学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / リハビリテーション医学 ▸ §9 臨床実地問題 / QJ24P021
理由で解く 柔道整復師
脊髄ショックを脱した慢性期の脊髄損傷では、膀胱を低い圧のまま溜め、確実に空にすることが排尿管理の目標です。上肢機能が正常で車いす自立まで回復している本例は清潔間欠自己導尿のよい適応で、これが答えです。
胸髄損傷は排尿の反射中枢(仙髄S2〜S4)より上位の障害なので、核上型(上位運動ニューロン型)の神経因性膀胱になります。受傷直後の脊髄ショック期は排尿筋が収縮せず尿閉となるため一時的に尿道カテーテルを留置しますが、ショックを脱する数週〜数か月後には排尿筋過活動と排尿筋・外尿道括約筋協調不全(DSD)が現れ、「膀胱は強く収縮しているのに出口が締まって出ない」状態になります。ここで本当に問題なのは尿が出ないことよりも膀胱内が高圧になることで、高圧が続くと膀胱尿管逆流から水腎症・腎盂腎炎をきたし、腎機能の悪化が脊髄損傷者の生命予後を左右します。そこで慢性期の管理は、膀胱を低圧の貯留槽として使い(必要に応じて抗コリン薬などを併用)、1日数回のカテーテル挿入で残尿を残さず出す、という組み立てになります。受傷から6か月が経過して全身状態が安定し、車いすでの外出も可能な今は、留置カテーテルから離脱して自己導尿へ移行を図るべき時期です。
| 排尿管理法 | 仕組み | 主な利点 | 主な問題点 | 主な適応 |
|---|---|---|---|---|
| 自己間欠導尿(CIC) | 1日数回、自分でカテーテルを挿入して排出 | 膀胱を低圧に保てる/普段は器具を装着しない/外出・就労しやすい | 手技の習得と継続が必要 | 上肢・手指機能が保たれた脊髄損傷慢性期(本例) |
| 尿道カテーテル留置 | 尿道から膀胱へ入れたまま持続的に排出 | 急性期・全身管理中に確実 | 尿路感染・結石・尿道びらん/尿道皮膚瘻・膀胱萎縮 | 脊髄ショック期など一時的な使用 |
| 用手排尿法(クレーデ法・腹圧排尿) | 用手圧迫や怒責による腹圧で、膀胱を他動的に圧迫して押し出す | 器具が不要 | 高圧排尿→膀胱尿管逆流・水腎症・腎障害 | 核下型(弛緩性膀胱)で括約筋抵抗が低く残尿の少ない一部の例 |
| (参考)叩打による排尿誘発 | 恥骨上部の叩打で仙髄反射弓を刺激し、排尿筋の反射収縮を誘発する(膀胱を圧迫する手技ではない) | 器具が不要/反射が残っていれば誘発できる | DSDがあると高圧排尿・多量残尿となり腎障害の危険 | 反射が残る核上型で試みられることがあるが、DSDのある本例では推奨されない |
| 膀胱瘻 | 下腹部から膀胱へ直接カテーテルを留置 | 尿道への負担を避けられる | 手術侵襲/留置に伴う感染・結石は残る | 手指機能が不十分で自己導尿が困難な例、尿道狭窄・尿道損傷、介助導尿の継続が困難な例 |
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