学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §4 呼吸 / QJ24A068

理由で解く 柔道整復師

QJ24A068 生理学

出典:第24回柔道整復師国家試験(2016)午前 問68
問題
肺胞気から血液への酸素の移動様式はどれか。
選択肢
1 浸透
2 分泌
3 ろ過
4 拡散
解答
正解4(拡散)
解説

肺胞と毛細血管の間のガス交換は、分圧の差に従って分子が高い方から低い方へ移動する拡散によって行われます。エネルギーを使わない受動的な移動です。

肺胞気の酸素分圧は約100mmHg、肺動脈を流れてきた静脈血の酸素分圧は約40mmHgです。この差が駆動力となり、酸素は肺胞から血液へ拡散します。二酸化炭素は逆に血液側(約46mmHg)が肺胞側(約40mmHg)より高いため、血液から肺胞へ拡散します。拡散を隔てる呼吸膜は肺胞上皮・基底膜・毛細血管内皮からなり、厚さは1マイクロメートル未満と非常に薄く、しかも肺胞の総表面積は極めて広いため、短い接触時間でも十分な交換が可能です。肺水腫や間質性肺炎で膜が厚くなると拡散が妨げられ、低酸素血症の原因となります。肺胞気と血液の酸素分圧の差(約100mmHgと約40mmHg)がどちら向きかを押さえれば、移動様式は拡散だと判断できます。

✓ 4. 正しい
拡散
酸素は分圧の高い肺胞気から低い血液へ、濃度勾配(分圧差)に従って移動します。ポンプもエネルギーも必要としない受動的な過程です。
✗ 1. 誤り
浸透
浸透は半透膜を隔てて溶媒である水が移動する現象を指します。移動するのは水であり、気体である酸素の移動を表す語ではありません。
✗ 2. 誤り
分泌
分泌は細胞が物質を産生して細胞外へ放出する働きです。肺胞にはサーファクタントを分泌するII型肺胞上皮細胞がありますが、酸素の取り込みは分泌ではありません。
✗ 3. 誤り
ろ過
ろ過は静水圧の差によって水や溶質が膜を押し通される現象で、腎糸球体や毛細血管での体液移動が代表です。ガス交換の仕組みとは異なります。
ポイント
  • 肺のガス交換は分圧差に従う拡散。エネルギーを必要としない。
  • 肺胞気の酸素分圧は約100mmHg、静脈血は約40mmHg。この差が移動の原動力。
  • 二酸化炭素は血液から肺胞へ拡散する(向きが逆)。
  • 呼吸膜が厚くなる病態(肺水腫・間質性肺炎)では拡散が障害される。
  • 浸透は水の移動、ろ過は圧力による移動、分泌は細胞の産生・放出と区別する。
比較表
移動様式駆動力移動するもの体内の代表例
拡散濃度差・分圧差ガス・小分子肺胞と血液の間のガス交換
浸透浸透圧の差水(溶媒)細胞内外の水の移動
ろ過静水圧の差水と溶質腎糸球体での原尿生成
分泌細胞の能動的な働き細胞がつくった物質消化液・ホルモンの放出
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