学習トップ理由で解く 柔道整復師外科学概論 ▸ §18 胸部外傷(救急法) / QJ24P052

理由で解く 柔道整復師

QJ24P052 外科学概論

出典:第24回柔道整復師国家試験(2016)午後 問52
問題
胸部外傷で正しいのはどれか。
選択肢
1 肋骨骨折の好発部位は第1~3肋骨である。
2 緊張性気胸の治療は酸素療法である。
3 第5~8肋骨の連続性多発骨折で胸郭動揺を起こしやすい。
4 内開放性気胸では膿胸を起こしやすい。
解答
正解3(第5~8肋骨の連続性多発骨折で胸郭動揺を起こしやすい。)
解説

動揺胸郭(フレイルチェスト)は、連続する複数本の肋骨がそれぞれ2か所以上で折れ、その胸壁が呼吸と逆に動く状態。可動性の大きい第5〜8肋骨あたりで起こりやすい。

肋骨骨折は第4〜8肋骨、とくに第5〜8肋骨に好発する。第1〜3肋骨は短く太いうえ鎖骨・肩甲骨と周囲の筋に覆われて折れにくく、折れていれば大きな外力が加わった証拠として鎖骨下動脈損傷や腕神経叢損傷の合併を疑う。第11・12肋骨は浮遊肋で可動性が高い。動揺胸郭では吸気時に動揺部が陥凹し呼気時に膨隆する奇異呼吸を示して換気効率が落ち、さらにその直下の肺挫傷が低酸素血症の主因となる。対応は酸素投与と十分な鎮痛、必要に応じて陽圧換気による内固定や観血的な肋骨固定術。胸部外傷では緊張性気胸のように数分を争う病態が隠れているので、呼吸音・頸静脈・気管の位置を素早く確認する習慣をつける。

✓ 3. 正しい
第5~8肋骨の連続性多発骨折で胸郭動揺を起こしやすい。
連続する3本以上の肋骨が各2か所以上で折れると、その範囲の胸壁が胸郭との連続性を失って浮いた状態になり、呼吸に伴って逆方向に動く(奇異呼吸)。第5〜8肋骨は側方に位置して可動性が大きく外力を受けやすいため、この部位の連続性多発骨折で動揺胸郭を生じやすい。
✗ 1. 誤り
肋骨骨折の好発部位は第1~3肋骨である。
好発は第4〜8肋骨、とくに第5〜8肋骨。第1〜3肋骨は鎖骨・肩甲骨と筋群に守られ、短く太いため折れにくい。第1肋骨骨折があれば高エネルギー外傷と考え、鎖骨下動静脈や腕神経叢の損傷を念頭に置いて医師の評価につなぐ。
✗ 2. 誤り
緊張性気胸の治療は酸素療法である。
緊張性気胸は胸腔内に空気がたまり続けて縦隔と大静脈を圧迫し、静脈還流の途絶からショック・心停止に至る。酸素投与だけでは間に合わず、まず太い針による緊急脱気で圧を逃がし、続いて胸腔ドレナージを行う。頸静脈怒張、気管の健側偏位、患側の呼吸音減弱と鼓音、皮下気腫が手掛かりで、疑った時点で直ちに救急要請する。
✗ 4. 誤り
内開放性気胸では膿胸を起こしやすい。
膿胸を起こしやすいのは、外界と胸腔が交通する外開放性気胸のほう。外気とともに細菌が胸腔内へ入るためである。内開放性気胸は肺や気管支の損傷により気道と胸腔が交通するもので、問題になるのは緊張性気胸への移行や皮下気腫・縦隔気腫であって膿胸ではない。
ポイント
  • 肋骨骨折の好発は第4〜8肋骨(とくに第5〜8)。第1〜3肋骨骨折は高エネルギー外傷のサイン
  • 動揺胸郭=連続する3本以上の肋骨が各2か所以上で骨折。奇異呼吸を示し、下床の肺挫傷が呼吸不全の主因
  • 緊張性気胸は緊急脱気 → 胸腔ドレナージ。酸素療法は補助であって根本治療ではない
  • 気胸の交通の向き:外開放性=外界と交通(膿胸のリスク)/内開放性=気道と交通(緊張性気胸へ移行しうる)
  • 胸部外傷では呼吸音・頸静脈怒張・気管偏位を素早く確認し、疑えば直ちに救急要請
比較表
種類胸腔がどこと通じるか特徴的な所見主な危険
閉鎖性気胸交通なし(胸腔内に空気が閉じ込められる)患側呼吸音の減弱量が多ければ呼吸困難
外開放性気胸外界と交通(胸壁の欠損)創部での空気の出入り音細菌侵入による膿胸、換気障害
内開放性気胸気道(肺・気管支損傷)と交通皮下気腫、縦隔気腫緊張性気胸への移行
緊張性気胸一方向弁となり空気がたまり続ける頸静脈怒張、気管の健側偏位、鼓音、ショック静脈還流の途絶 → 心停止
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