学習トップ理由で解く 柔道整復師リハビリテーション医学 ▸ §5 リハビリテーションの治療 / QJ24P018

理由で解く 柔道整復師

QJ24P018 リハビリテーション医学

出典:第24回柔道整復師国家試験(2016)午後 問18
問題
松葉づえをついたときの肘の最適な屈曲角度はどれか。
選択肢
1 10度
2 20度
3 30度
4 40度
解答
正解3(30度)
解説

松葉杖を正しい長さに合わせて握りを持つと、肘は約30度屈曲位になります。25〜30度が標準です。

松葉杖の適合には決まった目安があります。杖先を足先の前方約15cm・外側約15cmの位置に置き、腋窩当てが腋窩から2〜3横指(およそ3〜5cm)下に来るように全長を決め、その状態で握り(グリップ)の高さを合わせると肘は25〜30度屈曲します。この軽い屈曲が必要なのは、伸び切っていない肘を上腕三頭筋で伸展させて体を押し上げることで推進力を生むためです。肘を伸ばし切っていると押し上げる余地がなく、体重が腋窩当てに乗りやすくなります。逆に曲げすぎると杖が短すぎるか高すぎる持ち方になり、上肢の負担が増えて支持も不安定になります。また、腋窩当てに体重をかけ続けると腋窩を通る神経・血管が圧迫され、橈骨神経麻痺(いわゆる松葉杖麻痺、下垂手)を起こすことがあります。腋窩との間に指2〜3本分の余裕を確保するのはこのためで、体重は必ず握りにかけ、腋窩当ては体幹(側胸部)で挟んで杖を安定させる役割にとどめる、と指導しましょう。

✗ 1. 誤り
10度
ほぼ伸展位で、上腕三頭筋で体を押し上げる余裕がありません。杖が長すぎて腋窩を突き上げる状態になりやすく、松葉杖麻痺の危険も高まります。
✗ 2. 誤り
20度
目安とされる25〜30度に届かず、標準値として示される角度ではありません。押し上げ動作の力が十分に出ません。
✓ 3. 正しい
30度
標準の適合角度(25〜30度)です。この屈曲位なら上腕三頭筋で効率よく体を押し上げられ、支持も安定します。他の適合条件(杖先の位置、腋窩当ての高さ)を満たすと自然にこの角度になります。
✗ 4. 誤り
40度
屈曲が過剰で、握りの位置が高すぎる(杖が短すぎる)状態です。上肢の負担が増え、体を持ち上げる高さも足りず歩行が不安定になります。
ポイント
  • 適合の3点セット=杖先は足先の前方・外側それぞれ約15cm、腋窩当ては腋窩から2〜3横指(約3〜5cm)下、肘屈曲約30度
  • 肘を軽く曲げる理由は、上腕三頭筋の伸展力で体を押し上げるため。伸ばし切ると力が出ない。
  • 体重は握りにかける。腋窩当てに乗せると橈骨神経麻痺(松葉杖麻痺・下垂手)を起こしうる。
  • 全長の目安は身長の約77%、または腋窩から足先の斜め前方までの距離。
  • 杖先ゴムのすり減りは滑りの原因になるので定期的に確認・交換する。
比較表
確認項目目安ずれると起きること
杖先の位置足先の前方約15cm・外側約15cm近すぎると支持基底面が狭く不安定
腋窩当ての高さ腋窩から2〜3横指(約3〜5cm)下高すぎる(杖が長い)と腋窩圧迫→松葉杖麻痺
肘屈曲角度約30度(25〜30度)浅いと押し上げ力不足、深いと上肢の負担増・不安定
体重をかける場所握り(グリップ)腋窩当てに乗せると神経麻痺のリスク
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