学習トップ理由で解く 柔道整復師一般臨床医学 ▸ §21 臨床実地問題 / QJ24P043

理由で解く 柔道整復師

QJ24P043 一般臨床医学

出典:第24回柔道整復師国家試験(2016)午後 問43
問題
65歳の女性。歩行障害を主訴に来院し、パーキンソン(Parkinson)病が疑われた。診断根拠となる症状はどれか。
選択肢
1 筋トーヌスが減弱し手足が使いにくい。
2 手足の感覚低下がある。
3 手足の振戦がみられる。
4 後傾姿勢がみられる。
解答
正解3(手足の振戦がみられる。)
解説

パーキンソン病の診断根拠となるのは、安静時振戦・筋強剛(固縮)・無動(寡動)・姿勢反射障害の4大徴候である。選択肢のうちこれに当てはまるのは手足の振戦だけで、他の3つはいずれもパーキンソン病とは逆の記載か、別の病態を示す所見である。

パーキンソン病は中脳黒質のドパミン神経細胞が変性・脱落し、線条体のドパミンが不足して大脳基底核(錐体外路系)の運動調節が破綻する変性疾患である。最も特徴的なのが4〜6Hzの安静時振戦で、膝の上に手を置いてじっとしているときに強く出て、物を取るなど動作を始めると軽くなり、緊張や暗算などで増強する。母指と示指をこすり合わせるような丸薬丸め様(pill-rolling)の動きが典型で、多くは片側の上肢から始まり左右差を残しながら広がる。障害されるのは運動の調節系であるため感覚は保たれ、筋トーヌスは減弱ではなく亢進して歯車様・鉛管様の固縮となり、姿勢は前傾前屈をとる。歩行では小刻み歩行・すくみ足・突進現象がみられ、進行に伴い転倒の危険が高まるので、方向転換や狭い場所での歩き出しに配慮した環境整備と、神経内科での薬物治療につなぐ姿勢が大切になる。

✓ 3. 正しい
手足の振戦がみられる。
安静時振戦は4大徴候の一つで、パーキンソン病を疑う出発点となる所見である。「じっとしているときに強く、動かすと軽くなる」という出方が、動作時に強くなる本態性振戦や小脳障害の振戦と決定的に異なるため、診断根拠として価値が高い。
✗ 1. 誤り
筋トーヌスが減弱し手足が使いにくい。
パーキンソン病では筋トーヌスは減弱ではなく亢進する。肘や手首を他動的に動かすと、ガクガクと断続的に抵抗が引っかかる歯車様固縮や、一様に抵抗が続く鉛管様固縮を触れる。筋トーヌスが減弱するのは小脳障害や下位運動ニューロン障害であり、方向が反対である。
✗ 2. 誤り
手足の感覚低下がある。
病変の主座は黒質から線条体へ向かう運動系であり、感覚伝導路は侵されないため、感覚低下は本症の診断根拠にならない。手袋靴下型の感覚低下や神経根領域に沿った感覚脱失があるなら、末梢神経障害や脊髄・神経根の病変など別の原因を考えて医療機関での評価につなぐ。
✗ 4. 誤り
後傾姿勢がみられる。
パーキンソン病の姿勢は前傾前屈である。頭部と体幹が前に傾き、肘・膝が軽く曲がった特有の立ち姿となり、これが小刻み歩行や前方への突進現象につながる。体幹が後ろに反る姿勢は進行性核上性麻痺などでみられ、パーキンソン病とは区別される。
ポイント
  • 4大徴候は安静時振戦・筋強剛(固縮)・無動(寡動)・姿勢反射障害。まずこの4つで想起する。
  • 振戦は安静時に強く動作で軽減し、緊張で増強する。4〜6Hzの丸薬丸め様で、片側上肢から始まり左右差を残すことが多い。
  • 筋トーヌスは亢進(歯車様・鉛管様固縮)。「減弱」と書かれていれば小脳障害などを指す。
  • 姿勢は前傾前屈。小刻み歩行・すくみ足・突進現象・仮面様顔貌・小声・小字症を伴う。
  • 感覚障害や錐体路徴候(腱反射亢進、バビンスキー徴候陽性)は原則みられず、あれば他疾患を考える。
  • 重症度はHoehn-Yahr(ホーエン・ヤール)分類のI〜V度で評価する。施術では転倒予防を最優先し、号令や床の目印など視覚・聴覚の合図ですくみ足を切り抜ける工夫を取り入れ、神経内科の治療と並行して関わる。
比較表
比較項目安静時振戦姿勢時振戦企図振戦(運動時振戦)
代表疾患パーキンソン病本態性振戦小脳・小脳路の障害
出やすい場面手を膝に置いて安静にしているとき手を前方に挙上して保持したとき目標物に手を伸ばす動作の途中
動作との関係動作を始めると軽くなる姿勢保持で持続する目標に近づくほど大きくなる
随伴所見固縮・無動・前傾前屈姿勢他の神経症状に乏しい測定障害・変換運動障害・失調性歩行
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