学習トップ理由で解く 柔道整復師リハビリテーション医学 ▸ §5 リハビリテーションの治療 / QJ25P012

理由で解く 柔道整復師

QJ25P012 リハビリテーション医学

出典:第25回柔道整復師国家試験(2017)午後 問12
問題
橈骨神経麻痺で用いる装具はどれか。
選択肢
1 短対立装具
2 オッペンハイマー型装具
3 MP 伸展補助装具
4 PIP 伸展補助装具
解答
正解2(オッペンハイマー型装具)
解説

橈骨神経麻痺では手関節と MP 関節の伸展が失われ、下垂手(drop hand)になる。したがって手関節の背屈を保持・補助する装具を選ぶ。オッペンハイマー型装具はばねの弾性で背屈を補助する、橈骨神経麻痺の代表的な装具である。

橈骨神経は上腕骨骨幹部の橈骨神経溝を回り、前腕の伸筋群を支配する。麻痺すると長・短橈側手根伸筋、総指伸筋、長母指外転筋などが働かなくなり、手関節が垂れ下がって MP 関節も伸展できなくなる。手関節が屈曲位のままだと屈筋の長さが足りず、握力そのものも出せない。だから治療の要は「手関節を軽度背屈位に保つこと」で、ここを支えるだけで把持機能はかなり戻る。オッペンハイマー型装具は前腕から手背へ伸びるコイルばね(ピアノ線)で手関節背屈と MP 伸展を弾性的に補助し、屈曲方向には動きを許すので物をつかむ動作を妨げにくい。装着と並行して、伸筋群の再教育と手関節・手指の他動運動による拘縮予防を続けるとよい。なお、下垂手でも IP 関節の伸展は虫様筋・骨間筋(尺骨神経・正中神経支配)が担うため保たれる点も、装具を選ぶ手がかりになる。

✓ 2. 正しい
オッペンハイマー型装具
コイルばねの弾性で手関節を背屈位に保ち、あわせて MP 関節の伸展も補助する。下垂手で失われた機能をそのまま肩代わりする形なので、橈骨神経麻痺の第一選択となる。同じ目的でコックアップスプリントやトーマス型懸垂装具も用いられる。
✗ 1. 誤り
短対立装具
母指を対立位に保つ装具で、正中神経麻痺による猿手(母指球筋の萎縮と対立不能)に用いる。橈骨神経麻痺で問題になるのは手関節と MP の伸展であり、母指の対立は保たれるため目的が合わない。
✗ 3. 誤り
MP 伸展補助装具
MP 関節の伸展だけを補助する装具で、MP 屈曲拘縮の矯正などに使う。下垂手の中心である手関節の背屈は支えられないため、これ単独では橈骨神経麻痺に対応できない。ちなみに尺骨神経麻痺の鷲手には逆に MP 屈曲を補助するナックルベンダーを用いる。
✗ 4. 誤り
PIP 伸展補助装具
PIP 関節の屈曲拘縮(ボタン穴変形、外傷後の拘縮など)を伸展方向へ矯正する装具。橈骨神経麻痺では IP 関節の伸展は内在筋が担うので保たれており、ここを補助する必要はない。
ポイント
  • 橈骨神経麻痺=下垂手。手関節と MP 関節の伸展が不能。IP 関節の伸展は内在筋(尺骨・正中神経)が働くので保たれる。
  • オッペンハイマー型装具はばね式のコックアップ装具。手関節背屈と MP 伸展を弾性補助し、屈曲は許すので把持を妨げない。
  • 神経と変形と装具はセットで覚える。橈骨=下垂手→背屈補助、正中=猿手→短対立装具、尺骨=鷲手→ナックルベンダー(MP 屈曲補助)。
  • 装具を着けたら終わりではなく、伸筋の再教育と他動運動による拘縮予防を並行して行う。
  • 手関節が背屈位に保たれると屈筋が働きやすくなり握力も改善する。「まず手関節を立てる」が原則。
比較表
障害される神経特徴的な変形・所見代表的な装具装具の目的
橈骨神経下垂手(手関節・MP 伸展不能)オッペンハイマー型装具、コックアップスプリント手関節を背屈位に保持し MP 伸展を補助
正中神経猿手(母指対立不能、母指球萎縮)短対立装具母指を対立位に保ち、つまみ動作を確保
尺骨神経鷲手(MP 過伸展・IP 屈曲)ナックルベンダー(MP 屈曲補助)MP を屈曲位に導き、IP 伸展を引き出す
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