学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §4 呼吸 / QJ24A082

理由で解く 柔道整復師

QJ24A082 生理学

出典:第24回柔道整復師国家試験(2016)午前 問82
問題
血液酸素分圧を感受するのはどれか。
選択肢
1 パチニ小体
2 頸動脈洞
3 頸動脈小体
4 コルチ器官
解答
正解3(頸動脈小体)
解説

動脈血の酸素分圧(PaO₂)低下を感じ取るのは、頸動脈小体・大動脈小体という末梢化学受容器です。名前の似た頸動脈洞は血圧を感じる圧受容器なので、3が正解になります。

頸動脈小体は総頸動脈が内頸動脈と外頸動脈に分岐する部位にある米粒ほどの組織で、舌咽神経の枝(頸動脈洞神経)を介して延髄の呼吸中枢へ入力します。組織重量あたりの血流量が体内で最も多く、動脈血の性状をほぼ時間差なく反映できる構造になっているのが特徴です。PaO₂がおよそ60mmHgを下回ると発火頻度が急激に増え、換気を促進します。末梢化学受容器はPaO₂低下だけでなく、PaCO₂上昇や動脈血pH低下(H⁺増加)にも応じます。一方、PaCO₂上昇に主に応じるのは延髄腹側表面にある中枢化学受容器で、これは血液脳関門を自由に通過したCO₂が脳脊髄液中でH⁺を生じることによる「脳脊髄液のH⁺濃度上昇」を感受しています。動脈血のpH低下そのものは、H⁺が血液脳関門を越えられないため中枢化学受容器には届かず、末梢化学受容器が感受します(代謝性アシドーシスで換気が亢進するのはこの経路です)。「低酸素は末梢、二酸化炭素は中枢、ただしpHは動脈血なら末梢」とまとめると混乱しません。受容器の名前は「洞は圧、小体は化学」と語呂で対にしておくのが実戦的です。

✓ 3. 正しい
頸動脈小体
総頸動脈分岐部にある末梢化学受容器で、動脈血の酸素分圧低下を主に感受し、舌咽神経を介して呼吸を促進させます(PaCO₂上昇や動脈血pH低下にも応じます)。大動脈弓部にある大動脈小体(求心路は迷走神経)も同じ働きをします。
✗ 1. 誤り
パチニ小体
皮膚深部や関節包、腸間膜などにある層状構造の機械受容器です。速順応型で振動や圧の急な変化をとらえますが、血液の化学的な情報は扱いません。受容器を問われたら、まず機械・化学・光・音のどれを担当するかで仕分けましょう。
✗ 2. 誤り
頸動脈洞
内頸動脈起始部のふくらみにある圧受容器で、血管壁の伸展すなわち動脈血圧を感受します。血圧上昇時に反射性に心拍数と血管抵抗を下げる頸動脈洞反射に働きます。場所が隣り合うため紛らわしいですが、感じているのは圧であって酸素ではありません。
✗ 4. 誤り
コルチ器官
内耳の蝸牛管の基底板上にある聴覚受容器で、有毛細胞が音による基底板の振動を受容し、蝸牛神経へ伝えます。担当は聴覚であり、血液の性状とは無関係です。
ポイント
  • 末梢化学受容器=頸動脈小体・大動脈小体。主にPaO₂低下を感受して換気を促進する。
  • 末梢化学受容器はPaO₂低下に加え、PaCO₂上昇・動脈血pH低下(H⁺増加)にも応じる。代謝性アシドーシスで換気が亢進する主体はこちら。
  • 中枢化学受容器=延髄腹側表面。感受するのは脳脊髄液のH⁺(血液脳関門を通過したCO₂に由来)。動脈血のH⁺は血液脳関門を越えられないため直接は届かない。
  • 求心路は頸動脈小体が舌咽神経、大動脈小体が迷走神経。
  • 頸動脈洞・大動脈弓は圧受容器(血圧)。「洞は圧、小体は化学」で対にして覚える。
  • 語呂は「低酸素は末梢、二酸化炭素は中枢」。ただし「pHは動脈血なら末梢」と一言添えて覚える。
  • パチニ小体は振動・圧の機械受容器、コルチ器官は聴覚受容器で、いずれも血液成分は感受しない。
比較表
受容器感受するもの存在部位求心神経
頸動脈小体主にO₂分圧低下(PaCO₂上昇・動脈血pH低下にも応答)総頸動脈分岐部舌咽神経
大動脈小体主にO₂分圧低下(PaCO₂上昇・動脈血pH低下にも応答)大動脈弓迷走神経
中枢化学受容器脳脊髄液のH⁺(PaCO₂由来)延髄腹側表面―(延髄内の構造)
頸動脈洞動脈血圧(伸展・圧)内頸動脈起始部舌咽神経
パチニ小体振動・圧(機械)皮膚深部・関節包など体性感覚神経
コルチ器官音(振動)内耳・蝸牛管蝸牛神経
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