学習トップ理由で解く 柔道整復師外科学概論 ▸ §12 心肺蘇生法(救急法) / QJ24P051

理由で解く 柔道整復師

QJ24P051 外科学概論

出典:第24回柔道整復師国家試験(2016)午後 問51
問題
心臓マッサージで正しいのはどれか。
選択肢
1 肘はまっすぐに伸ばして圧迫する。
2 両手は重ねず広く圧迫する。
3 心窩部を強く速く圧迫する。
4 1分間に 80回圧迫する。
解答
正解1(肘はまっすぐに伸ばして圧迫する。)
解説

胸骨圧迫は「胸骨の下半分を、手掌基部を重ねて、肘を伸ばし垂直に、速く強く絶え間なく」が基本形です。肘を伸ばして体重を真上から乗せる姿勢が、有効な深さと術者の疲労軽減の両方を支えます。

胸骨圧迫が血流を生むのは、胸骨を沈めて心臓と胸腔内を圧迫し、その後に胸壁が完全に戻る(リコイル)ときに心臓へ血液が戻るからです。腕を曲げて押すと力が肘で吸収されて深さが足りず、術者も早く疲れます。そのため傷病者の胸の真上に肩がくるように位置し、肘を伸ばして上半身の体重で圧迫します。圧迫部位は胸骨の下半分(胸の中央)で、剣状突起や心窩部は避けます。第24回の出題時期にあたる蘇生ガイドラインの記載では、テンポは少なくとも100回/分(2015では100〜120回/分)、深さは2010では少なくとも5cm、2015では約5cm(6cmを超えない)とされ、圧迫の中断は最小限にすることが強調されています。深さの上限「6cmを超えない」は2015で新たに設けられた規定で、2010には上限の記載がありません。

✓ 1. 正しい
肘はまっすぐに伸ばして圧迫する。
肘を伸ばし、傷病者の胸の真上に肩を置いて、腕の力ではなく上半身の体重で垂直に圧迫します。こうすると力が逃げずに必要な深さ(成人で約5cm)を確保でき、術者の消耗も抑えられて質を保ったまま続けやすくなります。
✗ 2. 誤り
両手は重ねず広く圧迫する。
力を広く分散させると胸骨が十分に沈まず、血流を生み出せません。一方の手の手掌基部を胸骨の下半分に置き、その上にもう一方の手を重ねて(指を組んで浮かせてもよい)、狭い一点に力を集中させます。
✗ 3. 誤り
心窩部を強く速く圧迫する。
「強く速く」というテンポの考え方は正しいのですが、部位が違います。心窩部や剣状突起の上を押すと、肝損傷や胃内容の逆流・誤嚥を招くおそれがあります。手掌基部は胸骨の下半分(胸の中央)に置いて圧迫します。
✗ 4. 誤り
1分間に 80回圧迫する。
テンポが遅すぎます。出題時期のガイドラインでは少なくとも100回/分(2015年版では100〜120回/分)とされています。数えづらいときは1秒に2回弱のリズムを意識し、圧迫のたびに胸壁を完全に元へ戻すこと、疲労で質が落ちる前に約2分ごとに交代することを心がけます。
ポイント
  • 部位は胸骨の下半分(胸の中央)。心窩部・剣状突起は避ける。
  • 手技は手掌基部を重ね、肘を伸ばし、肩を胸の真上に置いて垂直に体重をかける。
  • テンポは少なくとも100回/分(ガイドライン2015では100〜120回/分)。80回では不足。
  • 深さは成人で約5cm。2010は「少なくとも5cm」(上限の規定なし)、2015は「約5cmで6cmを超えない」。
  • 毎回胸壁を完全に戻す(リコイル)ことで心臓へ血液が戻る。
  • 圧迫の中断は最小限に。複数人いれば約2分ごとに交代して質を保つ。
比較表
要素適切避けたい形と理由
部位胸骨の下半分(胸の中央)心窩部・剣状突起 → 肝損傷、胃内容逆流
手の置き方手掌基部を重ねる手を広げる・手指全体で押す → 力が分散し深さ不足
上肢の姿勢肘を伸ばし垂直に体重をかける肘を曲げる → 力が逃げ、術者が早く疲れる
テンポ少なくとも100回/分(2015は100〜120回/分)80回/分 → 心拍出量が不足
深さ・戻し成人で約5cm(2010は「少なくとも5cm」、2015は「6cmを超えない」)、完全なリコイル浅い圧迫・押しっぱなし → 静脈還流が得られない
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。