学習トップ理由で解く 柔道整復師外科学概論 ▸ §5 ショック / QJ24P050

理由で解く 柔道整復師

QJ24P050 外科学概論

出典:第24回柔道整復師国家試験(2016)午後 問50
問題
循環血液量減少性ショックをきたしうる病態はどれか。
選択肢
1 熱傷
2 急性心筋梗塞
3 敗血症
4 緊張性気胸
解答
正解1(熱傷)
解説

ショックは4つに分類する。熱傷は血漿が血管外へ漏れ出て血管内容量が減る、循環血液量減少性ショックの代表例である。

ショックの分類は、①循環血液量減少性(出血、脱水、熱傷)、②心原性(心筋梗塞、重症不整脈、弁膜症)、③心外閉塞・拘束性(緊張性気胸、心タンポナーデ、肺血栓塞栓症)、④血液分布異常性(敗血症、アナフィラキシー、神経原性)の4つ。熱傷では受傷後に炎症性メディエーターによって血管透過性が亢進し、血漿成分が間質(サードスペース)へ大量に漏出する。血漿の漏出は受傷直後から始まり受傷後8時間以内が最も著明で、その後も24〜48時間続く。輸液(乳酸リンゲル液)は受傷後24時間必要量の約半量を最初の8時間以内に投与するのが原則(Baxter/Parkland式)で、この初期輸液の適否が救命を左右する。血管内の水分が失われる一方で赤血球は血管内に残るため、ヘマトクリットは上昇する(血液濃縮)。出血性ショックではヘマトクリットが低下する点と対比して覚えると、同じ「循環血液量減少性」でも中身の違いが整理できる。

✓ 1. 正しい
熱傷
広範囲熱傷では血管透過性亢進により血漿が間質へ漏出し、循環血液量が減少して熱傷ショックに至る。出血がなくても血管内容量が失われる点が要点で、受傷直後からの十分な輸液が治療の中心になる。
✗ 2. 誤り
急性心筋梗塞
心筋が壊死してポンプ機能そのものが低下するため、心原性ショックに分類される。循環血液量は保たれているのに心拍出量が出せない状態で、輸液を増やすと肺うっ血を悪化させうる点が循環血液量減少性との決定的な違い。
✗ 3. 誤り
敗血症
細菌毒素と炎症性メディエーターにより末梢血管が拡張し、血液の分布が偏る血液分布異常性ショック。初期は末梢が温かく(warm shock)なることがあるのが特徴。血管透過性亢進による相対的な血管内容量減少も伴うため輸液は重要だが、分類としては血液分布異常性である。
✗ 4. 誤り
緊張性気胸
胸腔内圧の上昇が縦隔と大静脈を圧迫し、心臓へ血液が戻らなくなる心外閉塞・拘束性ショック。血液は体内にあるのに心臓へ「戻れない」状態で、治療は緊急脱気と胸腔ドレナージによる圧の解除である。
ポイント
  • ショック4分類:循環血液量減少性/心原性/心外閉塞・拘束性/血液分布異常性
  • 熱傷は血管透過性亢進で血漿がサードスペースへ漏出 → 循環血液量減少性。漏出は受傷直後〜8時間以内が最も著明
  • 初期輸液:受傷後8時間以内に24時間必要量の約半量を投与するのが原則(Baxter/Parkland式、乳酸リンゲル液)
  • 熱傷ショックではヘマトクリットが上昇(血液濃縮)。出血性ショックでは低下する
  • 心筋梗塞=心原性、敗血症=血液分布異常性、緊張性気胸・心タンポナーデ=心外閉塞・拘束性
  • 分類が違えば治療も違う。輸液が中心か、圧の解除が先か、を病態から判断する
比較表
分類代表的な原因血行動態の本質治療の中心
循環血液量減少性出血、脱水、熱傷血管内容量そのものが減る輸液・輸血、出血源の止血
心原性急性心筋梗塞、重症不整脈、弁膜症ポンプ機能の低下心筋の再灌流、強心薬、補助循環
心外閉塞・拘束性緊張性気胸、心タンポナーデ、肺塞栓心臓への流入・流出が物理的に妨げられる脱気、心嚢ドレナージなど閉塞の解除
血液分布異常性敗血症、アナフィラキシー、神経原性血管拡張により血液の分布が偏る輸液+血管収縮薬、原因治療
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