学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / 一般臨床医学 ▸ §3 診察各論 視診 / QJ24P022
理由で解く 柔道整復師
腰椎椎間板ヘルニアでは、圧迫された神経根の緊張を少しでもゆるめようとして体幹が側方へ傾き、股関節・膝関節を軽く曲げた姿勢になる。これが疼痛性側弯(坐骨神経痛性側弯)で、正解は4である。
まず経路を押さえておきたい。坐骨神経は、椎間孔を出た神経根がそのまま束ねられたものではない。椎間孔を出た第4腰神経〜第3仙骨神経(L4〜S3)の前枝がまず仙骨神経叢(腰仙骨神経叢)をつくり、そこから分かれ出た坐骨神経が殿部を通って下肢の後面を下っていく。腰椎椎間板ヘルニアの好発高位であるL4/5・L5/S1で圧迫されるのはL5・S1神経根であり、これらはまさにこの叢を構成する神経にあたる。だからこそ、腰の一点の障害が坐骨神経の走行に沿った下肢後面の放散痛、すなわち坐骨神経痛として現れる。そして体幹をまっすぐ立てて膝を伸ばすと、神経根から仙骨神経叢を経て坐骨神経へと続くこの経路が引き伸ばされ、ヘルニア塊に押された部位の痛みが強まる。そこで患者は無意識に、神経の張りが減る方向へ体を逃がす。具体的には体幹を側方へ倒して椎間孔側の圧を逃がし、腰椎の生理的前弯を消して腰を平らにし、さらに股関節と膝を軽く曲げて坐骨神経の走行距離を短くする。SLR(下肢伸展挙上)テストで痛みが誘発されるのと、ちょうど裏返しの関係にある姿勢である。傾く向きはヘルニアと神経根の位置関係によって変わりうるが、国家試験で問われる典型像は「健側へ体幹を倒し、下肢は軽度屈曲」である。施術の場では、この姿勢の患者に無理に姿勢を正させるのではなく、まず神経症状(下肢の筋力低下、感覚障害、膀胱直腸障害)の有無を確認し、疑わしければ医療機関への受診を勧める。
| 特徴的な姿勢 | 代表的な病態 | そうなる理由 |
|---|---|---|
| 健側へ体幹を傾け股・膝を軽度屈曲 | 腰椎椎間板ヘルニア(坐骨神経痛) | 神経根から仙骨神経叢・坐骨神経へ続く経路の伸張・圧迫を減らす |
| 体を前に丸めうずくまる(エビ様) | 急性膵炎(腹膜炎では膝を曲げて不動) | 前屈位で後腹膜にある膵への圧迫・伸展が減る |
| どの体位でも楽にならず、じっとしていられない(転輾反側) | 尿路結石・胆石発作などの疝痛 | 管腔臓器の攣縮による痛みで、体位では変わらない |
| 下肢が痙性で足は底屈位(尖足) | 錐体路障害(脳卒中後片麻痺など) | 上位運動ニューロン障害で筋緊張が亢進する |
| 脊柱が弓なりに反り返る(後弓反張) | 破傷風・重症髄膜炎 | 全身の筋強直や髄膜刺激により体幹が伸展する |
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