を合併した場合であり、上角骨折そのものの合併症として挙げられるものではない。なお強い外力で受傷した肩甲骨骨折では呼吸状態を必ず確認し、呼吸困難や皮下気腫があれば直ちに医師へ搬送する。
✗ 4. 誤り
烏口突起骨折は定型的鎖骨骨折に合併する。
定型的鎖骨骨折は中1/3と外1/3の境界部の骨折で、烏口突起とは直接つながらない。烏口突起骨折が問題になるのは、烏口鎖骨靱帯を介して力が伝わる鎖骨遠位端部の損傷や肩鎖関節脱臼のときである。
ポイント
  • 肩甲骨骨折で最多は骨体部(直達外力)
  • 外科頸骨折=関節窩を含む骨片が下垂し、前方脱臼と紛らわしい
  • 鑑別点:弾発性固定なし/軋轢音あり/軸圧による介達痛
  • 高エネルギー直達外力による体部骨折は肋骨骨折・肺挫傷・気胸・血胸を合併しうる → 呼吸状態を必ず確認
  • バンカート損傷=前方脱臼に伴う関節窩前下縁の関節唇損傷
  • 烏口突起は烏口鎖骨靱帯で鎖骨外側端と連結する
比較表
所見肩甲骨外科頸骨折肩関節前方脱臼
肩の輪郭三角筋部の膨隆減少、肩峰突出三角筋部平坦化、肩峰突出
弾発性固定なしあり
軋轢音ありなし
関節頭の位置関節窩内(骨片ごと下垂)関節窩外(前下方)
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